143 踏みにじられた信頼 | 読むカウンセリング

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親からの虐待、両親の蒸発、いじめ、不登校、対人恐怖症、うつ、母の死は私のせいという罪の意識から解き放たれた心理カウンセラーが、自ら体験した心の癒し方をお伝えします。

初めての方へ

この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリング
テーマにした架空のお話です。
まずは、プロローグからお読みくださいね。


――


143 踏みにじられた信頼


「それから間もなく
 母は家を出ていきました。
 当時付き合っていた男性の家に
 転がり込んだようでした。

 母がいなくなった家は
 とても静かで快適に思えました。

 僕と妹二人でテーブルを囲んで
 これから必ず幸せになろうと
 誓い合ったことを覚えています。

 会社では相変わらず
 いじめられていましたが

 入社する時に社長の叔父から
 幹部候補として考えていると
 言われていたので
 それを信じて頑張っていました。

 入社してから4年が経ち
 そろそろ現場以外の仕事も
 させてほしいと叔父に頼んだところ

 お前なんてまだまだ全然
 役に立っていないと怒鳴り返されました。

 苦しい中でも自分なりに
 頑張ってきたと思っていた僕は
 叔父の言葉に強いショックを受けました。

 叔父への信頼を裏切られ
 踏みにじられた気がしました。
 
 僕は転職をする決意をしました。

 でも、叔父の会社を離れることは
 とても怖ろしいことでした。

 次の職場で
 またいじめられるかもしれない。

 あんなに頑張って仕事をしたのに
 役立たずと言われた僕は
 他の仕事なんて出来るのだろうか・・・

 完全に自信を失っていました。

 それでも妹二人の生活を支えるため
 転職するしかありませんでした。

 職業安定所で給料の良い仕事を探し
 無事に転職することができました。

 自動販売機に缶ジュースを
 補填する仕事でした。

 体力を使う仕事でしたが
 これまで現場で
 鍛えられてきた僕にとっては
 それほど苦にはなりませんでした。

 それどころか
 週に1日ちゃんと休みがあり
 決められた時間の中で仕事が終わり
 給料も以前よりも多くなり
 いいことずくめの職場でした。

 心配していたいじめも
 ほとんどありませんでした。
 あまり自分を出さなかったのが
 功を奏したのだと思います。

 少しずつですが、幸せを感じることが
 できるようになったある日
 その幸せを打ち消す一本の電話が
 会社にかかってきました」