128 妻の微笑み | 読むカウンセリング

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親からの虐待、両親の蒸発、いじめ、不登校、対人恐怖症、うつ、母の死は私のせいという罪の意識から解き放たれた心理カウンセラーが、自ら体験した心の癒し方をお伝えします。

初めての方へ

この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリング
テーマにした架空のお話です。
まずは、プロローグからお読みくださいね。


――


128 妻の微笑み


どれぐらい泣いていたのだろう。
誰かが背中を撫でている。
温かく優しい手だった。

顔を上げると
目を真っ赤にした妻が
隣に立っていた。

心配そうに見ている妻に
「ありがとう。もう大丈夫」
といって、僕は椅子に座り直した。

泣きすぎたのだろうか。
少し頭が痛かった。
気分がボーっとしている。

妻も僕もカウンセラーも
黙ったまま
静かに時間が過ぎていく。

僕はもう一度
頭の中を整理しようと思った。

妻が苦しんでいたのは
僕を心配していたというより
自分のせいで僕が苦しんだという
罪の意識からだった。

僕は逆に
僕の状態のせいで
妻を苦しめていると感じていた。

お互いが、自分のせいで
相手を苦しめていると
感じていたんだ・・・

そんなふうに妻が感じてるとは
思いもよらなかった。

自分が情けなくて
許せないという気持ちが
また湧き上がってくる。

でも今は、そんなことよりも
妻の誤解を解くことのほうが先だ。
僕は口火を切った。

「話しておきたいことが
 あるんですが・・・」

カウンセラーは頷き
僕は妻を見た。

「僕がこんな状態になったのは
 僕自身の問題なんだ。
 決してお前のせいじゃない。

 自分のことばかりで
 気づいてあげられなくて
 本当にごめん・・・

 これだけは信じてほしいんだ。
 いつも支えてくれて
 本当に感謝しているんだ。

 ありがとう」

妻は泣きながら
微笑んでいるように見えた。