初めての方へ
この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
――
112 本音で求めていたもの
「そうです。僕はどうすれば
妻との衝突を避けられるんでしょうか?」
答えが知りたかった。
「これまでのあなたの話したことを基に
考えるとしたら、どうなるでしょう」
また、カウンセラーから逆に質問をされた。
「これまで・・・ですか。えーっと
妻と衝突したのは、たぶん
感受性が高まっていたからで・・・。
誰かと衝突すると
自分が悪いと思って、我慢したり
爆発するパターンが僕にはあって・・・。
自分を出すと、ひどいことが起こると
信じている僕がいる・・・。
うーん・・・。
妻と衝突したのは
必然のような気がします」
「必然・・・」
「はい。僕はこれまで
本音を抑えるような癖があって
その癖に気づかずに来たんだと思います。
前回のカウンセリングで
抑えてきた本音を解放して
本音が出やすくなっていたところで
妻と衝突しました。
本音では、ずっとわがままを
言いたかったんだと思います。
だから妻と衝突したのも
起こるべくして起こったように思いました」
カウンセラーは「んー」と息を吐きながら
僕の話に頷いていた。
「本音では奥さんに
何を求めていたんですか」
カウンセラーの質問に
また一瞬、体が硬くなった。
「本音では・・・
もっと僕を大切に扱ってほしい
と、思っていました」
「自分が思うように
大切に扱われていなかったと
いうことですか」
「いいえ、そうじゃないんです。
頭では本当に良くしてもらっていると
分かっているし、無理をさせていることも
知っています。
本当にわがままだと思うんですが
自分の全てを分かっていてほしい
何も言わなくても、理解していてほしい
というような思いが湧いてくるんです」
「今、あなたが言った
わがままさが湧いてくることが
自然で当たり前だと思える人は
どんな人でしょう」
「当たり前だと思える人・・・
あっ!子供・・・幼児ですか」