初めての方へ
この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
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102 感受性の変化
カウンセラーの言った虐待という言葉に
僕の体は反応した。
何かを警戒したように体が強張っていく。
時が止まったように空気が固くなり
頭が回らず何も考えられない。
胸の痛みと胃の痛みだけが
ハッキリと伝わってくる。
僕は知らないうちに胸に手を当てていた。
「大丈夫ですか」
カウンセラーの声が優しく響いてくる。
顔を上げると隣で妻が心配そうに見ていた。
「はい、少し胸と胃が痛くなって・・・」
「そうですか。この話はあなたにとって
まだ、早すぎたかもしれませんね。
申し訳ありませんでした」
そう言ってカウンセラーは頭を下げた。
「いいえ。ただ、先生から虐待という
言葉を聞いてから、頭が真っ白になって
それから、胸と胃が・・・」
「分かりました。では、深呼吸をした後
前回お伝えした痛みを取る方法
タッピングをやってみてください」
僕はカウンセラーに言われるまま
深呼吸をした後、胸と胃にタッピングをした。
しばらくすると痛みが軽くなってきた。
カウンセラーにもう一度
深呼吸をするように言われて
息を吐き切ると、気持ちが落ち着いた。
「もう、大丈夫です」
僕は言った。
「これまでに押し殺してきた怒りを解放したことで
心はこれまでよりも敏感になっていると思います。
美しいものはより美しく
素晴らしいものはより素晴らしく
感じられるようになっているかもしれません。
逆に、怖れや怒り、悲しみなどのネガティブな感情も
今まで以上に強く感じることもあるでしょう。
そのはけ口が、自分を責めることや
奥さんに向かう可能性もあります。
大切なことは、変化しているかもしれない
自分の感受性に気づいていることです。
喜びを感じるのであれば、大いに楽しんでください。
ただし、急激に生活のリズムを変えたり
仕事を一気に始めるというようなことは
避けた方がいいでしょう。
心に抱えきれないことは、一人で抱え込まず
ここにきて話すようにしてくださいね。
今日はこれぐらいにしておきましょう」
こうして、僕の3回目のカウンセリングは終わった。