初めての方へ
この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
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97 全体性を取り戻す
カウンセラーから渡された
詩を読み終わった後
僕は妻に見捨てられてしまうのではないか
という思いで頭が一杯になった。
胃がキリキリと痛む。
「何か、冷たい詩のような気もするのですが・・・」
妻はつぶやくように言った。
「確かに、そういう感じにも受け取れますね」
カウンセラーが頷きながら答える。
「前回のカウンセリングでお話しした
電車の例え話は覚えていますか?」
「はい、親子連れと女性の話ですよね」
妻が答える。
「そうです。あの物語に出てくる人達は
起こった出来事と、湧き上がってくる
感情に飲み込まれ混乱していました。
でも、混乱の原因となった重要な背景に
気づけたこと、つまり全体性を取り戻したことで
新しい選択ができるようになったのです。
そして、この詩についている名前
ゲシュタルトとは全体性という意味なのです。
この詩に込められた祈りとは
自分の混乱の背景に気づき
自分の全体性を取り戻し
自分を幸せにする新たな選択を
促がすことだと私は思っています。
相手を見捨てるための詩ではなく
これまで見捨ててきた自分を
救い上げるための詩だと。
これまで大切にできなかった自分を
大切にした結果、相手と出逢えるならば
それは素晴らしいこと。
これまで大切にできなかった自分を
大切にした結果、相手と出逢えなかったとしても
それも素晴らしいこと。
なぜなら、自分を大切に出来なければ
目の前の相手を大切にすることが
難しくなるからです」
「我慢して、相手を支えようとすることは
いけないことなんですか?」
妻の口調が強くなった。
「いいえ。いけないことではありません。
ただ、自分を大切にできないほど
相手を支えようとすると
そこに歪が生まれてくるでしょう。
相手に対する思いやりと
相手や自分に対する怒りの間で
苦しむことになるかもしれません」
「でも、それが愛するということじゃ
ないんですか!」
妻は、叫ぶように言った。