初めての方へ
この物語は
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
トラウマ(心の傷)に関するカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
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3 運命の出逢い
胸の奥をわしづかみされているような
鋭い痛みで目が覚める。
朝はいつもこうだった。
胸の痛みに加えて
言葉にならない怖れが体中を廻り
指先まで侵食していく。
僕は思わず怯えたエビのように
布団の中で身を丸めた。
その時、ふっと
「本当は死にたいんだ」という言葉が
漆黒の闇の中から甦った。
昨日の夜、妻に言ってしまった
絶対に隠しておかなければいけない言葉。
なぜ、こんな事に・・・
何がいけなかったのか?
自問自答を繰り返したところで
底の無い闇の中へ
答えは埋もれていくだけだった。
妻とは八年ほど前に出逢った。
知り合いのクリスマスパーティで
彼女はヒマワリの仮装をしていた。
顔の周りに黄色い花びらをつけ
顔中、茶色の線で格子柄にメイクをしていた。
明るくて面白い人だと感じた。
お互いの知人が知り合い同士
だったこともあり
その場で仲良くなり住所を交換した。
それから数回、会って食事をしたりしたが
それ以上の進展はなかった。
年賀状のやり取りだけが続いていた。
二年ほど経ったある日
営業を終えてオフィスへ帰る途中の
地下鉄の通路で、彼女とバッタリ出逢った。
二人同時に「あっ!」という小声と共に
お互いが立ち止った。
小脇に白封筒を抱えた
グレーのスーツ姿の彼女は
仕事の途中のようだった。
久しぶりという軽い挨拶を交わし
「仕事の途中?」と僕が聞くと
驚いたことに彼女は人材派遣会社で
ライバル会社の営業をしていた。
互いに仕事の途中ということもあり
その場で名刺交換をして別れた。
あれが運命の出逢いというなら
そうかもしれない。
この時はまだ、僕の呪われた運命に
彼女を巻き込むことになるとは
想像することすらできなかった。