初めての方へ
この物語は、キャリアカウンセリングを
テーマにした架空のお話です。
まずは、プロローグから、お読みくださいね。
――
19 心を開く魔法の言葉
ケイは、本当の気持ちを見失った時に
それを取り戻す魔法の言葉が聞きたくて
しかたがなかった。
「魔法の言葉!?
みっきーおじさん、なんですかそれ!
早く教えて下さいよっ!」
「よほど聞きたいみたいだね。でもね、
すでにケイちゃんはこの言葉を聞いているよ」
「えっ!」
ケイは伯父との会話を思い出していたが
どれが魔法の言葉なのか分からなかった。
そんなケイの様子を見て伯父は言った。
「おじさんがケイちゃんの本心を聞いたとき
なんて言ったか覚えてる?」
「あっ!」
「分かったみたいだね」
「はい。本当はどうしたい?って聞かれました」
「そう。それが魔法の言葉だよ」
今日ここで伯父と話をして、好きな仕事がしたいと
泣いてしまった自分のことをケイは思い出していた。
確かにあの時、ケイは自分の本当の気持ちを
取り戻せたと感じていた。
「私はすでにみっきーおじさんに魔法の言葉を
かけてもらっていたんですね」
「そうだね。それはまさに閉じた心を開く
魔法にかかるようなものなんだよ。
ただしその魔法には強さと優しさが必要なんだ」
「強さと優しさ・・・」
「本当の気持ちを大切にしようという強さと
本当の気持ちを、それがどんな気持ちであっても
受け入れようという優しさだよ」
「でも、みっきーおじさん。それが持てなかったから
殻に閉じこもってしまうんじゃないんですか?」
「その通りだよ。だから、ただ単にこの言葉を
言っても魔法にはかからないんだよ」
「どうすればいいんですか?」
「本気で幸せを望むことだよ。
自分と向き合うことは
過去と向き合うことでもあるんだ。
過去に味わった痛みや悲しみ、怒りや無力感
もう二度と思い出したくないこと
もう二度と経験したくないこと
その壁の向こうに、自分を守る殻の内側に
自分が本当に望むことがあると信じるなら
そしてその望みを自分が叶えようと決意するなら
本当はどうしたい?という言葉は
その人の人生を変える魔法の言葉になるんだよ。
ただし、大きく心が傷ついた人の中には
幸せを望むことも、自分と向き合うことも
望みを叶えようと決意することも
できなくなることがあるんだ。
おじさんにもそんな時があったんだよ。
誰の優しさも心に届かず
真っ暗な闇の中をさまよっていたんだ。
おじさんは運よく、おばさんに救ってもらったけどね。
そんな時は、その人の命の力を信じるしかないんだ。
周りの人はそっと見守るしかないんだよ」