21 嫌な気分の静め方 | 読むカウンセリング

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親からの虐待、両親の蒸発、いじめ、不登校、対人恐怖症、うつ、母の死は私のせいという罪の意識から解き放たれた心理カウンセラーが、自ら体験した心の癒し方をお伝えします。

初めての方へ

この物語は、実際のカウンセリングのやりとりを
テーマにした架空のお話です。
まずは、プロローグから、お読みくださいね。


――


21 嫌な気分の静め方


「嫌な気分になった時
 嫌な気分を変えたいという思いを見つめ
 理解し、受け入れることです。

 あなたはなぜ
 嫌な気分を変えたいと思うのですか」

「そんなの当り前じゃないですか。
 誰だって嫌な気分は変えたいでしょう」

「何が当たり前なんですか」

「だから、嫌な気分を避けることです」

「生きていれば、良い気分になることもあれば
 嫌な気分になることもあるという
 当たり前のことについては、どう思いますか」

「そんなことは分かっていますが
 嫌なものは、嫌なんです!」

「何が嫌なんですか」

「だから、嫌な気持ちになることです!!」
僕は思わず声を荒げた。

「その前提には何があると思いますか」
カウンセラーは静かに言った。

「前提?」

「本当はどうあって欲しいんですか?
 本当はどうあるべきだと思っていますか?」

「そりゃ、本当は・・・」
僕は言葉に詰まった。

本当は・・・
本当は・・・

そうか!
僕は自分に嫌なことがあってはいけないと
思っているんだ。だから嫌なことを感じることが
許せないんだ。

長い沈黙の後、僕は言った。
「やっと今、あなたの言っていることが分かりました。
 僕はずっと、嫌なことがあってはいけないと思い
 嫌なことが起こることを許せなかったんです。

 二度と嫌な思いはしたくない、という思いに気づかず
 その思いに振り回されていたんです。

 だから少しでも自分の中に嫌な気分が出てくると
 いてもたってもいられなくなって
 その気分を消そうと躍起になっていました。

 でも実際は消そうとすればするほど
 嫌な気分の波に飲み込まれていったんです。

 僕は気分の波に対して、新たな気分の波でぶつかり
 波を大きくしていただけなんですね」

カウンセラーは黙って深くうなずいた。

内側の波が静かに引いていくのを
僕は感じていた。