半世紀以上生きてくると本当にいろんなことが起きる。
 ’73年にはオイルショックがあり、幼心にトイレットペーパーが無くなったのを覚えているし、'80年代後半のバブル景気、'91年のバブル崩壊、’95年には阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、'08年のリーマンショック、’11年の東日本大震災。この他にもたくさんあった。そして、今回のコロナショックだ。何とか上手いこと偶然にも生き延びてこられたが、明日何が起こるかわからないと痛感する。残りの人生がうまくいって3分の1になった私には一日一日が大切で嫌なことなど我慢してやっている場合ではない。これが若い頃と決定的に違う感覚である。
今回のコロナショックにしても昨年の新卒と今年、来年の新卒では人生が全く違うだろう。1年前は超売り手市場と言われていたのにこの数ヶ月で逆転した。コロナショックによる経済への影響は甚大で元に戻るには数年を要するのではないだろうか。今の就活生はツイてないとしか言えない。けど、会社という組織に人生を人質に捕られなくて良かった。一昔前のように定年まで面倒を見てくれるのであれば、まだそれでもいいが、今の時代、歓迎してくれるのは40歳くらいまで。40歳くらいになるともう後戻りできないので、その後のサラリーマン生活は針の筵だ。
 縁がなく1年間時間ができたのであれば、この1年間は自分磨きに費やすほうが良い。若いから1年もあればプロフェッショナルにはなれなくともその足がかりになるくらいまでは行けるだろう。
 そして、1年後に仮に何処かの会社に就職できたとしたら、甘えられる20年間の間にそれを更に磨き上げ、40歳くらいには独立するなり、上のステージに行けるようなスキルを身につけるべきだ。そうすれば会社に人生を人質に捕られることはない。
 来年春に就職した会社が自分のスキルアップに繋がらないと感じたらすぐに辞めたほうがいい。

 売り手市場の中で楽に就職すると22、3のだいたい若者は自分の人生を深く考えない。それで40歳くらいになると後にも戻れず、先へも進めず呆然としてしまう。
 厳しい中で就職した若者は自分の人生を一生懸命考えるだろう。悪い事ばりではない。