稲盛氏は、頂点を極めた人が没落していくのは、謙虚さを失って傲慢になった時だと説かれます。
27歳で京セラの経営をされ、今回JALを再建された80歳になられた今もそう思われています。
「思念は業をつくる」とは、人は人生のその時々でいろいろな思いを抱くわけですが、その思いが様々な業(ゴウ)、原因をつくっていく。
いいことを思えばいい原因を、悪いことを思えば悪い原因をつくる。
仮に思っただけで、口に出したり実行しなかったとしても原因になるそうです。
稲盛氏は「思い」というものを軽々に考えてはいけない、長い間人生を極めていこうと思えば、「どんな思いを抱くか」が大切だと思われています。
「宇宙の心と一体になる」とは、私は神仏の心だとも思いますが、
宇宙には森羅万象すべてのものをいい方向に生かそうとする、そういう素晴らしい愛の心、思いやりの心が充満している。
その宇宙の心に沿った思い、優しい思いやりの心を抱いて行動すれば、必ず宇宙は手助けをして下さると。
長い間会社を発展させていくには、宇宙の心が支援してくれるような考え方を持たなければならないと思われています。
航空運輸業を何も分からない自分が、JALの従業員を救いたいという利他の一念で乗り出していき、そういう美しい心でもって、必死で取り組んでいるのを宇宙が助けて下さったと思われています。
稲盛氏は結核を患い、中学受験に二度、大学受験も失敗し、就職した先も赤字会社。ずっと自分はついていない人生を送っていくものとばかり思われていました。
そこで心のありようを変え、懸命に仕事に打ち込み、すべてを忘れて研究一途に打ち込まれたことが、後々の人格形成の原点となり、運命が好転していったきっかけだったと思われています。
仕事は真剣勝負の世界であり、
「従業員のために、又家族のために命に代えてもこの会社を守っていくのだ」
という凄まじい気迫、信念ほど経営者を強くするものはない。経営くらい格闘技にも似た闘争心が必要なものはないと説かれています。
経営にとって大切なことは
「人間として正しいことを追求する」
それを生きる上での原理原則とし、又リーダーとしての判断基準にもされてきました。
損か得かの判断基準が多い中、稲盛氏の生き方や考え方のベースは、神仏の判断基準と同じ善か悪か、嘘か誠か…
要するにリーダーは自分を後回しにしても、働いてくれた部下をねぎらってやらなければならないと、そういう人を使う術というものを少年の頃には遊びをとおし覚えられたようです。
つづく…