2024年1月23日、中国メディアの第一財経は、次世代の動力電池として開発が進む全固体電池が秘める、業界の構図を一気にひっくり返す可能性について、専門家が半固体電池開発を軸に進める中国の業界は警戒すべきとの見解を示したことを報じた。

記事は、中国科学院の会員である清華大学の欧陽明高(オウヤン・ミンガオ)教授が22日に開かれた中国全固体電池イノベーション発展サミットフォーラムで発言した内容を紹介。同教授が「この10年で動力電池のエネルギー密度は3倍になり、コストは80%以上低下した。中国の電池生産量も世界全体の70%近くを占めるようになったが、コスト低下による企業の大量参入に伴う生産過剰や競争過熱、低温条件下の航続距離や安全性の高い超高速充電などの問題を抱えている」と述べたことを伝えた。

同教授はその上で、航続距離の長さ、スピーディーな充電、高い安全性能などの特徴を持つ全固体電池が次世代電池の第一候補となると同時に、世界的な電池技術獲得競争の新たな焦点になりつつあり、各国企業が2030年ごろに全固体電池の産業化を実現するとの見方を示した。一方で、中国は液体電池の技術を踏襲した半固体電池の開発を進めているとし、「わが国は漸進的な半固体電池の技術路線を発展させると同時にドラスティックな全固体技術路線によって業界の構図がひっくり返るリスクも防がなければならない」と指摘。全固体電池が液体電池に代わって天下を取り、50%以上のシェアを獲得するまでには20〜30年の時間がかかるとしつつ、「自動車業界では1%でもシェアを取れればブレークスルー的な意味を持つ」と警鐘を鳴らした。
記事は、全固体電池技術分野において中国の特許申請数は海外から比較的大きな差をつけられていると指摘。トヨタ1社で1300件余りの特許を取得しているのに対し、中国企業の合計は昨年10月現在で100件に満たないと紹介した。

 

 

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