平日でも、ほぼ満員の行きの送迎車でした。
1部 お芝居 稲川と新門
*配役*
関取 稲川次郎吉*大川忍副座長
兄弟子 杵山(キネヤマ)*大川礼花花形
弟弟子 挽臼(ヒキウス)*美穂裕子リーダー
火消頭 新門辰五郎*椿裕二座長
若い衆*椿キラさん・椿みらんさん
酔っぱらい*椿孝也花形・椿キラさん
おこも*大川礼花花形・椿みらんさん
長屋の大家*夢路えみさん
*あらすじ*
1場:橋の袂
「足を踏んだ」と酔っぱらいたちに絡まれる稲川次郎吉。
酔っぱらいたちは関取の稲川だと分かると、「うちの殿様が贔屓にしている雷電関をものの見事に投げ飛ばしやがったな。牛馬の通る大道で三つ指ついて頭を下げて謝るか、相撲を取るか、どうするんだい。」と無理難題。
「ごんたら素人相手に相撲を取る事は出来やんせ。」と言い頭を下げる稲川に調子付いた二人は、「花をくれてやる。」と言っては唾を吐き、「俺は引出物をくれてやる。」と言っては足蹴にする。
怒った稲川の様子に恐れをなして退散する酔っぱらいたち。
浪花から江戸にやって来た稲川次郎吉とその弟子たち。
十日間、一日足りも土つかずの稲川にはありとあらゆる罵詈罵倒。負けた江戸の力士には贔屓が付く。
「あれが天下の関取稲川か。向うを通るのは次郎吉よ。」と人様に言われるその日が来るまでは、決して浪花には帰らないと心に誓う稲川。
稲川は橋の袂で寝ていたおこもの足を踏んでしまう。
おこもは自分の足を踏んだのは関取の稲川と分かると、「わしら乞食はお前の贔屓や。いつも応援してるんやで。」と話す。
足を踏んだ詫びに金を手渡すと、「この江戸の土地に来て一度も、やっちゃ~稲川と掛け声掛からぬ有様。やっちゃ~稲川と掛け声掛けてはくだすんか。」と頼む稲川。
「やっちゃ~稲川。」「やっちゃ~稲川。」と叫ぶおこもたち。
稲川は、「初めて聞いたやっちゃ~稲川の掛け声。今の一言で、稲川次郎吉は天下の力士に成りやんしたわい。」と言いその場を後にする。
その様子を見ていた男が現れ、おこもから着ぐるみ一式を金で譲って貰う。
2場:長屋
稽古をする杵山と挽臼。
そこへ、長屋の大家がやって来る。
「今度、長屋の皆を連れて見に行きますよ。何か足りない物はありませんか。」と言う大家に、「米味噌醤油何もかも…」と答える杵山と挽臼。
二人の様子に、「それは気が付かなくて。これで…」と、一両を差し出し帰って行く大家。
「内輪の恥をさらすものではごんせんわい。」と二人に注意し部屋を出る稲川。
おこもから着ぐるみ一式を買い、着替えを済ませた男がやって来る。
「わしはなぁ、稲川の贔屓をしようとやって来た。」と言う男を追い返そうとする杵山と挽臼。
「褌担ぎに用は無い。稲川を呼べ。」と言う男を、奥の部屋から出て来た稲川が中へ通す。
「この江戸の土地を薄情な人間ばかりと思っているかもしれんが、わしら乞食はお前の贔屓じゃ。近付のしるしに酒を持って来た。」と言い酒を注ぐおこも。
止める杵山を制止し飲み干す稲川。
「弟子っ子共にも飲ましてやれ。」と言われ、嫌々飲む杵山と挽臼。
「ひと月前のうどんや。」と言い差し出すおこも。
止める杵山を制止し口にする稲川。
「弟子っ子共にも食わせてやれ。」と言われ、嫌々食べる杵山と挽臼。
おこもは、「乞食の寄合がある。」と言い帰って行く。
杵山と挽臼が荷物をまとめ出て行こうとする。
「今日と言う今日こそは愛想が尽きたてごんすわい。わしら二人を浪花に帰して下んせや。」と言う杵山と挽臼。
そんな二人に稲川は話す。
「無理もない。初めて付いた御贔屓衆が人様の門口に立つおこもと聞かされて、我と我が身に愛想が尽きやんしたわい。親方さんに浪花の贅六相撲で終わるのは勿体無い。江戸で名ある力士になれよと言われた言葉。ここで、わしが浪花に帰れば、浪花力士の名のけがれ。わしの親方さんに会う事があれば、あれが天下の関取稲川か、向うを通るは次郎吉よと人様に言われる日が来るまで、決して浪花には帰らぬつもりじゃと伝えてくだんせ。」
稲川の言葉に、「わしらが悪うごんした。わしら二人をいついつまでも、親方の側に置いて下んせや。」と泣いて詫びる杵山と挽臼。
「杵山。挽臼。」「親方さん。」と手に手を取り合う三人。
そこへ慌てふためきやって来た大家。
「今ここにおこもが来なかったかい。」と尋ねる大家に、稲川は、「来やしたが、それが何か。」と答える稲川。
「おこもさんじゃないんだよ。火消頭の新門辰五郎親方なんだよ。」と言う大家。
若い衆を従えてやって来た新門辰五郎。
「さっきは悪かったな。これから、この新門辰五郎がお前さんの贔屓をしたうえで、必ず、日の本一の相撲取りにしてやるぜ。」と言う新門辰五郎に、「ごっつぁんでごんす。」と喜ぶ稲川。
「目出てえ。目出てえな。」と言い小判を撒く新門辰五郎。
よいよいのおこもになりすます新門辰五郎役の椿裕二座長。
途中、疲れたらしく、右手のよいよいが左手に移動。
某劇団の移動性中風ってやつやね
口上挨拶
椿孝也花形
椿キラさん
手にしている呼び鈴を椿孝也花形に向かって鳴らす椿キラさん
椿みらんさん
椿たくみさん
2へ続く