「劇団大川・長谷川劇団二座合同公演」に行って来ました。

 

長谷川劇団 愛京花総座長・長谷川武弥座長・京未来若座長・京詩音さんの出演。

 

1部 お芝居 情恋 番町皿屋敷 

*配役*

青山家

青山播磨*椿裕二座長

腰元 お菊*長谷川劇団 愛京花総座長

腰元 お松*長谷川劇団 京詩音さん

腰元 お福*椿キラさん

本家叔母 青山定*夢路えみさん

 

幡随院長兵衛一家

夢の市郎兵衛*長谷川劇団 京未来若座長

子分*大川礼花花形・椿孝也花形・椿みらんさん

 

陰陽師 玄達*長谷川劇団 長谷川武弥座長

お菊の兄 菊太郎*大川忍副座長

 

*あらすじ*

1場:幡随院長兵衛の墓前

長兵衛の子分たちが墓参りをしているところへ通り掛かる直参旗本七百五十石 白柄組棟梁の青山播磨。

長兵衛が白柄組の水野十郎左衛門に殺害されていた事から、水野十郎左衛門亡き後、棟梁を継いだ青山播磨に仇討しようといきり立つ子分たちだが、ひと月後、幡随院長兵衛の墓前でけりを付ける事になり、帰って行く。

播磨が一人になったところへやって来た玄達が、「旦那の体には女の怨霊が憑り付いている。」と言いお経を唱え始めると、「この青山播磨、虫のままに生きるだけだ。」と言い立ち去る播磨。

姿を現したお菊の幽霊は、「青山のお殿様に私の分まで長生きしてもらいたいのです。これには深い訳が…今からひと月前…」と経緯を玄達に話しだす。

 

2場:ひと月前の青山家

「わしの妻になる事を決めてくれたか。」と尋ねる播磨に、「私は父母を亡くし、兄の大工の菊太郎がただ一人。お殿様とは釣り合いがが取れません。」と答えるお菊。

「身分など関係ない。わしがお前を守る。」と言い亡き母の形見の簪をお菊に手渡す播磨に、「生きてきた中で一番の幸せです。」と言うお菊。

本家叔母の青山定がやって来る。

「旗本二千五百石 庚申組大久保様の御息女ふじえ殿を嫁に。」と言う定に、播磨は、「この播磨には心に決めた妻が居ます。そこに居る菊めでございます。」と言う。

播磨の固い意思に、「大久保様がお待ちじゃ。早う、挨拶してまいれ。」と言う定。

お菊と二人になった定は、「本日只今限り、宿下がりを申し付ける。」と言い付けるが、「お殿様から言われず、御本家様から言われても帰りませぬ。」と拒否するお菊。

お松がやって来て、「大久保のお殿様がお待ちでございます。」と告げるとその場を離れる定。

菊太郎がやって来る。

「今日で約束の三月だ。一緒に帰ろう。」と言う菊太郎に、「帰れません。お殿様の側を一歩も離れる事は出来ないのです。菊は女の情念を貫きとうございます。」と言うお菊。

お菊の播磨への気持ちに、「達者でな。何か有れば直ぐに知らせてくれ。」と言い帰って行く菊太郎。

「家宝の絵皿を一緒に数えて頂けますか。」とお松とお福が絵皿を持ってやって来る。

「この家宝の絵皿を割れば、即刻お手打ちになるそうですよ。」と言うお松に、「分かりました。」と答えるお菊。

「一枚、二枚、三枚…十枚。」

数え終わると、後の事をお菊に任せその場を離れるお松とお福。

「この絵皿を割れば、即刻お手打…」と呟くとお菊は一枚の絵皿をわざと落とし割ってしまう。

その様子を見ていたお松は播磨を呼ぶと、「お菊さんはわざと割ったのでございますよ。」と言う。

割れた絵皿を見て驚いた播磨は、「粗相で割ったと申せ。」と言うが、「覚悟の上、菊の意思で割ったのでございます。」と答えるお菊。

「お菊さんをどうぞお手打に。」と言うお松。

お菊は定から浴びせられた言葉を伝え、「お殿様の側を離れる位なら、お殿様の手で手打になるのが望みでございます。」と言う。

「この播磨、生涯、嫁は取らん。播磨の嫁になるのはお菊お前一人。」と言い刀を振り上げる播磨だが、「わしには、お前を斬る事は出来ん。」と上げた刀を下ろす。

「お殿様にお手打にされるのが私の望みでございます。」と言うお菊に、「これ以上、お前を苦しめる事は出来ぬ。」と一太刀に斬る播磨。

 

3場:ひと月後の青山家

「お菊さんがお手打にされてから、毎日嫌な事ばかり…」とぼやくお松とお福。

何処からともなく聞こえる「一枚、二枚、三枚…」の声。

お菊に会いに菊太郎がやって来る。

何も知らされていない菊太郎に、「お菊さんはもうこの世の人ではありません。」と事の仔細を話すお松。

現れた播磨に、「皿一枚と人の命を天秤に掛けるとは!」と怒る菊太郎に、「菊はわざと割ったが故に異目はあるか。」と言う播磨。

「菊の亡骸だけは返してもらいたい。」と言う菊太郎。

やって来た定に古井戸に身を投じたと聞かされた菊太郎は、「直ぐに引き上げてやる。」と言う。

それを止め、「持ち帰れ。」とお菊の遺髪を菊太郎に向かって投げる播磨。

「菊、連れて帰ってやるからな。」と言い帰ろうとする菊太郎に、播磨は、「菊をねんごろに弔ってやってくれ。」と頭を下げ頼む。

夢の市郎兵衛がやって来る。

「幡随院長兵衛の墓の前、時刻たがわず待っておりますぜ。」と言う夢の市郎兵衛の後に続く播磨。

定とお松とお福がふためいているところへ玄達がやって来る。

「お菊さんに頼まれて、お殿様を助けにやって来ました。」と言う玄達は播磨の後を追う。

 

4場:幡随院長兵衛の墓前

菊太郎はお菊の仇討ちに、幡随院長兵衛の子分たちに加勢する。

播磨がやって来る。

刃物沙汰の中、お菊の幽霊が現れる。

その姿を見て、「菊!」と叫ぶ播磨の一瞬の隙を突いて、幡随院長兵衛の子分たちと菊太郎が斬り掛かる。

玄達と定がやって来る。

変わり果てた播磨の姿に、「お菊さん、助けてやれなくて勘弁してもらいたい。」とお菊の幽霊に詫びる玄達。

播磨の亡骸に寄り添うお菊の幽霊。

「この世では一緒になれなかったが、あの世では握り合ったその手は決して離しちゃなりませんぜ。」と言う玄達。

仲睦まじく手と手を取り合い、あの世へと向かう播磨とお菊。

 

 

劇団大川版 情恋 番町皿屋敷。

純愛とは思えない怖さをも感じる女の情念…

 

 

口上挨拶

大川忍副座長

 

2へ続く…