観劇友達と11ヶ月振りに一緒に観劇

 

1部 お芝居 花車辰五郎 出世桜

*配役*

初代親分 花車辰五郎*椿裕二座長

代貸 魁(サキガケ)の梅吉*大川忍副座長

子分*椿たくみさん

 

長吉(チョウキチ)*大川礼花花形/幼少期*椿みらんさん

母*美穂裕子リーダー

妹 菊(源氏名 菊千代)*椿キラさん

 

ならず者 権次*椿孝也花形

菊千代の婚家先 義母*夢路えみさん

 

 

*あらすじ*

1場:狼谷

権次に手籠めにされそうになった菊は狼谷から身を投げる。

鎌を手に助けにやって来た兄の長吉。

菊の解かれた帯を見て、「菊の仇だ!」と鎌を振り上げ権次を殺してしまう。

「どうしよう。おいら、権次を殺してしまった。おっかぁに聞いた事が有る。人殺しの罪は重く八年間の島送りだって。そんな事になれば、おっかぁに迷惑を掛けてしまう。」と自ら腹を突こうとする長吉。

そこを通り掛かった梅吉が止める。

長吉から訳を聞いた梅吉は、「おじちゃんと一緒に江戸へ行ってみねえか。男修行を積んで故郷に錦を飾らねえか。」と誘う。

「おいら、一緒に江戸へ行く。ちょっと待ってておくれ。おっかぁに伝えて来るんだ。」と言う長吉に、「黙って行った方が心配掛けないんじゃないか。」と言う梅吉。

その梅吉の言葉にそのまま江戸へ向かう長吉。

長吉と菊を捜して母がやって来る。

母は狼谷から菊を引き上げ助けると、長吉の鎌を見付ける。

そして、権次が死んでいるのを見付ける菊。

その場の様子を察し、「お前が殺されたと思い、長吉が仇を討ったに違いない。今から、おっかさんが番屋に名乗って行くから、長吉が帰ったなら二人でおっかさんの帰りを待っているんだぞ。」と言い、長吉の罪を背負い番屋へ向かう母。

 

八年の苦役を終え、上州箕輪在に帰って来たのの、そこには長吉と菊の姿は無く、長吉と菊を捜す流浪の旅に出る母。

そして、その流浪の旅が始まり七年の年月が流れる。

 

2場:江戸吉原仲之町

十五年前、梅吉に連れられやって来た長吉は初代花車辰五郎親分の許で男修行を積み、二代目花車辰五郎を襲名する事になる。

その襲名披露の日、「長年、俺の右腕として支えてくれたお前が二代目を継ぐのが当たり前。長吉との男同士の約束が有ると言い、長吉に跡目をと。これで良かったのか。」と梅吉に尋ねる初代花車辰五郎親分。

「本望でござんすよ。」と答え、二代目を迎えに行く梅吉後ろ姿に、「梅、たいした男だ。二代目に勝っても劣る事の無い立派な男だと褒めてやる。」と呟く初代花車辰五郎親分。

菊千代と婚家先の義母がやって来る。

「二万石の屋敷の嫁入り。立ち振る舞いに気を付けるように。」と言う義母。

義母はぶつかったおこも風情の老婆を罵る。

優しい言葉を掛ける傍らの菊千代に被り物を取る老婆。

顔を合わせ驚く二人。

「菊。」「おっかさん。」

十五年振りに再会した母と菊。

「この様な汚いお方と知り人であるまいな。」と忌々しく問う義母に、「この様なお方、知り人ではございません。」と答えると、「おっかさん、ごめんなさい。ごめんなさい。」と言い母を残し義母の後を追う菊。

「やっと、会えたと思ったものを。もう、生きる望みを失いました。」と川に身を投げようとする老婆を止め、訳を尋ねる初代花車辰五郎親分。

これまでの経緯を話し、「たった今この場において可愛い娘に出会う事が出来たのですが、側には立派なお武家様がお付きになり、私の事など知らぬ存ぜぬと。もう、生きる望みを失いましてな。このまま黙って死なせて下さいませ。」と言う老婆。

「もう一人、倅さんが居ると言ったじゃないですか。倅さんを一緒に捜しましょう。」と言い仔細を尋ねる初代花車辰五郎親分。

「上州は箕輪在、離れ離れになったのは今から十五年前。名前は長吉。」と答える老婆。

それを聞いた初代花車辰五郎親分は、「長吉さんなら存じております。今日、この花車辰五郎の二代目を継ぐ襲名披露なんです。」と言う。

「ひと目で構いません。長吉に会わせて頂く訳にはいきませんか。」と頼む老婆に、「会って親子名乗りすれば良い。」と言い、こちらに向かって来る男を指し、「今、駕籠を降りたあの白い着物を着たあれが長吉ですよ。」と言う初代花車辰五郎親分。

やって来た長吉に、「長吉、長吉なんじゃろ。お前のおっかさんじゃ。」と被り物を取る老婆。

「おっかさんか。」「長吉。」と抱き合うも、「違います。人違いです。今日と言う日は二代目花車辰五郎襲名の日。みすぼらしい姿の母の噂になれば、先代親分の名前に傷が付く。その道理が分ったなら黙って帰ってもらえますか。」と言い頭を下げる長吉。

「私も可愛い倅や倅がお世話になった恩人の方々に迷惑を掛ける様な馬鹿ではございません。大変失礼致しました。」と言い上州へ帰ろうとする老婆。

「こいつを持ってお行きなさい。」と財布を差し出す長吉に、老婆は、「受け取る訳には参りません。大事な倅の母親が人様から物を恵んでもらうおこも乞食などと呼ばれたんでは、倅の顔に泥を塗る事になりますので。」と断る。

「それほどまでに倅さんの事を。」と尋ねる長吉に、「私にとっては大事な大事な倅でございますから。」と答える老婆。

「この金をここへ捨てます。」と言う長吉に、「捨ててまで私にやろうと。貰わにゃ罰が当たります。」と言い財布を手にする老婆。

涙する長吉。

「二代目。」と言い初代花車辰五郎親分が現れる。

「そこに居なさるお方はお前のお袋さんじゃないのか。」と問われ、「へい。みすぼらしい姿の母の噂になれば親分の名前に傷が…」と答える長吉。

長吉の身代わりで八年間の三宅島暮らしをした母親の苦労を話し、「名乗ってやれよ。呼んでやれよ、おっかさんと。」と言う初代花車辰五郎親分。

その言葉に、「おっかさん、おめえの倅の長吉だ。」と言うと、「長吉。」「おっかさん。」と涙ながらに手を取り合う二人。

長吉は着ていた羽織を母に掛け、「今日と言う日が終われば必ず迎えに行く。すまないが上州で待っていてくれないか。」と言う長吉。

「何の為に上州に帰すんだ。」と言う初代花車辰五郎親分の言葉に、「親分が立派な屋敷を建ててくれたんだ。」と言い、歩いて向かおうとする長吉と母。

「駕籠に乗って貰えば良いじゃないか。」と言う初代花車辰五郎親分に、「駕籠屋衆は振舞酒の最中でありまして、一人で駕籠を担ぐ事は…」と答える長吉。

初代花車辰五郎親分は、「お前さえ良ければ、その駕籠の片棒を担がせてくれねえか。」と申し出る。

そこへ、「二代目。」と言い菊千代を伴いやって来た梅吉。

「向うの木陰から、二人の姿を涙を流して見ていらした。薄情な事を言ってしまったと後悔しておられました。許してもらう事は出来ますか。」と尋ねる梅吉に、「大事な娘の菊でございます。」と答える母。

「二代目、今日の襲名披露は取り止めだ。一日二日伸びたって良いじゃないか。明日の襲名披露にはお袋さんも妹さんにも出てもらい、一世一代晴れ姿を祝ってもらえ。」と言う初代花車辰五郎親分。

初代花車辰五郎親分の計らいに、母と長吉と菊の三人は長吉の家へ向かう。

「梅、親って良いな。おめえも若い時分に二親を亡くしたんだろ。駕籠の片棒担いで親孝行の真似事をして来い。」と言う初代花車辰五郎親分に、「二代目、待っておくんなさい。」と二代目花車辰五郎親分の後を追う梅吉。

 

 

十五年振りに偶然にも再会する母兄妹のお話。

初代親分の名に傷が付くと親子名乗をしない長吉。

幼かった長吉との男同士の約束を守る梅吉。

幼い頃に二親を亡くした梅吉に、「駕籠の片棒担いで、親孝行の真似事をして来い。」と勧める初代花車辰五郎親分。

「一番大事なのは人を思いやる心。」

それぞれに相手を思いやる気持ちにウルッとします。

 

 

口上挨拶

椿孝也花形

 

 

椿キラさん

 

 

椿みらんさん

 

 

椿たくみさん

 

 

早速、頂き物のお菓子を頬張る大川礼花花形

 

 

 

2へ続く…