「大川礼花花形誕生日公演」

 

1部 お芝居 山吹 武士の一分

*配役*
池上家
主 新左エ門*椿裕二座長
妻 せつ*大川礼花花形
下郎 伸介*美穂裕子リーダー

山崎家
新左エ門の従妹 以寧(イネ)*椿キラさん
以寧の亭主*椿みらんさん

組頭 島津源之丞*大川忍副座長
小野道場師範*椿孝也花形
草彅医師*夢路えみさん



*あらすじ*

武士の一分とは侍が命を掛けて守らなければならない名誉や面目。

 

1場:池上家
君主の膳の毒見係の下級武士の新左エ門。
その毒見が原因で、十日間、熱にうなされた挙句に失明する。

組頭の島津源之丞が様子を見にやって来る。

病が回復したなら直ぐに復帰出来るように家老に進言したと話し、「その目が治ると良いな。」と言い帰って行く。

新左エ門の包帯を取った草彅医師に、「何も見えません。目を閉じている時と全く同じです。」と言う新左エ門。

 

幕間

半年経過しても新左エ門の目は見えず、「旦那様には奥様が、それにこの私が付いています。」と忠義を誓う伸介。

 

2場:池上家

せつの行先を尋ねる新左エ門に、「奥様は月に一度のお寺参りに出掛けております。」と答える伸介。

帰って来たせつに、「この香りは。」と尋ねる新左エ門。

座敷に飾っていた金木犀に、「金木犀の香りでございましょう。」と答えるせつ。

「わしの目は治らん。」と言いお寺参りを止める様に言う新左エ門だが、せつは、「嫌です。私は諦めません。」ときっぱりと言う。
「お茶を手渡すせつの手が汗ばみ、出掛ける前より白粉の匂いがきつくなった様な気がする。」と言う新左エ門に、「奥様は誰よりも旦那様の事を思っていらっしゃいます。」と一蹴する伸介。

以寧がやって来る。

「うちの旦那様が武家の妻女が出入する場所じゃない染川町の料理屋で、男の人と一緒の奥様を見たと…」と話し帰って行く以寧。

3場:池上家

伸介に木剣を持って来させる新左エ門。

小野道場の麒麟児と言われるも、盲目になり、久々に手にした木剣は思う様にはならず…

栗の甘露煮を買って戻って来たせつは木剣を手にしている新左エ門を見て喜ぶ。

 

幕間

無理矢理、せつの手を引く島津源之丞。

新左エ門の言い付けでせつの様子を探っていた伸介は、「まさか奥様が…」と驚く。

 

4場:池上家

涙ながら戻って来た伸介に事の全て聞いた新左エ門。

せつが帰って来る。

「林昌寺にお寺参りに…」と言うせつに、「青物町に出向いていたのでは…」と言い伸介が様子を見ていた事を話す新左エ門。

せつと一緒だった男は島津源之丞。

「島津と言う男は腕も立つ。頭も切れる。欠点は女だ。」と言う新左エ門に、「島津様と不義を重ねておりました。」と手を付き詫び訳を話すせつ。

「このままでは、お家は取り潰しと…一度だけのつもりが、次はひと月後、十日後と。来なければお前様に話すと。いつかはお前様に知られると…お手討ちは覚悟しています。」と言うせつに、「離縁致す!出て行け!せめてもの情けだ。手討ちにせず離縁する!」と怒る新左エ門。

新左エ門を説得する伸介に、「旦那様は私の命を助けてくれたのです。」と言うと後の事を伸介に託し池上家を後にするせつ。

 

5場:池上家

山崎夫婦がやって来る。

山崎に内偵を頼んでいた新左エ門。

山崎は、「毒見のお陰で難を逃れた君主は、池上家の存続を決定していたが、石を半分にと進言していたのは島津。」と告げる。

羽虫の死骸を見て叫ぶ以寧。

「今では気配だけで落とせるようになった。」と言う新左エ門。

帰って来た伸介に、「組頭島津に伝えてくれ。明日の夕刻、三宅町で待つ。盲人と思いあなどりめされるな。一言一句間違うな。」と言い付ける。

果し合いを止めてほしいと伸介に頼まれた小野師範がやって来るが、無明一刀逆流れを習得したと思しき新左エ門に、「池上!死ぬな!」と言い帰って行く。

 

6場:三宅町

「伸介に暇を与える。池上家の家屋敷を売り払い金に換え故郷に帰れ。」と言う新左エ門に、「これからもずっと、旦那様に付いて行く覚悟は出来ています。」と言う伸介。

そこへ、島津源之丞が現れる。

「半時経ったら戻って来い。」と言い伸介をその場から離れさせる新左エ門。

「恨むなら女房を恨め。あの売女をな。」とほざく島津源之丞に、「盲人と思いあなどりめされるな。」と言い斬り付け、無事果し合いを終える新左エ門。

半時どころか新左エ門の側を離れていなかった伸介に、新左エ門は、「まだ生きてるかもしれん。」と確認させる。

「死んでます。」と言う伸介。

そんな二人の様子を陰から見つめるせつ。

「生きていれば、又、大切な者に会えるかもしれん。生きよう。生き続けよう。」と言い帰って行く新左エ門と伸介。

二人の後姿に涙するせつ。

 

7場:三月後の池上家

山崎夫婦がやって来る。

昨日から、伸介の知り合いの女中を雇ったと聞きおかんむりで帰って行く以寧。

「島村様は病気で亡くなったのではなく、誰かと果し合いをして斬られたそうなんです。相手は未だに不明です。」と報告し以寧の後を追う山崎。

千代と言う名で女中に雇われたせつが夕げの膳を持って来る。

お椀の汁をすすり、「この味だ。伸介の飯は不味くて。懐かしい。栗の甘露煮はできるか。」と言う新左エ門に涙するせつ。

金木犀の香りの中、「お帰り。苦労させたな。お前とわしと伸介の三人で外出をして、美味い物でも食おうぞ。伸介、お前には頭が下がる。」と言う新左エ門。

その言葉に安堵の涙を流すせつと伸介。

 

 

劇団大川としては初上演のお芝居。

私自身は、他劇団で、「無明一刀逆流れ」、「盲目剣谺(コダマ)返し」と言うお外題で何度か観た事が有ります。

今回の外題「山吹 武士の一分」、教えて頂いたと言う劇団美山様では、「山桜 武士の一分」と言う事で、事前に、大川礼花花形に確認したところ、劇団大川では、「山吹 武士の一分」と。

当日、冒頭、流れる音楽が「金木犀」。

山吹色の金木犀♪と歌われる歌詞にどう繋がるのか…繋げるのか…

流石、劇団大川と思いました。

後で気が付いたのは、栗の甘露煮も山吹色。

誕生日公演にこのお芝居がしたいと通した大川礼花花形、

ほぼ出ずっぱりの椿裕二座長のお二人はさることながら、圧巻は椿裕二座長にこれからは爺さん役は美穂裕子と言わしめた美穂裕子リーダーの下郎の爺さん。

これはもう素晴らしかったの一言。

以寧役の椿キラさんは唯一、きっちり笑いを取っていました。

最後の場面は何度見ても涙がこみ上げてきます。

満足のお芝居でした。

 

 

口上挨拶

晴れ

椿孝也花形

 

 

星空

椿孝也花形

 

 

椿キラさん

 

完了