朝からあちらこちら買い物を済ませ観劇へ。

 

1部 お芝居 人情紙風船

*配役*

甚兵衛長屋

住人 源太*椿裕二座長

住人 籠屋*椿孝也花形・椿キラさん

大家*夢路えみさん

 

茶店主人 常さん*大川忍副座長

紙風船売りの老婆*美穂裕子リーダー

 

日本橋呉服問屋大丸屋

加代*大川礼花花形

女中*椿みらんさん

 

 

*あらすじ*

1場:甚兵衛長屋

お上の呼び出しから戻って来た大家。

向う隣りに住んでいる吾作が親孝行な倅だと言って、お上から五両の褒美を貰ったと聞いた大家は、「吾作さんにあやかって、今日から、この甚兵衛長屋を孝行長屋と改めようと思ってるんだよ。故郷から親御さんを呼んで、親孝行しなければ出て行ってもらいます。」と長屋の住人たちに話す。

住人たちは渋々了承するが、「この長屋には一人だけ親のない人がいるんですよ。源ですよ。」と言っているところへ、酒に酔った源太が帰って来る。

「源さん、親御さんは。」と尋ねる大家に、源太は、「あっしの親だったら居ますよ。」と答える。

「親の話をした事がないじゃないか。お前、捨て子なんだろう。」と突っ掛かる住人たちと口論になる源太。

 

2場:茶店前

大丸屋の加代と女中がやって来て、亀戸天神の場所を尋ねる。

常さんから場所を聞いた加代は、「困った時の神頼みのお参りでもしましょう。」と女中を促し茶店を後にする。

「探し物をしている。」と言い浮かない顔の源太が、飲み分けの兄弟の常の許にやって来る。

訳を尋ねる常に経緯を話す源太。

「名前が変わるくらい良いじゃないか。」と言う常に、「孝行長屋にするからには親を呼んで親子孝行して、親のない奴は出て行けと言うんだ。俺の親を捜してくれ。」と話す源太。

幼い頃に、流行病で両親を亡くした事を知っていた常は、「仕込が残っているから。」と逃げ腰に店の中へ戻ってしまう。

そこへ、「紙風船は要らんかえ。」と一人の老婆が現れる。

「子供じゃあるまいし要らない。」とにべも無く断る源太。

「今日も一枚も売れやしなかったね。私ゃ、今夜も野宿かねぇ。」と呟く老婆に、源太は身寄りの無い事を確かめ、「紙風船だけでなく、お前のその体も全てを買った。」と言う。

おっかさんになってもらう話を常にまとめてもらい、二両を老婆に手渡すと、連れ立って長屋に帰って行く源太。

 

3場:甚兵衛長屋

老婆をおっかさんと偽り一緒に暮らし始めた源太は、女も酒も博打も止め、人が変わった様に一生懸命働くようになる。

源太と老婆は江戸見物に出かけたものの、老婆の体の具合がすぐれず戻って来る。

大丸屋の加代が大家を訪ねてやって来る。

「こちらの長屋に私のお母様によく似た人が居ると聞き訪ねて来たのです。歳は当年とって六十二歳、左の目の下に大きなほくろがございます。」と言う加代。

「源さんのお袋さんの顔に、大きなほくろがあったな。」と言う住人の言葉に源太を呼ぶ大家。

大家の話を聞き老婆を呼ぶ源太。

家の中から出て来た老婆を、「お母様。」と呼ぶ加代。

加代は、「このような所で、一体、何をしているのですか。私たちには世間体と言うものが有るんですよ。」と言い連れ帰ろうとする。

老婆は最初の約束に貰った二両を源太に返すが、その二両を老婆にそっと手渡す源太。

「あちらに居られる方は源太さんと言ってな、何かと色々とお世話になった方なんです。一言御礼を言っても頂けませんか。」と言う老婆。

通り一遍の礼を言うと、「どうか、これをお受け取り下さい。」と財布を差し出す加代。

加代の態度に、「情けない男の愚痴話だ。暫く付き合ってくれ。」と言う源太。

「親の入用ってやつが有って、巡り会ったのがあんたのおっかさん。天涯孤独と聞いたから、死水だって俺が取ってやると思うようになった。」と言うと差し出され財布を返す。

そして、「俺が一番何が欲しいのか、あんたに分かるか。今、本当に欲しいのは、辛い時は一緒に泣いてくれ、嬉しい時は一緒に喜んでくれるそんなおっかさんが欲しかったんだよ。」と言い加代に意見する。

源太の言葉に、「このお詫びは後日必ず参ります。」と言う加代。

「源やぁ、源太やぁ。」と涙ながらに加代と帰って行く老婆を見送り、「これじゃまるで、人の人情、この薄っぺらい紙風船と同じだよ。」と涙する源太。

「俺は嘘を吐いてた。俺には親はいません。この長屋を出て行きます。」と言う源太に、「源さんさえ良ければ、この長屋にいつまでも居て構いませんよ。」と言う大家。

「良いのか。」と住人たちに尋ねる源太に、「あたりまえじゃねえか。」と答える住人たち。

「源やぁ、源太。許しておくれ。」と言い老婆が戻って来る。

「あの子には店もある。主人もいる。子供もいる。これから先は嘘の親子ではなく、本当の親子として、私の面倒を見てはもらえないだろうか。私の死水はお前のその手で取ってはもらえないだろうか。」と言う老婆に、「駄目だよ。」と首を振る源太。

帰る道すがら話を聞き、老婆の後を追ってやって来た加代もまた、「これからは、嘘の親子でなく本当の親子として、ここに居るお母様の死水は源太さんの手で取ってやって下さい。」と頭を下げる。

「親子になって構わないんですか。」と半信半疑の源太に、「お願い致します。」と頭を下げる加代。

「良かった!良かった!」と涙する源太と老婆。

 

 

椿裕二座長、美穂裕子リーダーお二人の涙ながらのお芝居に、ホロッとします。

 

 

口上挨拶

大川忍副座長

 

 

椿孝也花形

 

 

椿キラさん

 

 

椿みらんさん

 

2へ続く…