劇団美川 美川龍士若座長・美川乱牙花形がこの日の昼の部までのゲスト出演。
劇団美川 美川慶二座長・英虎博さんがゲスト出演。
英虎博さんにブログ掲載の了承頂いております。
1部 お芝居 壬生の狼
＊配役＊
吉村貫一郎＊椿裕二座長
妻 しづ＊美穂裕子リーダー
長男 嘉一郎＊椿みらんさん
長女 みつ＊椿キラさん
組頭 大野次郎右衛門＊大川礼花花形
新撰組
斎藤一＊大川忍副座長
土方歳三＊英虎博さん
永倉新八＊劇団美川 美川慶二座長
隊士＊椿孝也花形・劇団美川 美川龍士若座長・美川乱牙花形
＊あらすじ＊
1場：南部盛岡の浜辺
不作・飢饉の中、口減らしの為、義母が食を絶ち自ら餓死したのは、お腹に子供を宿した自分のせいだと思い詰めたしづは命を絶とうとする。
嘉一郎とみつを連れ、しづを捜しにやって来た貫一郎が間一髪のところで止める。
一緒にやって来た竹馬の友の次郎右衛門に、「盛岡を捨て脱藩する。新撰組に入る。」と告げる貫一郎。
「脱藩は天下の大罪。」と止める次郎右衛門。
「母さんとみつは必ずお守りします。」と言う嘉一郎。
「ととはおめえたちを捨てる訳じゃ無い。必ず金を稼いで帰って来る。元気なわらじ子を産んで下んせ。南部の花は雪に耐えて咲く。石を割って咲く。」と言いその場を後にする貫一郎。
脱藩は子々孫々まで及ぶ大罪と言いつつも、「貫一郎が戻って来るまで、しづ・嘉一郎・みつ・生まれて来るわらじ子の事は守ってやる。しづ・嘉一郎・みつ・生まれて来るわらじ子の為に死ぬな。わしの為に生きてけろ。」と願う次郎右衛門。
2場：新撰組
三ヶ月後、新撰組の一員になった貫一郎は家族の為、人を斬って金を稼ぐ。
南部盛岡のお国自慢、家族自慢をする貫一郎に、「鼻持ちならん！」と刀を向ける斎藤一だが、「死ぬわけにはいかん。死にたくない。」と刃向かいする貫一郎。
貫一郎に刀を落とされ、「冗談だ。腕を試しただけだ。」と言う斎藤一に、「私は家族を守る為に人を斬っているだけです。」と言う貫一郎。
そして、「斎藤先生は本当は左利き。谷先生の下手人も左利き。新撰組は仲間同士の争いはご法度の筈。」と斎藤を強請る貫一郎。
その貫一郎に向かって投げ銭し、「拾え。」と言う斎藤一。
貫一郎は大事に金を拾い集めると、その場を後にする。
その様子を見ていた永倉新八が現れる。
「三年坂で転ぶと三年以内に死ぬ。」と話す永倉新八に、斎藤一は、「俺たち新撰組は三年ももたない。」と言う。
3場：鳥羽伏見の戦い
壬生義士(新撰組)の出陣、握り飯を配り終えると、自分は竹の皮の包みに付いた米粒をほお張る貫一郎。
それを知った斎藤一は、「こんな時に何故そんなに優しく出来るんだ。お前みたいな奴は新撰組には要らん。南部に帰れ！」と食って掛かるが、貫一郎は、「義を通すための戦。」と言い敵に向かって走り去る。
しづは無事男の子を産む。
大野次郎右衛門は蔵屋敷差配役となり、大坂南部藩邸に詰める。
鳥羽伏見の戦いで劣勢を極めた新撰組。
深傷を負いながらも、家族に一目会いたさに、帰参願いを申し出る貫一郎。
4場：大坂南部藩邸
瀕死の貫一郎がやって来る。
役職上、脱藩した貫一郎を助ける事の出来ない次郎右衛門は、「帰参願いを出しただと！壬生の一匹と南部二十万石を天秤に掛けられない。武士の最後の情けだ。このひと間を貸す故、腹さ斬れ。」と言う。
そして貫一郎の刀では腹は斬れないと「大和守安定(やまとのかみやすさだ)をくれてやる百両は下らない物だ。」と言う。
「介錯は要らない。」と言う貫一郎に、「形は悪いがわしが初めて握った握り飯。」と言い南部盛岡の米の握り飯を置いて部屋を出る次郎右衛門。
家族の為に貯めたお金を、
「しづ、これがおめえの分。」
「嘉一郎、これがおめえの分。おめえの妹と弟を頼むぞ。」
「これはみつ。この手で抱きしめてやりてえ。」
「これはまだ顔を見た事の無い慶一郎。とどを許して下んせ。」と虫の息の中で言い遺す貫一郎。
そして、嘉一郎の為に自分の血で汚す事の無い様にと大和守安定を使わず、自分の刀で、「南部の花は雪に耐えて咲く。石を割って咲く。咲き誇れ。南部に帰りたい。皆に合いたい。」と言うと腹を突く。
戻ってきた次郎右衛門は残された握り飯を見て、「わしとお前は何が有っても竹馬の友。お前の愛した南部の米の握り飯。うめえぞ。貫一郎！」と叫ぶ。
5場：大坂南部藩邸
「これはお前の父 貫一郎からじゃ。」と大和守安定を嘉一郎に手渡す次郎右衛門。
「秋田征伐に連れて行って下さい。」と頼む嘉一郎に、次郎右衛門は、「脱藩した者の倅を連れて行くわけには行かない。」と断わる。
そして、「家族の為に命を掛けた立派な男だ。」と讃えると、自分が貫一郎に切腹を命じた事を告げる。
「父の仇を討て。」と言うが、「父上をたった一人で三途の川を渡らせるわけにはいかない。」と言うと大和守安定を手にその場を立ち去る嘉一郎。
「渡したい物が有る。」と言い貫一郎の新撰組の羽織を持って来る次郎右衛門。
貫一郎の形見の羽織を胸に抱き、「旦那様、お帰りなさい。旦那様の大好きな南部の米の握り飯を作って待っておりました。夢が叶うなら会いてえな。旦那様に会いてぇ。」と涙するしづと傍らで母に寄り添い涙するみつ。
家族の為に脱藩と言う大罪を犯した貫一郎だが、最後に義を通す。
幕開けからのしづ役美穂裕子リーダーの目からからこぼれ落ちる涙、身重の母を思いやる嘉一郎とみつの涙に、椿裕二座長の涙の熱演に、今回も泣かされました。
今回のラストも、「椿裕二座長誕生日公演」で、里美たかし総座長の演出によるラストでした。
客席から、綺麗に化粧替え着替えを済ませた新撰組の面々、最後尾には吉村貫一郎が登場します。
口上挨拶
椿孝也花形
劇団美川 美川龍士若座長
劇団美川 美川乱牙花形
椿みらんさん
椿拓海さん
2へ続く…