昼の部より続き…
1部 お芝居 涙のしぐれ旅
*配役*
やくざ一家
親分*大川忍副座長
娘*大川礼花花形
子分 文太郎*椿裕二座長
子分 政*椿孝也さん
子分*椿みらんさん・劇団美川 美川龍士若座長・美川乱牙花形
芸者 澄千代*美穂裕子リーダー
倅 文次郎*椿キラさん
料亭女将*夢路えみさん
*あらすじ*
1場:街道
文太郎と一家のお嬢さんは一緒になりたいと思っていたが、なかなか、親分に言い出せずにいた文太郎。
男嫌いで通っている澄千代と文太郎の仲を疑う一家の子分。
澄千代が相撲上がりの大五郎に手籠めにされかけたところを助けたのが文太郎だった。
澄千代には素っ気無い文太郎だったが、澄千代との口喧嘩中、澄千代を蹴ろうとし足に怪我をする。
「家に良い薬があるの。良かったら、家に来る。」と言う澄千代の言葉に、澄千代の家に行く事にする文太郎。
2場:やくざ一家
「相撲上がりの大五郎の奴が澄千代の事を根に持ちやがって、喧嘩状を叩き付けてきやがった。文太郎に旅に出ろとは言えないし、いつ出入りになっても構わない様に支度だけは整えておいてくれ。」と子分たちに言う親分。
そこへ、澄千代が訪ねて来る。
「折り入って親分さんにご相談したい事が…私と文さん、一緒にさせては頂けないでしょうか。言いにくいんですが、実は、私のお腹の中には…」と話す澄千代に、「子供がいるのか…文太郎を呼んでやるから、文太郎とゆっくりと話をすると良い。」と言う親分。
呼ばれてやって来た文太郎と二人切になった澄千代が、「私のお腹には子供が…医者で三月と言われたの。」と言うと、「おろして来い。俺にだって俺の人生があるんだ。」と言う文太郎。
文太郎の言葉に、「お腹の子供は女の意地にかけてでも、一人で産んで立派に育てて見せます。文さんの力は借りないわ。文太郎の馬鹿野郎!」と言い帰って行く澄千代。
その様子を見ていた一家のお嬢さんが現れ、「私の事を騙していたのね。文さんなんか嫌いよ!」と涙する。
親分がやって来て、「相撲上がりの大五郎が喧嘩状を叩き付けてきやがった。暫くの間、旅に出てくれないか。」と言う。
「その前にお嬢さんとの事で…」と言う文太郎に、「娘は堅気の人と一緒にさせるつもりだ。やくざの女房にはさせはしない。」と言う親分。
月日は流れ十年。
文太郎は親分や一家の者が恋しくなり戻って来る。
そして、身内総出の喧嘩出入りと聞き、履いた草鞋そのままに喧嘩場へ駆け付ける。
文太郎の助っ人も有り、見事勝ち戦の一家。
その祝宴の席に文太郎も呼ばれる。
3場:祝宴の席
文太郎の助っ人で喧嘩出入に勝ち、礼を言う親分。
「親分、おいらに盃をおくんなせい。」と文次郎がやって来る。
「おっかちゃんが心配するぞ。」と言う親分に、「やくざになっても構わねえ。たとえ、やくざになっても、女だけは泣かすなよって、おっかぁが言ってました。」と答える文次郎。
そこへ、蔦之屋の女将が勝ち祝にやって来る。
芸者の澄千代は文次郎を産み、今では蔦之屋の女将になっていた。
十年振りに顔を合わせる文太郎と澄千代。
「おっかぁからも頼んでおくれ。」と言う文次郎に、「良かったら、親分さんの盃をやっちゃ頂けないでしょうか。」と頼む澄千代。
そして、文次郎に、「やくざになるのは構やしない。例えやくざになったって、女だけは泣かしちゃいけないよ。」と言う。
それを聞き、「俺への面当てか。」と怒る文太郎。
「十年前の私の愚痴を笑い話だと思って黙って聞いてやっておくんなさいな。置き去りにされた女の身にとっては長い長い苦労の年月でした。今では、その人の事は恨んでいません。恨むどころか心から感謝しています。」と言う澄千代。
文太郎は文次郎の開いた着物の襟元を正すが、元に戻す文次郎。
また、開いた襟元を正すが、元に戻すを繰り返す文次郎。
拳を挙げようとする文太郎だが、「この場はあっしには似合わない。喧嘩だけは何処の誰にも負けた事のないこの俺が、女の意地にやぁ負けましてござんす。」と言い座敷を出て行く。
「おじちゃん、おじちゃん。」と後を追ってやって来た文次郎。
「おいら、おじちゃんの事が気に入ったんだ。おいらも一緒に連れて行ってくれよ。」と言う。
「おじちゃんと一緒なら、お前が苦労する。」と言う文太郎に、「おいら、おじちゃんみたいな強いやくざになりたいんだよ。例えどんな苦労も、おじちゃんと一緒なら平気だよ。」と答える文次郎。
「付けなきゃいけないけりが有る。行こう。」と言う文太郎に、「うん。」と頷く文次郎。
4場:祝宴の席
父親とも知らずに文太郎を慕う文次郎。
文太郎は文次郎を伴い、祝宴の席に戻って来る。
そして、「澄千代、悪かった。」と詫びるがけんもほろろの澄千代。
「ここに居る文太郎だけは決して口を利いちゃいけない。」と言う澄千代の言葉に、「おじちゃんの名前、文太郎って言うのかい。おいらの名前が文次郎。文太郎と文次郎、まるで親子みてえだな。」と言う文次郎。
「澄千代、俺が悪かった。この通り勘弁してくれ。」と頭を下げ再び詫びる文太郎。
澄千代は無言で、文太郎を指差し、そして文次郎を指差し、親指を立てる。
文次郎も無言で、文太郎を指差し、そして自分を指差し、親指を立てる。
そして、文次郎は文太郎に向かって、同じ様に確認する。
文太郎は自分を指差し、文次郎を指差し、親指を立てる。
「文次郎、ちゃんが悪かった。」と抱き合う父と倅。
二人の様子に涙する澄千代。
台詞無き親子名乗りには毎回泣かされます。
口上挨拶
椿孝也花形
大川礼花花形
椿みらんさん
劇団美川 美川乱牙花形
劇団美川 美川龍士若座長
椿拓海さん
2へ続く…