「大川忍副座長・大川礼花花形W祭り」

 

2部 お芝居 刺青奇偶(イレズミチョウハン)

*配役*

半太郎*大川忍副座長

茶屋女 お仲*大川礼花花形

鮫の政五郎親分*椿裕二座長

子分*椿孝也花形・椿キラさん・椿みらんさん

 

おせん*美穂裕子リーダー

医者*夢路えみさん

茶屋追っ手*椿孝也花形・椿キラさん・椿みらんさん

 

 

*あらすじ*

1場:橋の袂

茶屋を足抜けし追っ手に見つかり足蹴にされるお仲。

そこを通り掛かった半太郎が割って入るも、お仲は隙を見て川へ身を投げる。

その音に気付きお仲を助ける半太郎。

助けられたお仲は礼を言うどころか、「男ってさ、女を見れば狙う所は皆同じ。お前さんの好きにして良いよ。」とうそぶく。

半太郎は財布を置き立ち去ろうとする。

恩着せしない半太郎に、「初めて会った。私が出会った男ってさ、女を見れば喰いもんにしたがる人ばっかりだった。私をお前さんと一緒に連れて行ってくれない。」と哀願するお仲。

「連れて行ってやるよ。二度と死のうとするんじゃないぞ。」と言い、くしゃみをするお仲に自分の羽織を掛ける半太郎。

その優しさに涙するお仲。

「俺の名前は半太郎。」

「私はお仲。」

 

二年の月日が流れ…

半太郎とお仲は夫婦になる。

半太郎はやくざから足を洗うも博打好きで貧乏暮らし。

不治の病に侵されたお仲は自分が死んだ後の半太郎の事が気掛かりでならない。

 

2場:半太郎の家

病で床に臥せているお仲に世話を焼く近所のおせん。

お仲を診た医者がおせんを外へ呼び出し、「お仲さんは長くはないですよ。知らせる所に知らせ、遺言を聞いておく方が…だが唯一つ手立てが有ります。二十両程掛かりますが、唐からやって来た高麗人参を飲ませたら、少しは長く生きられるかもしれません。」と言うと帰って行く。

「死んだ妹に似ている。」と言い世話を焼くおせんに、「私、まだ死にたくないんです。早く元気になりたい。夢を見ていたんです。家の人と江戸に行く夢。本当に幸せな夢。」と話すお仲。

牡蠣を手に帰って来る半太郎。

その牡蠣の煮出しを家に帰りやってきてあげると引き受けるおせん。

おせんを見送って来ると言い一緒に家を出る半太郎とおせん。

おせんは今し方の医者の話を半太郎に伝える。

「その二十両、何とかします。」と言うと部屋に戻る半太郎。

「お前さんにお願いが有るの。針箱と硯を持って来てほしいの。」と頼むお仲に、「お安い御用だ。」と持って来る半太郎。

「お前さん、私、もう長くないよ。死に行く女房の後生一生のお願い。この右腕に刺青を彫らせてほしいの。」と言うお仲に、「名前を彫るのか。」と言う半太郎。

「私が死んでも博打はしない様に賽子の刺青。怒らないでね。」と言うお仲に、「分かったよ。」と応じる半太郎。

涙ながらに、賽子の刺青を彫り終えたお仲。

「出来ましたよ。」と言うお仲に、「こいつはおめえの意見の刺青だ。」と言う半太郎。

「もし私が死んだらこれを見て思い出して。博打はいけないよ、お前さん。」というお仲に、半太郎は、「分かった。博打はもうしない。」と約束する。

「私、まだ死にたくない。約束覚えてる?真っ白な花嫁衣裳着せてやると。死ぬ前に着れるかな。」と言うお仲に、「着れるよ。」と言う半太郎。

 

3場:鮫の政五郎一家前

いかさま博打で賭場荒らしをしたと、子分たちに痛めつけられた半太郎。

「俺の顔に泥を塗る気か。」と言う政五郎親分に、半太郎は、「金が欲しかっただけだ。」と言う。

「一朱二朱なら直ぐにくれてやるよ。」と言う政五郎親分に、「あっしの女房が床に伏せっている。二十両が欲しい。あっしがこの世で一番好きなのは女房のお仲。二番目に好きなのは博打。白い花嫁衣裳を着せてやると約束したんです。二十両の高い薬を買えば、一日でも長く生きるかもしれない。」と言いそれまでの訳を話す半太郎。

「ここで最後に差しの勝負をしないか。ここに二十両の金が有る。あんたが勝ったら二十両はやる。あんたが負ければあんたの命を貰う。これが最後の博打。二度と博打に手を出すな。」と言い壷を振る政五郎親分。

半太郎は「半」、政五郎親分は「丁」。

出た賽の目は「丁」。

「丁でござんすよ。」と騒ぐ子分たちを静め、「ぐにの半。これは俺の負けだ。」と言う政五郎親分。

「この御恩、一生忘れはしません。」と礼を言う半太郎に、政五郎親分は、「早いところ、おかみさんの許へ帰ってやれ。」と言う。

「待ってろ!お仲!」と帰って行く半太郎に、「困った人には手を差し伸べる。これが真の男。愛しい女房が助かれば良いな。」と見送る政五郎親分。

 

4場:半太郎の家

息絶え絶えに、「お前さん、早く帰って来て。」と呟くお仲。

「今、帰った。」と戻って来る半太郎。

「私、もう駄目みたい。お前さんに拾われて一緒に暮らして、本当に幸せだった。お願いだから、博打はいけない。」と言うお仲に、半太郎は、「博打はしない。」と約束する。

「私、幸せだった。本当に有難う。」と言うお仲に、「一人になったら、俺、どうして生きて行けば良いんだ。」と言う半太郎。

「大丈夫よ。」と言うと、半太郎の腕の中で静かに息を引き取るお仲。

「お仲!俺は一人でどうすりゃ良いんだ。薬を買う為に約束を破って二十両の金を作って来たが、何の役にも立たなかった。」と肩を落とし出刃包丁を持ちだして来た半太郎は、「俺も直ぐに行く。待ってろ。」と言うと、自らの腹を斬りお仲の後を追う。

 

 

数劇団で数回観ているお芝居ですが…

劇団大川としては8月の琵琶湖座で初上演のお芝居でした。

その時は都合が合わず、観劇を断念しましたが、この日は昼過ぎまでに用事を済ませ、やっとこさの初観劇です。

 

以前に観たのは、

家財の揃った家でお仲の最期を迎えさせてやりたい。

お金を手にするもお仲の最期に間に合わない。

今回観たのは、

死ぬ前に白い花嫁を着せてやりたい。

お仲を看取り我が命を絶つ。(4場は今まで見た劇団には無い場面で初めて観ました。)

 

 

今回のお芝居のキーワードは白い花嫁衣裳と半太郎の後追い。

それが、3部のショーの大川忍副座長・大川礼花花形による「アイノカタチ」の舞踊に繋がります。

考えられた演出でした。

 

 

口上挨拶

椿孝也花形

 

 

椿キラさん

 

 

椿みらんさん

 

完了