6月千穐楽公演に行って来ました。
1部 お芝居 飛車角ストーリー
*配役*
小山角太郎コト飛車角*椿裕二座長
ひさご屋 主 宮川銀次*大川忍副座長
女房 おとよ*美穂裕子リーダー
倅 角次*椿キラさん
旅籠屋 主 金蔵*大川礼花花形
女房 おたね*夢路えみさん
篠原組 二代目 剛造*椿孝也花形
子分*椿みらんさん
*あらすじ*
プロローグ
幕が開くとそこには目を隠す角次。
そっと、姿を現わす飛車角。
かくれんぼする親子…
1場:ひさご屋
元、小金(コキン)一家の小山角太郎コト飛車角・宮川銀次・金蔵の三人は兄弟分の盃を交わした仲。
宮川銀次は堅気になり、女房のおとよとひさご屋を営んでいた。
「この場所に岡場所を建てようと思っているんだ。」と言い、店の明け渡しを迫る篠原組二代目篠原剛造。
銀次が断ると、剛造は、「十年前、小金一家に親父の玉を取られたんだ。黙っているのはお前が堅気だからだ。店を明け渡すか、親父の弔い金五十円を出すか。」と無理難題。
現れたおとよが、「明朝六時まで待って頂けませんか。」と頼むと、「明朝六時、場所は玉井川の材木置き場だ。」と言い帰って行く剛造と子分。
「昔お世話になった蜃気楼の女将さんに頼んできます。」とお金の工面に出かけて行くおとよ。
倅の角次に店番を頼み部屋を出る銀次。
十年前、小金一家は篠原一家を潰し、網走刑務所に投獄されていた飛車角が銀次を訪ねてやって来る。
「胡散臭いやくざもんか。とっとと帰れ!また、おとっちゃんやおっかちゃんをいじめに来たな。」と言う角次に、「古くからの友達なんだ。」と言い銀次を呼んでもらう飛車角。
顔を合わせた二人は再会を喜ぶ。
弟分の金蔵は結城楼で働いていたおたねを身請けし、旅籠の主として頑張っている聞き、「あの金蔵が…」と喜ぶと、おとよの居場所を尋ねる飛車角。
「角さん、面目ねえ。実はおとよは今じゃ俺の女房なんだ。俺の話を聞いて下さい。角さんが網走に送られる時、幸せ薄い女おとよを頼むと言う言葉。三年位経った時、風の便りで飛車角が死んだと聞かされたんです。そんな時、高い熱病に冒されて、俺を介抱してくれたのがおとよなんです。おとよは何も悪くない。みんな男の俺が悪いんです。おとよだけは許してもらいてえ。」と詫びる銀次。
包み隠さず正直に話す銀次に、「おとよを頼む。暫くは金蔵の所に厄介になる。」と言い、おとよには会わずにひさご屋を出て行こうとする飛車角。
雨の中、おとよが帰って来る。
飛車角の姿に驚くおとよ。
「無事でお帰りおめでとうございます。」と言うおとよに、「有難う。宮川に話は聞いた。」と言う飛車角。
「一つだけ聞きたい事が有る。十年前、船着場で、私のお腹の中にはあなたの子供がと言った。生まれたのか。」と聞かれ、「無事に生まれました。」と答えるおとよ。
「名前は。」と聞かれ、「角さんの角、銀次の次をとって角次と名付けました。」と答えるおとよ。
店番をしていた男の子が角次と知った飛車角は、「もう一度、会わせてくれないか。」と銀次に頼む。
「角次は俺の子だ。名乗らないでもらいたい。」と言う銀次に、「顔を見るだけで良い。」と頼む飛車角。
躊躇するおとよに角次を呼ぶように言う銀次。
呼ばれて現れた角次に見送りする様に話すおとよ。
「おじちゃん、もう帰るのか。今日一日泊まって行けよ。良いだろう。」と言い飛車角の側を離れない角次。
「今度来る時にはお土産でも買って来てやる。」と言い、後ろ髪引かれつつもひさご屋を出て行く飛車角。
降りしきる雨に傘を差しだすおとよ。
飛車角は、「十年振り、網走から娑婆に帰って来た飛車角。表は土砂降りのお出迎えか…」と言いひさご屋を後にする。
2場:旅籠屋
「飛車角は死んだ。」と聞かされていた金蔵は再会を喜ぶ。
そこへ、おとよが訪ねて来る。
気を利かし部屋を出る金蔵とおたね。
「今日は恥を忍んで訪ねて参りました。」と言い、「角さんたちが十年前に潰した篠原組二代目が、日にち毎日、岡場所を建てると言い、立ち退いてもらいたいと矢の付く様な催促。私たちに力を貸しては頂けないでしょうか。」と頼むおとよ。
「宮川に黙って来たな。俺はあいつと揉めたくはない。今日のところはお引取願えますか。」と断る飛車角に、おとよは、「角次の為にも力を貸しては頂けないでしょうか。」と頭を下げるが、首を横に振る飛車角。
おとよが諦めて帰ろうとした時、銀次がやって来る。
おとよに手を上げ、飛車角を足蹴にすると、「飛車角!文句が有るならいつでも来い!飛車角の大馬鹿野郎!」と言い部屋を出て行く。
出刃包丁を持ち出し銀次の後を追おうとする金蔵を止め、「宮川はおとよを助けてやったんだ。」と諭すと、篠原組二代目篠原剛造の名前を聞き出す。
「頭の血を冷やしてくる。」と言い旅籠屋を出て行く飛車角。
飛車角の後を追う金蔵とおたね。
3場:玉井川材木置き場
「ひさご屋の代理で来ました。」と言う飛車角に、「金は持って来たか。」と言う剛造。
「話をしに来ました。」と答える飛車角に、剛蔵は、「お前は誰だ。」と聞く。
「小山角太郎コト飛車角です。」と聞き、「親父の仇だ。」と刃物沙汰になる。
剛造たちを斬った飛車角は、「角さ~ん。」「おじちゃん。」との声に身を隠す。
飛車角を捜しにやって来た銀次とおとよと角次、金蔵とおたね。
その場の様子に、飛車角が一人で篠原組と争った事を悟った銀次は、「あのおじちゃんがかくれんぼしたいんだって。遊んでやってくれるか。」と角次に話す。
ひとりになった角次は、「もういいかい。もういいかい。」と言うと、姿を現す飛車角。
「おじちゃん、見付けた。」と飛車角に抱きつく角次。
「お父さんとお母さん、好きか。」と尋ねる飛車角に、「うん。でも、おいら、お父っちゃんの方が好きだな。だって、優しいもん。」と答える角次。
飛車角が、「夢、有るかい。」と尋ねると、角次は、「おとっちゃん、おっかちゃんを苦しめる悪い奴を捕まえるお役人さんになりたいんだ。」と答える。
「坊主の初手柄。おじちゃん、ここで悪い事をしたんだ。お縄頂戴します。」と両手を差し出す飛車角に、「おじちゃんはおとっちゃんやおっかちゃんを助けてくれたんだ。今度だけは見逃してやるよ。」と言う角次。
「泊まって行けよ。」と引き止める角次に、「折角、見逃してくれたのに、他のお役人さんの縄になってしまう。」と言いその場を去ろうとする飛車角。
飛車角の下駄を揃え、長羽織を角次に手渡すおたね。
「おじちゃん、忘れ物だよ。」と言う角次に、「着せてくれるのか。」と言う飛車角。
「おじちゃん!」と後ろから抱き付き長羽織を掛ける角次。
「おじちゃん、また来いよ。」と叫ぶ角次の声を背にその場を後にする飛車角。
今回初めて、プロローグ付きを観ました。
冒頭、幕が開くと、いつもと違う場面で、プロローグがエピローグ。
おとよとの間に出来た我が子の角次に親子名乗りせず、血の繋がりは無くても、我が子として角次を可愛がる銀次に託し、一人去って行く飛車角の心情にホロッとさせられます。
口上挨拶
大川忍副座長
大川礼花花形
椿孝也花形
椿みらんさん
②へ続く…