⑰より続き…
順不同になりましたが…
2部 お芝居 悲恋地獄
*配役*
江戸屋清次郎(エドヤセイジロウ)*おおみ達磨座長
清次郎の女房 お秋(オアキ)*おおみ悠総座長
清次郎の叔父*責任者 近江剣太郎さん
料亭
花板 定吉(サダキチ)*水希咲哉花形
定吉の女房 お房(オフサ)*大川まち子さん
板前 鶴*おおみ龍炎さん
板前 亀*おおみ美梨さん
*あらすじ*
1場:清次郎の家
料亭で働くお秋が、夜通しの仕事を終え帰って来る。
吉原松葉屋の女郎のお秋を身請けし所帯を持った清次郎は盲となっていた。
清次郎の叔父が迎えにやって来るが、「お秋と一緒でないと家には帰りません。」と拒む清次郎。
「ここに金がある。このお金は江戸屋とお前の縁切金だ。人別帳からも外す。」と言い帰って行く叔父。
「頼れるのはお前一人。見捨てないでおくれ。」と、お秋に哀願する清次郎。
お房がやって来て、「うちの長屋はがきががうるさいのよ。お秋ちゃんの所の二階、暫くの間、間借りさせてもらえないだろうかね。」と尋ねる。
清次郎がその話を承諾すると、そそくさと帰って行くお房。
清次郎は一人で、眼医者へと出かけて行く。
早速、料亭の鶴と亀が、定吉とお房夫婦の荷物を運んで来ると帰って行く。
お秋が一人になったところへ、定吉がやって来る。
「俺はお前さんに何処かで会った事がある気がするんだが…」と言う定吉は、お秋が吉原松葉屋に居た源氏名は花扇と思い出す。
そして、亭主が盲で苦労しているだろうお秋に、「その苦労を俺が買ってやろうと言ってるんだよ。」と言いうと、お秋の着物の帯を解く。
2場:街道
折角の休みなのに、お金のない鶴と亀。
そこで、焼餅焼きのお房から小遣いを巻き上げようと思い付く。
やって来たお房に、定吉とお秋が出来ていると吹聴し小遣いを巻き上げる鶴と亀。
「お秋、今にどうする、覚えておいでよ!」と怒り心頭で帰って行くお房。
3場:清次郎の家
「早く医者へ行っておくれよ。」と言い、清次郎を外へ放り出したうえに履物と杖を渡すお秋。
鶴と亀の話に怒り心頭のお房が帰って来る。
お秋と争っているところへ割って入った定吉に、「お前の事は飯炊き女としか思っていない。」と追い出されるお房。
思いつめた表情の清次郎が帰って来る。
「定吉さんの事は忘れてくれ。」とお秋に頼む清次郎に、「俺とお秋はとうの昔に出来ているんだ。」と追い打ちをかける定吉。
「お秋を返して下さい。」と頼む清次郎に、「ここはお前の家だ。出て行けとは言わない。俺とお秋は二階で寝る。お前はこの辺で、一人で転がってろ。」と言い、二階へ上がる定吉と後に続くお秋。
清次郎が泣き崩れているところへ叔父がやって来る。
「清次郎、信じていた人に裏切られてつらいね。悔しいだろう。お前は兄さんに同じ事をしたんだ。江戸屋清吉、お前のおとっつあんはこの世の人でない。跡取りのいない江戸屋は廃業と決まった。杖を頼っちゃいけない。杖が無くても一人で歩ける様になるんだ。男としての取るべき道があるだろう。可哀そうな清次郎…」と言い去って行く。
「一人にしないでおくれ。」と泣き叫ぶ清次郎だったが、「杖を頼るな。人を頼るな。一人でも歩ける様になるんだ。男としての取るべき道。」との叔父の言葉に意を決する。
4場:清次郎の家
何度も転びながらも、杖を頼らずに歩ける様になった清次郎は、「こんばんは。こんばんは。」と二階へ声を掛ける。
真っ暗の階下へ降りてきた定吉が行燈に火を灯すと、そこには清次郎の姿が…
驚く定吉に、「お秋を返して下さい。」と言いながら定吉を刺す清次郎。
そして、定吉が刺され驚き下りてきたお秋に、「これからは、また私と幸せに暮らして行こう。」と言う清次郎。
「どめくら!そこをおどきよ!」と叫ぶお秋に、「お前を刺して私も死ぬ。」と言い匕首を振り回す清次郎。
行燈が倒れ火の手が上がる。
追い詰められたお秋は、「目が覚めた。これからはお前さんと一緒に生きて行く。」と言いつつも、清次郎の匕首を奪い刺そうとする。
再び裏切られた清次郎はお秋を刺し殺す。
息絶えたお秋を抱き、「お秋、許しておくれ。愛しいお前を胸に抱き、悲恋地獄へと…」と言い自らの腹を突く清次郎。
定吉の年増のお房役の大川まち子さんが、半端なく笑わせてくれました。
風呂桶を客席に飛ばす勢いでした。
「飯炊き女としか思っていない。一度も手を出した事が無いだろ。」と言う定吉に、「それだけ私の事を大事にしてくれていると思っていた。」と返すお房が不憫で…と思いつつ笑ってしまいました。
清次郎に刺されたお秋が、凄い形相で、「清次郎!」と叫びます。
普段穏やかな表情のおおみ悠総座長の顔が般若面の様でした。これがお秋の本性だったとは思いたくはないですが、清次郎に尽くす貞操な女房の頃がこの一言で覆されました。
口上挨拶
おおみ達磨座長
⑲へ続く…
