⑰より続き…
順不同になりましたが…
2部 お芝居 地蔵の宇之吉
*配役*
地蔵の宇之吉*市川かずひろ座長
宇之吉の母 うめ*市川実蕾さん
土地のやくざ
親分*中村喜童さん
子分*肥前隆次さん
子分*市川みづきさん
小金井小次郎*市川たかひろ若座長
新吉*華家銀次郎さん
茶店の娘*市川みずえさん
*あらすじ*
1幕:茶店前
茶店にやって来た旅人。
茶店の娘から、
「さっき、目界のお年寄りがやって来て、倅さんを捜していると。
その倅さんは、額には、幼い頃に、柿の木から落ちた時の傷、背には、地蔵の彫り物があり、地蔵の宇之吉と呼ばれているらしい。捜してもらえませんか。」と言われ、旅人は引受け、一人床机に腰かける。
土地のやくざの子分達に追われている新吉を、宇之吉が助ける。
宇之吉は、事情を聞く。
「名は新吉で、呉服問屋の一人息子。
博打に手を出し、店のお金に手を付けてしまい、家を追い出されてしまった。
家を出る時、おっ母さんが、二十五両持たせてくれた。
この土地に来て博打をしたところ、五十両になり、いかさまだと言い掛りを付けられ追われていた。」と言う新吉。
しかし、さっきのやくざの子分達に、持ち金を取られ、「金がないと生きて行けない。十両あれば、生きて行ける。」と言う。
宇之吉は、母親の為にと貯めたお金があったが、一計を案じ、新吉には、「茶店の中で待つように。」と言う。
茶店の娘に、「旅の行きずりの仁義」と、一番安い酒を、腰かけている旅人に持って行くように言う。
旅人は、「それに、もう一本付けて、お返しだと持って行ってくれ。」言う。
「お返しのお返し。」
「お返しのお返しのそのまたお返し。」
痺れを切らした宇之吉は、その徳利の一本に、捕まえた銀蠅を入れる。
そして、「俺を殺すつもりか。」と、旅人にに難癖を付ける。
「仕方がない。お金でけりを付けてやる。大枚十両。」と言う宇之吉。
「人一人の命が十両なら安いもんだ。」と、宇之吉に十両を手渡す旅人。
十両を手に入れた宇之吉は、そっくり新吉に手渡してやる。
宇之吉に名前を尋ねる新吉。
考えた挙句、「小金井小次郎。」と答える宇之吉。
十両をてにした新吉は、帰って行く。
土地のやくざの親分が、子分達の仕返しにやって来る。
「この場で勝負しろ。」と言う親分に、「ここでは堅気さんに迷惑がかかる。時と場所を改めて。」と答える宇之吉。
「時は、暮れ六つ。場所は、三十三番の札所。」と言い、帰って行くやくざ達。
宇之吉が、三十三番の札所に向かおうとすると、旅人に呼び止められる。
「名前を教えて下さい。」と尋ねる旅人。
「泣く子も黙る小金井小次郎だ。」と答える宇之吉。
「待て!偽物!この俺が小金井小次郎だ。」
「申し訳ございません。悪い事に使ったわけじゃないです。良い事に使ったんです。」と、許しを請う宇之吉に、刀を振り下ろそうとする小次郎。
そこへ、茶店の娘がやって来て、宇之吉の額の傷を見つけ、「地蔵の宇之吉さんでは?」と尋ねる。
「そうだ。」と答える宇之吉に、「宇之吉さんの目界のおっ母さんが、三十三番の札所に向かった。」と教える。
「おっ母さんが…」と、宇之吉も向かおうとするが、「この場のけりをつけて行け。」と言う小次郎。
宇之吉は、自分の小指を噛み切り、「これで一時の時間を…」と、小次郎に差し出し、掛け出していく。
その後ろ姿に、「めっぽう、気風の良い男だな。」と呟く小次郎。
2幕:三十三番札所のお地蔵さん前
うめが、お地蔵さんに願掛けしている所へ、「おっかぁ~、おっかぁ~」と、宇之吉が掛けて来る。
「その声は宇之吉。」、再会を喜ぶ二人。
「堅気になって、呉服問屋を営んでいる。許婚もいる。」と、母を安心させる為に嘘をつく。
土地の親分達がやって来る。
「親分と話が済むまで、向こうのお堂で待っていてくれ。」と言う宇之吉は、「最初にしてやる親孝行。」と、お堂まで母を背負う。
戻って来た宇之吉に、襲いかかるやくざ達。
やくざ達をやっつけはしたものの、手負いの傷の宇之吉。
地蔵の傍らに辿り着き、
「お地蔵さん、お願いだ。やっと会えたおっ母さんだ。
おっ母さんの身の振りつくまで、この命もたせて下さい。
俺は、お前さんの申し子と言われた地蔵の宇之吉と言うんだ。」と願う宇之吉。
そこへ、新吉が通りがかる。
血まみれの宇之吉を見て驚く新吉。
「頼みがある。向こうのお堂に、おっ母さんがいる。この先、おっ母さんの面倒を見て欲しい。
おっ母ぁは、目が見ない。おっ母ぁが死ぬまでは、宇之吉として死に水を取って欲しい。」と新吉に頼む宇之吉。
「それは出来ない。」と断る新吉。
「死に行く人の言う事だ。聞いてやらないとならない。誰の為にこうなったか…」と、宇之吉を追って来た小次郎が諭す。
「生涯、面倒見させてもらいます。」と答えた新吉は、お堂へ、宇之吉の母を迎えに行く。
「俺の身内にならないか?」と、宇之吉に尋ねる小次郎。
「こんな俺が、身内になれば、親分の役には立たない。」と答える宇之吉。
「身内になりゃ、お前の骨は、この小金井小次郎が、拾う事ができるんだ。」
「ありがとうござんす。」
小金井小次郎の胸の内を知り、礼を言う宇之吉。
「さっきから、声が違うようだ。」と宇之吉のおっ母に言われ、「少し風邪を引いたようだ。」と答える新吉。
「おっ母ぁ、おいらと会えたのはお地蔵さんのお陰だ。」と言う新吉。
白衣を地蔵ならぬ宇之吉に掛け、「お地蔵さんや、ただただ有難うございます。」と手を合わせる母。
母の為に貯めたお金を、新吉に差し出し、両手合わせ、新吉に頼む宇之吉。
「お地蔵さんや、長々有難うございます。」と、宇之吉の身代わりの新吉と帰って行く母。
「おっ母ぁ!」
「宇之やぁ!」
小金井小次郎に支えられ、息を引き取る宇之吉。
前半は、笑い有り。
後半は、血糊を使ってのかずひろ座長の迫真のお芝居でした。
それにしても、最近、長々のあらすじに、自分でも閉口。
もっと、簡潔に要点をまとめ、的確に書かなければ。
でも…
最初省略していた文言が、後の繋がりには必要になったりして。
また、追書したりで、結局長文ななってしまう。
最後まで読んで下さる方に、感謝いたします。
口上
小金井小次郎*市川たかひろ若座長
宇之吉の母*市川実蕾さん
前売券販売時に、お客様一人一人に手渡されました
金の延べ棒風
GOLD POLISHED RICE
お米~お茶椀2杯分
⑲へ続く…