「お腹の調子が悪くて気分が落ち込む」
これは「脳腸相関」と呼ばれるメカニズムによるもの。

腸と脳は情報のやりとりをしてお互いの機能を調整するしくみがあり、
いま世界中の研究者が、注目する研究対象。

腸内環境が乱れると
不眠、うつ、発達障害、認知症、糖尿病、肥満、高血圧、免疫疾患や感染症の重症化……と、
全身のあらゆる不調に関わる、という。

人の自閉症児では、
消化器問題症状がよく見られ、
健常人の糞便から胃腸炎を引き起こす可能性のあるクロストリジウム属の細菌を除去し、
7〜16歳の18人のアメリカの自閉スペクトラム症児に移植。
その結果、消化器症状が著しく改善した。

この症状が改善した18人を糞便移植後2年間にわたって追跡調査したところ、
消化器症状も自閉症状も改善が維持され、
これらの結果から、
腸内マイクロバイオータが何らかのしくみを介して、自閉症状を改善する可能性が示された。

『「腸と脳」の科学』(講談社ブルーバックス)を抜粋、編集のニュースより