M-net 10月スペシャルイベント
今月のM-netは、待ちに待った真田幸光先生の講演会でした!
定員30名程のアットホームな会場での講演でした!
真田先生は快く引き受けて下さいました!
改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
先ずは、進行役の吉田会長から真田先生の簡単なプロフィールを紹介。
進行役の吉田会長です
お名前からも分かるように、真田先生は真田幸村の末裔の方です。
現在、愛知淑徳大学ビジネス学部・ビジネス研究科の教授をされています。
また、日本全国、海外にも一年中飛び回っておられ、常にアンテナを各方面に向けられていらっしゃいます。
真田幸光先生
いよいよ真田先生の講演です!
とても濃い内容でしたので、拙い文章でご講演の内容が伝わるか心配ですが、下記に議事録としてまとめましたので、ご参照ください!
~厳しい国際環境の中で自立再生を探る!!~
■経済状況について
● 今後、景気の二番底はあるのか?
マーケット(投資家)の考えでは、全体の1/4が「ある」と考えている。
その理由は下記の通り。
1、ギリシャ問題(PIGS問題。すなわち、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)
なぜギリシャ問題は起こったか?
アメリカでリーマンショック(金融機関が金融機関に対し与信行為を行わなくなった)が起こり、マーケットに信用収縮の人為的な流れが発生。
金融機関に金を貸さない、つまりはそれより信用の薄い事業法人や個人にもお金を貸さないということ。市民の買い物に欠かせないローンやクレジットカードも信用収縮の影響を受け、それらでの支払いができなくなった民間の消費は滞る。GDPの約7割が民間消費で成り立っているアメリカは、経済に大ダメージを受けた。
リーマンショックはサブプライムローンとも関係をしている。
その債権が海外に流出し、世界へ伝播していった。ヨーロッパも例に漏れることなく、その中でギリシャの景気が悪化していった。
資産の少ないギリシャは、自己再生をはかるため自国通貨のユーロで債券を発行。他国のユーロ債券よりも金利がよいギリシャに人気が集まり、ギリシャユーロは売れまくった。
しかし、投資家は買い過ぎに気づき、ユーロを売り始める。同時期に皆同じように売りに出したものだから、安価で買い叩かれ更に売れなくなり、ユーロの動きが停滞してしまった。
さらに、IMFが介入して立ち直るかに見えたギリシャだが、IMFの提案した“薬”に反発したことで、ギリシャ問題が収まらなないのでは?との懸念がマーケット内で更に強まった。
ギリシャが崩壊してしまったら…同じユーロを使用しているヨーロッパの国々が、ギリシャと共倒れになることも考えられる。特にイギリスの場合は、10兆とも言われているイギリス資産の約3割が一瞬にして焦げ付くだろう。
更に、同じアングロサクソン系であるアメリカにまで飛び火するかもしれない。そうなれば、アメリカは約40兆円が不良資産をかかえることになるだろう。
世界全体では、約340兆円もの金が一瞬にして消えてしまうのである。
だが、最近はギリシャも歩み寄りを始めているし、IMFも提案を緩和してきているので、そうはならないだろうというのが真田先生の見解。
もし仮に、マーケットの想像通りの事態になった場合、為替相場円は、1ドル75円/1ユーロ95円まで落ち込む、と予想される。
その場合は、決して「円高」ではない、ということを注意しなければならない。
一見 “ ユーロ<米ドル<円 ” という図式にはなるが、全て悪い中で円が他二つより多少ましというだけのこと。世界的にみれば3つとも悪い。円が強いわけではないので、ユーロ・ドルが回復すれば、円が落ちる可能性は充分にある。
アメリカ中間選挙がある関係で、ドルは年末に95円くらいまで戻してくるかもしれない。
ユーロは、今ユーロ安で欧州は活気づいており、このままユーロ安を人為的に保つ可能性があり、なかなか上がらないとみられる。
先日の日本の「単独介入」は、投資家の罠である。すでに81円まで戻されてしまっているがその証拠。協調介入の努力をしなかったのが、日本の怠慢だった。
IMFが発表した購買力平価の値115円を楯に、アメリカに詰め寄って協調介入するべきであった。
2、イラン問題
軍拡の動きのあるイランは、ロシアに対抗して核の保有をめざしているとみられている。
そんなイランに核保有されてはたまったものではない、と、イランに脅威を感じているイスラエルがイランに対して“空爆も辞さない”勢いで騒ぎだした。
原油大国イランが爆撃されると、原油高騰は必至。こんな脆弱な経済状況の中でエネルギー源の高騰が起これば一大事だ。
そこでアメリカは、イスラエルが納得するであろう姿勢を見せる事にした。
すなわち、国連常任理事国の中で拒否権を持つ5カ国が、イランに対して制裁を行うことを提案したのだ。イギリスとフランスはもとより、ロシアも同意、中国もエネルギー源の高騰で経済成長に歯止めをかけられては困る、ということで同意した。
イランは窮地に立たされ、共に虐げられている北朝鮮と協力体制をとった。
アメリカはこれをいち早く嗅ぎ付け、北朝鮮に圧力をかけるが、この騒ぎにお隣の中国は機嫌をそこねた。
結果、アメリカに遠回しに喧嘩を売るべく六者協議を持ち出してくるなど、イランの思惑どおりに大国である米中の足並みは崩れたのであった。
また、中国は北朝鮮の後継者問題に関して、北朝鮮に2つ程要求をしていた。
その中のひとつ、「どこかの市場を開放しろ」との内容に、北朝鮮は新儀州を開放した。ロシアと北朝鮮の領土に阻まれて日本海側に領土の無い中国は、防川から豆満江を下降して日本海へ出たかった。故に、先峰市場を狙っていたのだが…。更に、ロシアの名前をちらつかせて中国をおどすなど、北朝鮮は上手であった。外交能力の高い国なのである。
のような背景で、イランが起爆剤となり経済が危うくなる可能性もある。
しかしながら、イランはとりあえず収まっている。
日本の金融機関も足並み揃えてイラン制裁してしまった訳だが、今後困るのではないか?
日本はアメリカと同じようにやってはダメだと思うが、永田町の方向から圧力が…。
上記のような2つが、マーケットが「二番底」を懸念する理由である。

● 株の話
世界的に見ると資金は溢れているのだが、株式市場が安定しないために思い切って流れていけないでいる。今後安定するかどうかも読めない状況なので、若干の上下はするものの、一気に上がる事は無いと考えられる。
このような背景は、“金融株”が非常に不安定なのが要因の一つである。
リーマンショック以降、自己資本比率を高めなければならず、広義では10.5%(バーゼルスリー(スリーはギリシャ数字の三本線))、普通株だけでも7.5%を目標としている。
日本の三大メガ金融機関は、4兆円くらいの資金を調達し、なおかつ自己資本比率を高めたままとなると、大きな動きはできず…。マーケットは「配当を下げるのではないか」予測しており、そのため、株を買う理由もなくなってしまった。日本の株価がなかなか上がトレードに入らないのは、こういう要因もあるということを意識しなければならない。
日本以上苦しいのがスイスである。スイスの2大バンクは、リーマンとサブプライムで自己資本比率が弱くなっている。2大バンクのトータルアシストはスイスのGDPの約4倍であり、これが潰れでもしたらそれこそ一大事だ。
スイス政府は、2019年までに比率を19%にすること、普通株も10%にすること目指しており、銀行は勝負に出られない。故に配当もなかなか出せず、スイスの金融株は上がらないのだ。
この一連の金融株の動きが一般の株価にも影響を与えているので、こちらもなかなか上がらない。
金融株がマーケットに与える影響は絶大である。
上記の理由から、資金はあるので売ったり買ったりの抜き差しはあるが、しばらくは上がらないだろうと推測される。
● 金利の話
アメリカは、国債の影響で金利が上がった。
サブプライムやリーマンなどの問題で国債の金利が上がり、その金利は長期金利にも反映されていくので、長期金利が上がってきたのである。
日本も同様な状況ではあるが、今まで日本は国債を国内で処理してきた。しかし、国内で消費しきれなくなり、政府は海外へ売りをかけた。
そこで買いにきたのが中国である。中国には日本国債を所有する様々な理由、メリットが存在したのである。
国債が売れたために金利が下がり、長期円金利も上がらず…。
これが長期円金利を上がらせないようにしている背景である。
しかし、近年中国が日本国債を売りに出しているので、これから全体として金利が上がるかもしれない。
もし、円資金でビジネスを考えている人が居るなら、早めに固定で資金を押さえた方が安心かもしれない。
という話。
さて、ここから第2部です
■日本の自立再生!

左が「覇権システム」、右が「均衡」です。
アメリカブッシュ政権時は「覇権システム」だった。ブッシュ共和党は人が生きていくのに必要な「水」「食料」「原材料」「エネルギー」、そして更に「お金」を押さえて地位を確立していた。
しかし、覇権システムの弱点である「格差」が生じることとなる。
オバマ氏の「チェンジ」とは、「覇権→協調に“チェンジ”」という事で、格差社会で虐げられた労働者階級の人々の支持受け当選したのである。
オバマ大統領は国内のみならず世界へ向けても「覇権システム」を「協調」にチェンジすると公言した。「協調」になればみんな均衡なんだから経済は良くなるはずだったのだ。
しかし…現状である。
世界的にはこれから、アメリカと勢いに乗っている中国の2つの大国が、ツートップとして世界を統括する、いわゆる「G2」体制になるのではないかと予測している。
しかし、アメリカと中国はなかなか足並みが揃わない。
尖閣諸島問題がいい例である。中国はもともと日本なんて眼中にないのである。アメリカと対峙し、日本をサンドバッグにして喧嘩をしているのだ。

真ん中の赤い人形が日本です
さて、このような状況の中、日本は国際的にどこに立つのが一番良いか。
それは、中立的立場に立ち、世界に必要なものを安定供給できる国になるべきである。
日本にしかできない物やサービスを提供できる国になれれば、世界に必要不可欠な存在になり、外から攻撃されることもなく、軍隊を置く必要もなくなるだろう。
そのような「安定供給」を、日本国内の中小企業が支えるようにするのである。
今の日本の中小企業は、大企業に依存しているところも多い。
しかし、大企業は厳しい経済状況の中でローコスト・ハイリターンを求めて海外へ出て行ってしまうだろう。依存していた中小企業は潰れ、特に大企業にクライアントを一本化しているところ等はひとたまりも無い。経済は良くならない。
そうならないために、大企業から自立をし、中小企業同士が続々と手をつないでパッチワークのような繋がりを作っていくような社会作りが必要なのだ。
中小企業の利点は、人材費が少ないところだ。多少コストがかかって営業利益が少なくても、一人頭の配当は大企業よりも安定している。
また、日本の「丹精込めたもの作り」の精神は世界的にも評価されている。
例えば、料亭で来る人に合わせて塩加減や味付けを変えたりする、など。
日本人独特の感性で、マニュアル化できない丁寧な仕事ぶりが、精度が高く品質も安定した安心感のあるものを作り上げるのだ。
そのマニュアル化できない部分を今のうちにマニュアル化することが、必要不可欠である。
そのようにして、中小企業が高品質な物を作り、海外へアプローチをする。
その時に困るのが、交渉時に必要な言葉や世界経済などの知識である。
国や地方自治体は、そこを手助けすべきである。国が勉強が出来るような環境を提供し、世界へアプローチできる中小企業を増やして行くのである。
中小企業が元気になれば、自立再生も可能だ。
例えば、石油資源などは後数年で底をつくと言われているが、それに代替するようなものを日本が作り出せば良い。そして世界へ供給できるようにする。
今の国際環境の中、日本はそのような自立した国にならなければいけない。
実際に真田先生は色々な中小企業の手助けをされており、その中には人員が5人程で年商が何億というところもあるとのこと。
また、日本の自立再生に関しても、上記のような日本の特性を生かした再生方法を探り、実際にプロジェクトとして活動しているそうです。
ご自身の「あくまでも一個人の意見として~」との前置きから始まった講演ですが、東アジアの経済や世界的な国の動きについての解説もとても分かり易く、また、今後の動向についても、具体的な資料を元にご意見され、その中で日本がどう自力再生していけばよいか?という事に関しては、日本の特性を生かした再生方法を探り、実際にプロジェクトとして動いていらっしゃる…。お考えと行動力に、深い感動を覚えました。世界経済の動きは人ごとではなく、もっと勉強していかなければ、と考えさせられました。
一時間半ほどの真田先生のご講演のあとは、交流会です!
このあとご予定があるとおっしゃっていた真田先生も、時間の許し限り少しだけ出席くださいました!


ありがとうございました!

担当幹事/吉田・高橋
議事録/高橋・水村
定員30名程のアットホームな会場での講演でした!
真田先生は快く引き受けて下さいました!
改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
先ずは、進行役の吉田会長から真田先生の簡単なプロフィールを紹介。
進行役の吉田会長ですお名前からも分かるように、真田先生は真田幸村の末裔の方です。
現在、愛知淑徳大学ビジネス学部・ビジネス研究科の教授をされています。
また、日本全国、海外にも一年中飛び回っておられ、常にアンテナを各方面に向けられていらっしゃいます。
真田幸光先生いよいよ真田先生の講演です!
とても濃い内容でしたので、拙い文章でご講演の内容が伝わるか心配ですが、下記に議事録としてまとめましたので、ご参照ください!
~厳しい国際環境の中で自立再生を探る!!~
● 今後、景気の二番底はあるのか?
マーケット(投資家)の考えでは、全体の1/4が「ある」と考えている。
その理由は下記の通り。
1、ギリシャ問題(PIGS問題。すなわち、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)
なぜギリシャ問題は起こったか?
アメリカでリーマンショック(金融機関が金融機関に対し与信行為を行わなくなった)が起こり、マーケットに信用収縮の人為的な流れが発生。
金融機関に金を貸さない、つまりはそれより信用の薄い事業法人や個人にもお金を貸さないということ。市民の買い物に欠かせないローンやクレジットカードも信用収縮の影響を受け、それらでの支払いができなくなった民間の消費は滞る。GDPの約7割が民間消費で成り立っているアメリカは、経済に大ダメージを受けた。
リーマンショックはサブプライムローンとも関係をしている。
その債権が海外に流出し、世界へ伝播していった。ヨーロッパも例に漏れることなく、その中でギリシャの景気が悪化していった。
資産の少ないギリシャは、自己再生をはかるため自国通貨のユーロで債券を発行。他国のユーロ債券よりも金利がよいギリシャに人気が集まり、ギリシャユーロは売れまくった。
しかし、投資家は買い過ぎに気づき、ユーロを売り始める。同時期に皆同じように売りに出したものだから、安価で買い叩かれ更に売れなくなり、ユーロの動きが停滞してしまった。
さらに、IMFが介入して立ち直るかに見えたギリシャだが、IMFの提案した“薬”に反発したことで、ギリシャ問題が収まらなないのでは?との懸念がマーケット内で更に強まった。
ギリシャが崩壊してしまったら…同じユーロを使用しているヨーロッパの国々が、ギリシャと共倒れになることも考えられる。特にイギリスの場合は、10兆とも言われているイギリス資産の約3割が一瞬にして焦げ付くだろう。
更に、同じアングロサクソン系であるアメリカにまで飛び火するかもしれない。そうなれば、アメリカは約40兆円が不良資産をかかえることになるだろう。
世界全体では、約340兆円もの金が一瞬にして消えてしまうのである。
だが、最近はギリシャも歩み寄りを始めているし、IMFも提案を緩和してきているので、そうはならないだろうというのが真田先生の見解。
もし仮に、マーケットの想像通りの事態になった場合、為替相場円は、1ドル75円/1ユーロ95円まで落ち込む、と予想される。
その場合は、決して「円高」ではない、ということを注意しなければならない。
一見 “ ユーロ<米ドル<円 ” という図式にはなるが、全て悪い中で円が他二つより多少ましというだけのこと。世界的にみれば3つとも悪い。円が強いわけではないので、ユーロ・ドルが回復すれば、円が落ちる可能性は充分にある。
アメリカ中間選挙がある関係で、ドルは年末に95円くらいまで戻してくるかもしれない。
ユーロは、今ユーロ安で欧州は活気づいており、このままユーロ安を人為的に保つ可能性があり、なかなか上がらないとみられる。
先日の日本の「単独介入」は、投資家の罠である。すでに81円まで戻されてしまっているがその証拠。協調介入の努力をしなかったのが、日本の怠慢だった。
IMFが発表した購買力平価の値115円を楯に、アメリカに詰め寄って協調介入するべきであった。
2、イラン問題
軍拡の動きのあるイランは、ロシアに対抗して核の保有をめざしているとみられている。
そんなイランに核保有されてはたまったものではない、と、イランに脅威を感じているイスラエルがイランに対して“空爆も辞さない”勢いで騒ぎだした。
原油大国イランが爆撃されると、原油高騰は必至。こんな脆弱な経済状況の中でエネルギー源の高騰が起これば一大事だ。
そこでアメリカは、イスラエルが納得するであろう姿勢を見せる事にした。
すなわち、国連常任理事国の中で拒否権を持つ5カ国が、イランに対して制裁を行うことを提案したのだ。イギリスとフランスはもとより、ロシアも同意、中国もエネルギー源の高騰で経済成長に歯止めをかけられては困る、ということで同意した。
イランは窮地に立たされ、共に虐げられている北朝鮮と協力体制をとった。
アメリカはこれをいち早く嗅ぎ付け、北朝鮮に圧力をかけるが、この騒ぎにお隣の中国は機嫌をそこねた。
結果、アメリカに遠回しに喧嘩を売るべく六者協議を持ち出してくるなど、イランの思惑どおりに大国である米中の足並みは崩れたのであった。
また、中国は北朝鮮の後継者問題に関して、北朝鮮に2つ程要求をしていた。
その中のひとつ、「どこかの市場を開放しろ」との内容に、北朝鮮は新儀州を開放した。ロシアと北朝鮮の領土に阻まれて日本海側に領土の無い中国は、防川から豆満江を下降して日本海へ出たかった。故に、先峰市場を狙っていたのだが…。更に、ロシアの名前をちらつかせて中国をおどすなど、北朝鮮は上手であった。外交能力の高い国なのである。
のような背景で、イランが起爆剤となり経済が危うくなる可能性もある。
しかしながら、イランはとりあえず収まっている。
日本の金融機関も足並み揃えてイラン制裁してしまった訳だが、今後困るのではないか?
日本はアメリカと同じようにやってはダメだと思うが、永田町の方向から圧力が…。
上記のような2つが、マーケットが「二番底」を懸念する理由である。

● 株の話
世界的に見ると資金は溢れているのだが、株式市場が安定しないために思い切って流れていけないでいる。今後安定するかどうかも読めない状況なので、若干の上下はするものの、一気に上がる事は無いと考えられる。
このような背景は、“金融株”が非常に不安定なのが要因の一つである。
リーマンショック以降、自己資本比率を高めなければならず、広義では10.5%(バーゼルスリー(スリーはギリシャ数字の三本線))、普通株だけでも7.5%を目標としている。
日本の三大メガ金融機関は、4兆円くらいの資金を調達し、なおかつ自己資本比率を高めたままとなると、大きな動きはできず…。マーケットは「配当を下げるのではないか」予測しており、そのため、株を買う理由もなくなってしまった。日本の株価がなかなか上がトレードに入らないのは、こういう要因もあるということを意識しなければならない。
日本以上苦しいのがスイスである。スイスの2大バンクは、リーマンとサブプライムで自己資本比率が弱くなっている。2大バンクのトータルアシストはスイスのGDPの約4倍であり、これが潰れでもしたらそれこそ一大事だ。
スイス政府は、2019年までに比率を19%にすること、普通株も10%にすること目指しており、銀行は勝負に出られない。故に配当もなかなか出せず、スイスの金融株は上がらないのだ。
この一連の金融株の動きが一般の株価にも影響を与えているので、こちらもなかなか上がらない。
金融株がマーケットに与える影響は絶大である。
上記の理由から、資金はあるので売ったり買ったりの抜き差しはあるが、しばらくは上がらないだろうと推測される。
● 金利の話
アメリカは、国債の影響で金利が上がった。
サブプライムやリーマンなどの問題で国債の金利が上がり、その金利は長期金利にも反映されていくので、長期金利が上がってきたのである。
日本も同様な状況ではあるが、今まで日本は国債を国内で処理してきた。しかし、国内で消費しきれなくなり、政府は海外へ売りをかけた。
そこで買いにきたのが中国である。中国には日本国債を所有する様々な理由、メリットが存在したのである。
国債が売れたために金利が下がり、長期円金利も上がらず…。
これが長期円金利を上がらせないようにしている背景である。
しかし、近年中国が日本国債を売りに出しているので、これから全体として金利が上がるかもしれない。
もし、円資金でビジネスを考えている人が居るなら、早めに固定で資金を押さえた方が安心かもしれない。
という話。
さて、ここから第2部です

■日本の自立再生!

左が「覇権システム」、右が「均衡」です。
アメリカブッシュ政権時は「覇権システム」だった。ブッシュ共和党は人が生きていくのに必要な「水」「食料」「原材料」「エネルギー」、そして更に「お金」を押さえて地位を確立していた。
しかし、覇権システムの弱点である「格差」が生じることとなる。
オバマ氏の「チェンジ」とは、「覇権→協調に“チェンジ”」という事で、格差社会で虐げられた労働者階級の人々の支持受け当選したのである。
オバマ大統領は国内のみならず世界へ向けても「覇権システム」を「協調」にチェンジすると公言した。「協調」になればみんな均衡なんだから経済は良くなるはずだったのだ。
しかし…現状である。
世界的にはこれから、アメリカと勢いに乗っている中国の2つの大国が、ツートップとして世界を統括する、いわゆる「G2」体制になるのではないかと予測している。
しかし、アメリカと中国はなかなか足並みが揃わない。
尖閣諸島問題がいい例である。中国はもともと日本なんて眼中にないのである。アメリカと対峙し、日本をサンドバッグにして喧嘩をしているのだ。

真ん中の赤い人形が日本です
さて、このような状況の中、日本は国際的にどこに立つのが一番良いか。
それは、中立的立場に立ち、世界に必要なものを安定供給できる国になるべきである。
日本にしかできない物やサービスを提供できる国になれれば、世界に必要不可欠な存在になり、外から攻撃されることもなく、軍隊を置く必要もなくなるだろう。
そのような「安定供給」を、日本国内の中小企業が支えるようにするのである。
今の日本の中小企業は、大企業に依存しているところも多い。
しかし、大企業は厳しい経済状況の中でローコスト・ハイリターンを求めて海外へ出て行ってしまうだろう。依存していた中小企業は潰れ、特に大企業にクライアントを一本化しているところ等はひとたまりも無い。経済は良くならない。
そうならないために、大企業から自立をし、中小企業同士が続々と手をつないでパッチワークのような繋がりを作っていくような社会作りが必要なのだ。
中小企業の利点は、人材費が少ないところだ。多少コストがかかって営業利益が少なくても、一人頭の配当は大企業よりも安定している。
また、日本の「丹精込めたもの作り」の精神は世界的にも評価されている。
例えば、料亭で来る人に合わせて塩加減や味付けを変えたりする、など。
日本人独特の感性で、マニュアル化できない丁寧な仕事ぶりが、精度が高く品質も安定した安心感のあるものを作り上げるのだ。
そのマニュアル化できない部分を今のうちにマニュアル化することが、必要不可欠である。
そのようにして、中小企業が高品質な物を作り、海外へアプローチをする。
その時に困るのが、交渉時に必要な言葉や世界経済などの知識である。
国や地方自治体は、そこを手助けすべきである。国が勉強が出来るような環境を提供し、世界へアプローチできる中小企業を増やして行くのである。
中小企業が元気になれば、自立再生も可能だ。
例えば、石油資源などは後数年で底をつくと言われているが、それに代替するようなものを日本が作り出せば良い。そして世界へ供給できるようにする。
今の国際環境の中、日本はそのような自立した国にならなければいけない。
実際に真田先生は色々な中小企業の手助けをされており、その中には人員が5人程で年商が何億というところもあるとのこと。
また、日本の自立再生に関しても、上記のような日本の特性を生かした再生方法を探り、実際にプロジェクトとして活動しているそうです。
ご自身の「あくまでも一個人の意見として~」との前置きから始まった講演ですが、東アジアの経済や世界的な国の動きについての解説もとても分かり易く、また、今後の動向についても、具体的な資料を元にご意見され、その中で日本がどう自力再生していけばよいか?という事に関しては、日本の特性を生かした再生方法を探り、実際にプロジェクトとして動いていらっしゃる…。お考えと行動力に、深い感動を覚えました。世界経済の動きは人ごとではなく、もっと勉強していかなければ、と考えさせられました。
一時間半ほどの真田先生のご講演のあとは、交流会です!このあとご予定があるとおっしゃっていた真田先生も、時間の許し限り少しだけ出席くださいました!


ありがとうございました!

担当幹事/吉田・高橋
議事録/高橋・水村