息子の部屋で、9月のはじめにあった模試の結果をみつけてしまった。
そう簡単に成績は上がらないだろうとは思っていたが、その予想は見事に当たり、夏休み自習室に通った成果は全く反映されていなかった。
以前の私なら方向性を見失った怒りで腹が煮えくりかえり内臓がやられてしまってもおかしくないような出来だ。
しかし、私はもう受験生母の中堅といっていいだろう、気持ちを切り替える術を心得ている。
これは、国立理系クラスのテストだ。
東大にわんさか進学する県立トップ校と考えるとどうだろう。
そう見立てるならば、息子はよくやっているのではないか。
全然あかん成績だが、下から数えた方が早いのなんのの順位だが、トップ校なのだから、しかたがない。
今はこれにめげずに日々やることをやり、突き進むしかないのだ。
我ながらこの考えの切り替え(詐欺師並みの目眩し)は功を奏し、気が楽になった。
そうなると気は大きくなり、想像の翼は羽ばたく。
浪人を考えるとしたら、
今、高2。と捉えてもいい。
もしそうなら、いいペースできているではないか。
なんなら息子は3月生まれだ。
一つ下の学年でもおかしくないのだ。
そうか、高2だ。
あと1年あるわ。
と、10分前の煮えくり具合から一転、心踊る気分になった。
そして、朝。
朝ごはんのときに出たばかりの評定と指定校の話になった。
いつもはこの話題になると重たい空気が流れるのだが、理由はわからないがなんだか明るい母の気配を察し、ペラペラと自分のことを話し出した息子。
いやー、物理やばかったんだよ。次のテストで点取れなかったら留年って言われちゃって。
だってほら、9点だったからさあ。
まあ、次とれてよかったし、評定も上げてくれててラッキーだったわー。
私は受験生母中堅だ。
100点中9点だったことさえスルーし、
留年すればよかったのに。そしたら受験までもう1年あるじゃない
と言ってやった。
受験生なのに、留年を推奨されるとは思ってもみなかっただろう。
何が母をここまで変えたのか、一瞬ひるんだ息子だったが、明るくておかしな母は大歓迎なので、疑問を打ち消し、元気に登校していった。
なんだか全てに勝った気分になった。
さて、塾の個人面談がひかえている。
この精神状態なら塾長と有意義な話ができそうだ。
保護者の鬱憤や不安を取り除くためのガス抜き面談ではなく、息子の受験を成功させるための作戦会議っぽいことができたら最高だ。
季節は秋めいてきた。
指定校で合格する子もでてくる。
いよいよ受験だ。
これから何回も気分の大転換が必要になるだろう。