夏休みが終わったある日の朝。
リビングにいくと、テーブルにカラフルな書類があった。
‼️ 模試の結果?!
高校に入り、とんと見かけなくなった模試の結果ではないか?!
中学の頃はいい成績ばかりだったので、返却されたらすぐにテストを見せにきた息子は、高校の散々な成績をすすんで持ってこなくなった。
今まで数々の模試の結果が揉み消されてきたのだ。
母は黙ってネットでみておるが
しかし、今、息子自ら持ってきたのだ。
夏休みの勉強の成果が模試につながったのかしら?
これはいい成績にちがいない✨
と心を躍らせてみてみると、
そのカラフルな紙は、
新体力テストの結果だった。
それはそれは素晴らしい成績でした。
運動部バンザイ
そんなかわいい我が子が
おととい塾から帰ってきて
スタートラインに立つ。
といきなり宣言した。
高3の秋である。
なんのこっちゃ、とっくの昔に他の受験生はスタートしとるわ、なんならもうゴールしかけとる方々もおるわ、と思ったが、いっさい顔に出さず、笑顔で話をうながしてみた。
物理の演習授業でスラスラ解けた。
この前の模試の出来を先生に褒められた。
しかし、自分はまだスタートラインに立ってない気がする、と言ったら、
さらに先生に褒められた。
とのこと。
先生、グッジョブ。心中お察しします。
本人、やる気に満ち溢れている。
しかし何度もいうが、今は高3の秋だ。
遅すぎる感は否めないが、やる気になってるのに水をさすことはない。
息子が買ってくれ、という問題集をAmazonに注文し、夜食をつくり、腹を満たさせ、いい気分で眠ってもらった。
小さい頃から息子は、日に当て、炭水化物を摂取させ、お湯(風呂)につけるとすぐ寝るのだ。
炭水化物とお湯の順序は逆でもよい。
お分かりかと思うが、
息子は典型的な褒められてのびるタイプである。
しかし高校生になり、褒める人をみるようになった。
自分が認めている人に褒めてほしいのだ。
もちろん親の私では役不足で、息子が褒めてほしいのは塾の先生方なのだが、その中でも一目置いているのが物理の先生だ。
高2で始まった物理の授業でことごとくひどい点数をとり、いつもは先生と仲良くなってくる息子が、物理の先生の話だけはしなかった。
しかしその先生は会った瞬間、なんかこの先生すげー、みたいな息子なりの感覚があったようで、今回やっとその先生とまともに向き合うことができたのだ。
そして、その物理の先生は東大卒だった。
その事実を知り、さもありなん、やっぱりあの先生はすごかった、となり、よりいっそう息子の心をつかんだのだ。
今まで私が学歴のことを話題にすると冷めた目でみていたくせに、自分が勉強し始めて、末席ながらこの受験界にいるので、そのトップオブトップの東大はすげー!、という価値観が形成されたようである。
そして、
覚悟を決めたから志望校の赤本を明日買いに行く。
と、次の日、本屋へ行った。
代金の請求はなし。
息子的にお小遣いで買うことに意義があるらしい。
夏休みはどこへも行かず、勉強以外なにもしてないし、昼代として毎日お金を持たせていたので、1ヶ月分のお小遣いが丸々あまっている。
なので、息子自身のふところからでてるか微妙なところで、覚悟というには大袈裟だが、息子なりに「赤本を買う」というのがスタートラインに立つということなんだろう。
今までは届いたらいいなぁ的な願望を
自らとりにいく。と決めたのだから、大きな一歩だ。
、、、と、また言うが今は高3の秋だ。
天王山も紅葉し始めているだろう。
みんなそれぞれの道をスタートして、色づいた葉を横目にロッククライミングで岩山に齧り付いているだろうに、息子はまだ登り口に立ち、靄でみえない頂上を仰ぎ見ているのだ。
はよ、のぼれ。
母はせいぜい天気予報を調べたり、おにぎりをつくったり、装備品を提案したりしかできないのである。
さて、来月には英検準1級と全統記述模試が待っている。
英検でスコアがとれたら、かなりのレベルアップだ。
丸腰素手装備から、ロープ獲得のチャンス。
滑落してもかろうじて助かる、、かもしれない。
無傷では終わらない大学受験である。