もう生きて居たくないと言う「おさん」

一緒にお供します。と茂兵衛。

二人は、船から身を投げようとするが、その直前

茂兵衛は「おさん」に、すがり付き、

「ずっと、お家さまをお慕いしていました」と

打ち明ける。

 

「何を言いだすの・・・」と、押しやる「おさん」だが・・・。

謝った茂兵衛が、

一緒に海に身を投じようとした時、

おさんが「イヤだ!死にたくない。」と叫ぶ。

「お前の今の言葉を聞いたせいで、

私は死ぬのがイヤになった。せめて、一日

いや、一時でもいいから、お前と夫婦で

居たい。」と、こちらも告白。

 

 

こうして、二人は、再び追われる旅に・・・

 

途中、店に見切りをつけて出て来たお玉と出会い、

主の以春が、「おさん」の事は言わずに、茂兵衛にだけ

追手をかけている事を知る。

今なら、おさんが家に戻れば、罪は問われない。

茂兵衛は、おさんを家に返そうと、足の爪がはがれ

思うように歩けない「おさん」の手当てをお玉に

させている間に、そっと姿を消す。

 

 

 

 

内容は、ここまでにしておきます。

 

 

茂兵衛を探し回る「おさん」を演じる小龍が見事だった!

篠原劇場の、(せまい舞台なれど) 長い花道が

大いに効果を上げる演出に役だった。

それこそ、転げるように痛い脚を引きずって、

倒けつ、まろびつ狂ったように

「茂兵衛・・・茂兵衛・・茂兵衛ーーー!」

と、泣きながら、切なそうに探し回る姿は

役者ではなく、完全に茂兵衛に恋する「おさん」

そのものだった。

 

 

みつからない、茂兵衛がいない、私の茂兵衛・・

いない、どこにも・・・・

と、地に くずおれている所へ

やはり、思いきれずに戻った茂兵衛

 

そ・・・・っと、おさんの傷ついた足に触れる。

ハッとする「おさん」

おさんの足に口をつけ、膿んだ箇所を吸い取って

地にペッっと何度か吐き出す茂兵衛。

 

「私をおいてどこに行っていたの・・・」と

心の中で号泣すれども、本当に悲しく辛く

張り裂けそうな想いの時は、声も消える。

そこへ、現れた魂の相手。

 

憎い、憎い!

恋しい!恋しい! 

戻って来たのね!

嬉しい!

これがいっぺんに胸に押し寄せる。

おさんは、もっていた手拭いで

恋しい茂兵衛の身体を叩く。

 

このシーンが、たまらんですわーー!

 

前に一度見た芝居ですが、今回は

別泣きものでした!

 

あれから更に更にレベルアップしていた。

実際の「おさん・茂兵衛」がそこにいるようだった。

 

 

 

 

口上で、たつみ座長が、昨年秋に

少し変えました。と、おっしゃっていましたが

すごい物に仕上がっていた!

大衆演劇で、ここまでやれるのか?と

しばしば、この劇団の芝居を見て

思うけど、正に実力派の

すぐれた劇団だからこそ!

 

そして、

小龍さん、ダイヤ座長の役への思い入れ

捨て身振り、全力投球以上の、まるで「おさん」や茂兵衛の

魂が乗り移ったかのような芝居だった。

 

ダイヤ座長、芝居の中で

涙、涙。

小龍さんの発声、それはセリフではなく

真の叫びだったような・・・

 

素晴らしいと言う以外に、どんな賞賛の言葉も

追いつかない程の

秀作品でした。

 

有難う、たつみ演劇BOX!!