2018年FIFAクラブワールドカップの撮影を行い、ベスト4に残ったチームがどのような試合をしたか考えてみました。
まず優勝したレアルマドリードだが、ほとんどの方はスター選手の集まりという事で個の力が違いすぎると思っているだろうけど、それだけでクラブ世界一になるのは難しい。
レアルの成績だけ見れば、クラブワールドカップ3連覇4度の優勝、チャンピオンズリーグ3連覇中13回の優勝で圧倒的成績だがクリスチアーノロナウドがレアルからユヴェントスに移籍してこの勢いを疑問視する人も少なくはなかったであろう。
正直私も少なからず今回のクラブワールドカップ少々優勝できるかどうかは不安だった。
ふたを開ければレアルの圧倒的優勝に見えるが、その内容に迫っていきたい。
まず撮影していて、まず最初に感じたことはセルヒオラモスとマルセロのホットラインがレアルのすべての組み立ての起点となっているという事。
しかもその二人のラインはこの力だけではなく互いの絶大なる、信用とリスペクから成り立っていることをすぐに気づかされた。
数えてはないが、セルヒオ・ラモスが最終ラインから必ずと言っていいほどの確率でパスを出す相手はマルセロで、そのマルセロもマークされていても当然のように受け取る体制になっている。
それをわかっているかのような動きをしているのが、モドリッチ。
特にこの動きが顕著に見えたのが、僕が撮影している場所から奥のゴールに攻めているときのレアルの動きを見た時に良く見えた。
セルヒオ・ラモスを起点に仕掛けていく攻撃は、見事の一言では片づけられない程完璧なものでこのチームに所属する選手全員が「個」の力を認め合っているからこその出来るプレーばかりだった。
決して「個」だけではなく国籍も違い、言語も違うがそこには絶大なる互いに対するリスペクトがそこにはあるとカメラから見て感じた。
次に準優勝したアルアインだが、粗削りながら完成されたチームといったところであろうか。
左サイドのブラジル人カイオと右サイドのエジプト人エルシャハットこの二人の中盤がドリブルで相手を翻弄し切り崩すパターン。
この二人に共通する事は、二人とも一人でチャンスを作りシュートまで持ち込める強さがある。
ただ、組織的には完成度は低いように感じました。アルアインは僕的にまさに「個」のチームという印象だった。
カイオ、エルシャハット以外にも中盤のアブドゥルラフマンとサイドバックの塩谷が活躍を見せた試合でもあった。
特に塩屋はチャンスと思えばトップの位置まで上がってきたり、ミドルを豪快に放つなどある程度チームから自由に動いてもいいというオーダーが出ているのだと思い、クロアチア人の監督マミックから信頼を得ているようだ。
南米チャンピオン、リーベルプレートに関しては、初戦を見る限り完全に調整不足が否めなかった。
それも致し方ない事情として、コパ・リベルタドーレスのセカンドレグが予定されていた11月24日から12月9日に順延された上に開催国がアルゼンチンからスペインに変更されるというアクシデントにも見舞われたからだ。
それでもプロとして、正直仕上げて来てほしかったと言うのは僕の本音だ。
少なくともクラブワールドカップではチーム自体の実力が見えにくかったが、10番ゴンザレスだけはひと際輝いていた。
ドリブルをしてもキレの違うドリブルで相手を抜き、意表を突いたシュートも見せつけた。
一瞬一人で試合を決めてしまうかもという位の仕上がりと実力を見せて結果を残した。
レアルと戦ってその姿を見て見たかった。
最後に鹿島アントラーズだが、正直評価できる部分は一切なかった。
厳しい評価をするようだが、アジアチャンピオンとして非常に恥ずかしい戦をしてしまった。
まずプロとして戦う姿勢が全く見れず、チームプレイに徹してほしかったがそれも全くできず、自滅した結果となった。
初戦のグアタハラ戦は勝つには勝ったが、内容的には負けていてもおかしくはない内容で最終ラインの出来が悪すぎた。
ビルトアップもできてなければクリアすらままならない状態で、相手のミスもあり逆転勝利をしただけ。
その結果、準決勝と3位決定戦は良いところないままクラブワールドカップを後にした。
総評的には、各チームリーグ戦途中でのクラブワールドカップを戦い抜くという非常にタイトな状態でなかなか本来のポテンシャルを出しにくい状態だったとは思うが、結果としてレアルを本気にさせたチームはなかったように思える。
レアル自身も本気で戦える状態ではなかったのか、それとも本気で戦うまでもなかったのかはわからないがクリスチアーノロナウドがいなくなっても主役はレアルだった。
そして、鹿島の功労者小笠原満男がFIFAクラブワールドカップ3位決定戦が引退試合となった。
ぼく自身何となく、その予感はしていたし恐らくこの試合が最後たと思い小笠原が出て来てからはカメラを小笠原に向け続けた。
交代の時も、内田と交代したが内田も最後だとわかっていたかのように、小笠原をピッチに送り出していたようにも見えた。
試合終了のホイッスル後小笠原はセンターサークルのわきから一歩も動くことなく、今までのサッカー人生を振り返っているようにも思えた。
★Sports photograph 小中村政一★
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