目黒駅から東に歩いて5分。白金台にある「東京都庭園美術館」をご存知ですか。都心に有りながら、緑豊かな素晴らしい環境の中に、見事な庭園と、アールデコの素晴らしい建物の美術館があります。今は「皇帝の愛したガラス」と言うテーマで、ロシアの「エルミタージュ美術館」所蔵のガラス器の展示をやっております。9月25日までの会期ですから、ガラス器の好きな方には見逃せない展示会です。週末からベトナムへの出張が決まっている為に、いつ時間が取れるか分らないので、今朝無理やり時間を作って、出勤前に仕事をさぼって立ち寄ってみました。
ケニーのブログ
この美術館の建物は、旧「朝香宮邸」です。1933年(昭和8年)にフランス人デザイナーのアンリ・ラパンが設計し、宮内省内匠寮のエリート建築家が建てた、日本独特の感性を感じさせる、日本の代表的なアールデコ建築です。20世紀のエレガンスの粋が至る所に感じられる素晴らしい建築物です。戦後の1時期は、外務大臣公邸、首相官邸、迎賓館等に使われていましたが、1983年(昭和58年)から東京都が借り受けて、庭園美術館として、庭園と建物を一般に開放しております。
ケニーのブログ

外装よりも、中に入ってその内装の素晴らしさに感動します。
ケニーのブログ

入り口の入場券売り場には、ショップも併設されていて、記念品もたくさんの種類が販売されています。
ケニーのブログ

その隣には、カフェーもあって、ちょっと一休みにゆったりと過ごせます。
ケニーのブログ
美術館の玄関を入って正面の壁は、何と「ルネ・ラリック」のガラスのレリーフ扉になっているのにビックリします。香水ビンや、花器のラリックはたくさん見ましたが、こんな大きなガラスの女性が羽を広げて出迎えてくれる、アールデコの巨匠ルネ・ラリックは見た事も有りません。まさに感動ものです。
ケニーのブログ
さてこの素晴らしい館を建てた朝香宮とはどんな方なのでしょう。久邇宮朝彦親王の第八王子、1906年(明治39年)に明治天皇から宮家の創設を許されて、朝香宮家を創設。陸軍の軍人として活躍、陸軍大将であった方です。戦時中は上海派遣軍の総司令官として、南京攻略の指揮をとった方だそうですよ。戦後GHQの戦犯指名を免れて、熱海に隠棲し、1947年(昭和22年)には皇籍を離脱されて、一般人として余生を過ごされ、1981年に93歳で亡くなられています。
ケニーのブログ

庭園は日本庭園、西洋庭園、芝生広場と広大で、日本庭園には茶室もあります。上の写真は芝生広場です。
ケニーのブログ

さて今回の展示会「皇帝の愛したガラス」は、ロシアのエルミタージュ美術館」所蔵の、1600年代から1800年代までの様々なガラス器が展示されています。ちなみにエルミタージュとはロシア語で「隠れ家」と言う意味で、ロマノフ王朝の冬宮として建てられた王宮です。ベネチアンガラスから、ガレ、ドーム、ロシア帝室ガラス工場の作品まで幅広く、歴代のロシア皇帝が愛玩したガラス器の展示会です。
ケニーのブログ
この作品は、ロシア帝室ガラス工場の制作になる花器。見事な色です。
ケニーのブログ
そしてガレ工房の初期の作品の壷、パリ万博で始めてエミール・ガレが注目を集めた作品です。非常に数の少ない逸品です。
ケニーのブログ
そして僕の大好きなドームの花器。柔らかな風合いが何とも言えない優しさを感じさせてくれます。ガレの工房の作品よりも、何か温かみと優しさを感じさせてくれるのが特徴です。館内は撮影禁止ですから、上の写真はパンフレットから転写したものですよ。
ケニーのブログ
展示会を見た後で、ちょっと庭園を散歩してみたのですが、不思議な花を見つけました。星型の黄色い花の下の葉っぱが真っ白なのです。その下の葉っぱは緑なので、黄色と白と緑のコントラストがとても綺麗で、思わず見とれてしまいました。僕は結構植物には詳しい積りでいるのですが、この花の名前が分りませんでした。誰か知っている人は教えて下さい。
ケニーのブログ

庭園美術館から目黒駅までの帰り道、イチョウの街路樹に銀杏がたくさん実を付けていました。暑い暑いと言うものの、秋の実りを教えてくれる銀杏を見つけて、直ぐに秋が訪れるのが予感されて、何となくほっとしました。

では又、ベトナムから帰国したら帰国報告をしますね。それまで夏バテなどしないように頑張りましょう。