皆さんは海外で急病になったり、事故にあったりして救急車のお世話になった事がありますか。緊急の場合の救急搬送システムは世界各国でも整備が進み、主要国の都市部にいる限り、そのサービスは殆ど問題なく整備されていると思って間違いありません。しかしそのサービスを受けるに要する費用は国によってマチマチで、日本のように無料サービスでは無いところもたくさんありますから要注意です。でも緊急事態の場合は費用の事よりも、命を救う事の方が大事ですから、迷わずに「Ambulance・アンビュランスPlease・プリーズ」と大声で叫びましょう。
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私がスペインのサンタンデールに滞在していた時の事です。日本から来たお客様に慢性の糖尿病の方がおられました。ある朝、その方がホテルで急に体調を崩し、殆ど意識不明の状態になりました。多分極端な低血糖に陥ったのだと思います。糖尿病の事は以前から聞いていましたので、直ぐにホテルの支配人に救急対応を頼みました。5分ぐらいで救急車(上の写真)が到着し、その救急車には医師と看護婦も同乗しており、直ぐにホテルの部屋で診察と注射、投薬をして下さり、事なきを得ました。更に旅行中にスペインの調剤薬局で必要な薬が買えるように、スペイン語の処方箋を書いて下さり、これを持っていなさい、そして薬が必要になったら直ぐに薬局に飛び込み、この薬を買って飲みなさいと指示をしてくれました。そしてその救急車の出動費用は無料でした。これには感激しましたが、でもヨーロッパでも他の国では有料のところが多いのですよ。
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ちなみに、パリでは救急車を呼ぶと23,000円くらい、ドイツでは20,000円~70,000円くらい・これは救急車内での治療や、症状に応じた緊急対応によって値段が変わります。イタリア、スペイン、シンガポール等は無料です。オーストラリア、アメリカや中国等は有料ですが、料金はタクシーのように走行距離で計算されるようになっており、更に車内での薬や治療器具の使用に応じて料金が加算されるシステムになっています。アメリカでも公共機関が運営する救急サービスは無料のところが多いのですが、民間の救急サービスやボランティアの運営する救急サービスが有料です。面白い事にアメリカではボランティアの運営する公共サービスがかなりあって、僕の住んでいたフロリダでは、友人がボランティアで消防サービスを運営していて、火事があると公共の消防車より早く現場に到着するのが自慢でした。その人はどこに行くにも、いつも真っ赤な消防車に乗っていました。火事が3度の飯より好きという江戸っ子のような人でした。
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救急車はほとんど白地に赤の赤十字マークが付いているのが普通ですが、国によっては「スターオブライフ」のマーク(生命の星)にアスクレビウスの杖(ギリシャ神話の医学の神様で、いつも蛇の巻きついた杖を持っていました、そして余りにも多くの死者を蘇えらせた事でアポロンの怒りをかって殺されてしまい、へび使い座の星座になってしまいました)のマークを付けているのが見られます。日本にもこのマークを付けた救急車を見ることがありますよね。
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この写真は日本の一般的な救急車ですが、面白い事に大阪の救急車には横腹の赤い帯がありません。赤いラインは大阪弁の「アカン」に通じると言う事で、ゲンを担いで赤いラインを取ってしまいました。日本で始めて救急車が導入されたのは1931年、大阪の日本赤十字社大阪支部に配属されたのが始まりですから、意外と歴史は浅いのですよ。その後、1963年に消防法が改正されて、全国の各自治体に救急車を配備する事が義務付けられました。そしてあの「ピーポー」の電子音が救急車のサイレンに変わって使われだしたのは、ごく最近1971年の事です。これで消防車や警察車両との区別がつくようになりました。
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さて、そんな救急車が始めて歴史上に現れたのは、いつどのような状況で生まれたのでしょうか。そうです、上の写真から、皆さんのご想像のように、救急車の発明は、戦争の時の戦傷者を搬送する為に考案されたのだそうです。19世紀の初頭のナポレオン戦争の時に、フランス軍の軍医だったドミニク・ジャン・ラーレーが戦闘で負傷した将兵を搬送する為に救急車を使いました。そしてアメリカの南北戦争の時の負傷兵の搬送用に、馬車を使った救急車が「horse ambulance」と呼ばれた事から、今や世界中で救急車の呼び名が「ambulance・アンビュランス」となったのだそうです。ちなみに衛生兵の事は英語で「ambulance man」と呼びます。そして今や「国際戦時法」で赤十字章を付けた救急車両や船、航空機への攻撃は禁止されています。但し赤十字章を付けた救急車には一切の武器を携行してはいけないことになっております。

上の写真のように、日本の自衛隊も赤十字章を付けた救急車を持っていて、現在は災害時の緊急救助等で活躍しています。

さて、少し世界の救急事情がご理解頂けたでしょうか。旅行中にお世話になりたくは無いですが、昨年もベトナムのハノイ市で三宅社長がスッポンの生血を飲みすぎて、全身に蕁麻疹が出て、救急車のお世話になってしまいました。この時も無料でした。僕の関わった場合はいつも無料でラッキーでしたが、旅行中は体調管理に気をつけましょうね。

では又のお話を楽しみに。