今日も海外旅行の少し危険なお話です。パリに仕事で滞在していた時の事です。用事が早めにすんで、少しホテル周辺をぶらぶらと歩いてみようと、夕方になって手ぶらでホテルを出て、今夜はどこで何を食べようかなと出かけた時のことでした。オペラ座通りの突き当たりに、たまに寄るパレロワイアルがあります。ここには幾つかのブランドショップの他に、アンティークショップもあるので、のぞいて見ようと入りました。直ぐ脇には有名なフランスの英雄「ジャンヌダルク」の金ぴかの銅像があります。ジャンヌダルクはわずか16歳で、1400年代の100年戦争の時に、シャルル7世を助けてイギリス軍をオルレアンの戦いで破り、シャルル7世をフランス王として即位させた英雄ですが、後にシャルル7世に裏切られて、イギリス軍の捕虜となり、異端裁判で火あぶりの刑に処せられます。19歳で処刑されるのですが、残酷な火刑で、火が全身に回り衣服が焼けて裸になった状態で、一旦火を遠ざけて彼女の性器を見物人にさらして、彼女が魔女でも何でも無い、ただの女性であった事を見せつけたと言われております。当時魔女は両性具備で男女両方の性器を持つと信じられていたのだそうです。その後彼女の名誉は回復されてフランス救国の英雄として現在も称えられています。
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そんな彼女の銅像を横目に見ながら、パレロワイアルのウィンドーショッピングを終えて、ヴァンドーム広場に戻り、泊まっているホテル・リッツの前を通り過ぎてサントノーレ通りに入ろうとした時です。どうも先ほどのパレロワイアルでもずうっと僕の行く先で必ず見かけたアラブ人風の若者が、またもや僕の後を付いて来るのが目に入りました。変な奴だなーと気に掛けながら、ヴァンドーム広場を通り過ぎて、サントノーレ通りに入りました。このヴァンドーム広場も歴史は古く、広場の中央にはナポレオンが建てた高さ44mの記念柱が立っています。ナポレオンがオステルリッツの戦いで、ロシア・オーストリアの連合軍を破り、捕獲した敵の大砲1250門を溶かして作った塔と言われて、てっぺんにはナポレオンの銅像が遠くローマの方角をにらんでいます。この広場はチュイルリー宮殿の北、マドレーヌ寺院の東にあり、広場に面して有名な宝石店や、リッツのような有名ホテルがひしめいています。
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さてサントノーレ通りの人込みの中を歩き出したら、先ほどのアラブ人風の若者が、後ろから人込みに押されるように僕にぶつかってきて、一瞬二人の身体が交錯しました。その瞬間です、はっとスーツの右胸に手を当てたら、その若者が右の内ポケットに入れてある財布をスリ盗る瞬間でした。思わずその若者の右手首をつかんで財布を取り戻しました。若者は大胆にも僕に向かってニヤリと笑うと、さーっと人込みにまぎれて消えてしまいました。あの笑いは何だったんだろうと考えてみましたが、失敗したけど、これからは気を付けろよと警告の意味の笑いだったのかなと思いました。多分、パレロワイアルからずうっと僕の懐に狙いを定めて、隙を狙っていたのでしょう。複雑な人種混合のパリでは、良くあるスリ事件でしたが、幸い被害に会わずにすみました。皆さんも気を付けましょうね。どこに行っても日本ほど安全な国はありません。海外に出たら常に神経を張り巡らせて、置き引きやスリには注意しましょう。

では又の話をお楽しみに。