今回のベトナム訪問記の最後は、ベトナムのお料理、食べ物のお話をしましょう。ベトナムは永い間中国の支配を受けてきた国ですから、料理でも中華料理の影響を色濃く受けています。また19世紀、20世紀と近代はフランスの植民地支配を受けていた為に、フランス料理の影響も受けています(ベトナムで食べるフランスパンは絶品ですよ)。全体にクセが無く、マイルドな味付けです。基本的に日本と同じ米食文化ですから、麺類も春巻きの皮も小麦ではなくて米粉を使います。調理方法は中華料理と共通で、炒める、蒸す、煮るが中心です。更にベトナムらしい特徴的なのが、料理の付け合せに生野菜、コリアンダー、ドクダミ、バジル、タデなどの香草類をふんだんに使うことで、そこが中華料理や日本料理と違うところです。また小魚を塩漬けにして発酵させた魚醤「ヌクマム」という調味料を何の料理にも使います。独特な風味があって、慣れるとけっこうはまってしまいます。普通に炒め物などに家庭で使ってもかなりいけますよ。ヌクマムに生の唐辛子を細かく刻んだものを入れて、日本のお醤油のように、食材をつけて食べるのが一般的です。

さて、ベトナムの食べ物の代表的なものが「フォー」と呼ばれる麺料理です。米粉で作った平打ちの麺を茹でて、牛肉のスープや、鶏肉のスープにいれて、トッピングには好みで各種香草を乗せて食べます。
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最近は下の写真のようにファーストフード風のチェーン店も出来て、壁の写真のような様々な「フォー」を注文すると5分くらいで付け合せの香草と一緒に出てきます。またインスタントのフォーやカップ麺のフォーも売られていて、手軽な食事として有名です。市内では道端でおばさんたちが、お風呂の腰掛のような小さな椅子を並べて、七輪(のようなもの)に乗せた鍋でフォーを茹でて食べさせる露店がそこら中に店開きをしていて、ベトナム人が平気で道端に座って食べている光景を見かけますが、我々には衛生面ではちょっと気になります。
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次に有名なのが春巻き料理でしょう。下の写真のような揚げ春巻きもありますが、何といってもベトナムらしいのは生春巻きでしょう。
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茹でたエビや生野菜、香草、ビーフン等を米粉で作った春巻きの皮に巻いて、ヌクマムに生唐辛子を刻み込んだ調味料をつけて食べます。結構いけるのですが、唐辛子の辛いのが苦手な人にはちょっときついかも知れません。
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最後にちょっと変わったベトナム料理、というより中国の上海で流行りだし、最近ベトナムでも人気の料理を紹介しましょう。あの暑い真夏のベトナムでご馳走になった「きのこ鍋」です。暑い国で鍋料理なんてと思われる人もいるでしょうが、これが結構いけるのです。鍋に薄味のだし汁をいれて、まず最初に10種類くらいの様々なきのこを刻んで入れます。煮立ってくると、きのこの出汁が利いてきてちょうど良い味加減になります。そこに空芯菜などの野菜と香草類をいれて、おなじみのヌクマムで調味した漬け汁につけて食べます。色々なきのこの味と、あっさりした野菜や香草の味がミックスして、かなり美味しいのです。それに串に刺したエビ(たぶんブラックタイガーです)を入れて、これも火が通ったら、漬け汁につけて食べます。暑い国で暑いときに食べる鍋料理、ちょっと不思議な感覚でした。
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これを日本で寒い時に、鍋を囲んでふーふー言いながら食べたら、絶対に美味しいだろうなと思いました。まだ日本で「きのこ鍋」というメニューは見た事がありませんが、誰かやってみませんか。健康的でカロリーの少ないあっさりとした美容食ですから、若い女性に受けそうな気がしますが、どうでしょうか。日本ではポン酢と大根おろしの漬け汁が合うと思います。
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ベトナムでは太った人や、メタボと言われるお腹の出た人にはお目に掛かれませんでした。ほとんどの人が、男性も女性も、スラリと引き締まった体形をしています。これは食べ物のせいである事は間違いありません。基本的にカロリーの少ない食材が中心で、更に香草類をたくさん食べて、腸内を綺麗にするからではないでしょうか。

何しろドクダミのサラダやタデのサラダにはびっくりしました。両方とも日本では野草でそこら中に自生していますが、独特のきつい匂いで、普通に生食するなんて思いもよりませんでした。しかし意外や意外、進められるままに食べてみると、食後のお腹の調子がとても良いのです。勇気のある人は是非挑戦してみて下さい。

では又、次回は別の国の旅のお話に移りましょう。お楽しみに。