しばらく私が体験した海外の面白スポットのお話を続けます。

アメリカのユタ州とアリゾナ州にまたがる広大な砂漠地帯に、不思議な形の岩山が次々と連なる渓谷地帯があります。モニュメントバレーと呼ばれ、西部劇好きな方は、数々の西部劇のシーンでご覧になったことがあると思います。自称西部劇オタクの僕は、アメリカで一番先に行ってみたい場所の1つでした。15年ほど前のアメリカ駐在中にやっと休みをやりくりして、モニュメントバレーに行ける事になりました。ただの観光ではつまらないと思い、あれこれと探したら、何と幌馬車隊のツァーが有ったのです。
ケニーのブログ

かつてハリウッドの巨匠ジョン・フォード監督がこの地をこよなく愛して、「駅馬車」、「捜索者」等々の名作をたくさん撮影した場所としても有名で、映画ファンの為の幌馬車ツァーが有って、当時の人気ツァーだったのです。早速申し込みをしたところ、幸い空きがあって参加できることになりました。日本人は僕一人、老若男女併せて40人ほどのツァー客に、隊長以下8人のスタッフが付いていました。

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僕は集合場所に、ジーンズにブーツ、テンガロンハットにスカーフと言う完璧なウェスタンスタイルで行き、隊長にほめられました。ツァーは馬でも馬車でもその日の自分の体調に合わせて選択できます。もちろん僕は初日から馬を選択して、勇躍ほろ馬車の旅に出かけることとなりました。初日は鞍ズレで足が腫れ上がり、下馬して歩くときはがに股で、皆に笑われましたが、楽しくて楽しくて、痛いのも気になりませんでした。
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夜は野営で馬車の中に寝ても良いのですが、やはり西部劇スタイルで、鞍を裏返してベッドにし、テンガロンハットを顔に載せて毛布で砂の上に寝ることにしました。満天の星空で、こんなにきれいな星空は見たことも無いと思いました。食事はもちろん当時の幌馬車隊と同じメニューで豆や酢浸けのキャベツ、苦いコーヒーをスチールのカップで飲む、酒好きの人にはトウモロコシで作ったバーボンしか有りません。でも皆で焚き火を囲んでワイワイガヤガヤと今日の出来事の話に花が咲きます。スタッフがバンジョーでウエスタンソングを歌ってくれるサービスもあり、いつの間にか友達がたくさん出来てしまいます。旅を続けて3日目、ついに来ました。凶悪なインディアンの襲撃です。遠くの岩山に狼煙が上がり、隊長が深刻な顔で、インディアンが襲ってくるから、馬車で円陣を組むように命令し、全員にライフルが配られました。しばらくすると、遠くに砂埃が見えて、見る見る40人くらいのインディアンが幌馬車の周りをグルグル回りながら、銃を派手に打ち込んできます。隊長の命令で僕らもライフルで応戦、隊長の銃撃でインディアンが撃たれて落馬するのを見て、一瞬本物かなと思いました。僕も撃って撃って撃ちまくりました(もちろん空砲でした)。次々とインディアンが弾に当たって(ように見えて)落馬します。しばらくすると遠くから騎兵隊の突撃ラッパが聞こえて、救援の騎兵隊が突撃してきて、凶暴なインディアンは逃げ出して、めでたしめでたし。ツァー参加者は興奮して、落馬しているインディアンを抱き起こし、名演技に握手とキスのご褒美です。

無事に一週間の旅が終わり、参加者とのお別れはとても辛くて、皆が再会を誓い合いました。その時の隊長とは今でもメールのやり取りが続いています。皆さんのこんな旅を経験すると、海外に良い友達がたくさん出来ますよ。