中村征夫氏の話。
水中カメラマン。
1945年秋田県に生まれる。
19歳で上京。
湘南の海へ行くが、人の多さと海の汚さに驚く。
真鶴岬へ足をのばし、海水浴を楽しむ。
しかし、泳ぐことが出来ないため、戯れる程度。
ある日、海から真っ黒ないでたちの3人の男たちが現れる。
首から大きなモノをぶら下げて。
驚きと同時に彼らに興味が湧き、何をやっているのか・
首から下げているものは何かと質問攻め。
ここで初めて「水中カメラマン」という言葉を知る。
早速、大金はたいてカメラを購入。フィン・シュノーケル・メガネの3点セットも購入。
シュノーケルは鼻の付けるものと勘違いから始まるほどの素人。
写真も撮るが、すべて真っ白。
だから、カメラの扱い方も泳ぎ方も全くの独学。
現像に出していたカメラ屋の店主も同情するほど何も撮れず、2年が過ぎる。
ある時、思い切って2~3m潜ってみた。
懸命に潜り、ふと顔を上げてみると、1匹の魚が水面ギリギリを泳いでいた。
とっさにカメラを構えシャッターを切る。
これが生れてはじめて写真に何かが写った一枚。
ここで「光の大切さ・露出」を学びとる。
海中にいると、命の尊さをいつも感じる。
今まさに産まれようとしているイカの赤ちゃん。
小さく丸い卵の中を、大人と同じ姿に成長した姿でクルクル回っている。
殻をやぶり、まさに海への第一歩。
その瞬間を撮影しようとしたら、魚がパクリ。
人間以外の生き物は、生きることしか考えていない。
生れてから死ぬまでの間を必死に生きる。
自ら命を絶つ生き物は人間くらい。
弱いもの・怪我をしているモノは狙われる。
でも、命を奪われても命はつながって行く。
そこには無駄な死はない。
宇宙には行けるが、水深100mはなかなか行けない人間。
海の神秘で、知らない事がまだまだ多い。
だかこそ偉大で素晴らしいと。
ショッパイから敬遠していた海。
少し楽しめるようにしてみようかな。