急いでペダルをこぐ。
信号もうまい具合に「青」。
交差点を過ぎたあたりで、「くぅ~ん、くぅ~ん」と
切なくなるような犬の鳴き声。
一端は通り過ぎたが、気になる。
”え~い”と左手でブレーキ掛け、Uターン。
切なく泣いている家に向かう。
誰も居ないのかと門前から家の中を覗き込む。
広い庭の向こうに、明かりのついた新築の家があった。
車も止まっているので、人は居る様子。
ならば大丈夫かと、ペダルに足を掛けると
”くぅ~ん、くぅ~ん”と聞こえてくる。
塀近くにおおきな犬小屋が見えた。
立ちこぎしながら中を覗くが犬は居ない。
また”くぅ~ん、くぅ~ん”と。
聞こえる方へ目を向けると、
明かりのついた新築の家の隣に瓦屋根の古い家があった。
田舎のじいちゃん家みたいな家。
玄関先だけ丸い蛍光灯がついている。
その下に、黒と白の毛色をした中型犬が座っていた。
淡い蛍光の色はこの犬のためだけに光っているような感じ。
降り出した雨空を見上げながら、
”くぅ~ん、くぅ~ん”と切なく声が響く。
この家にはもう居ない家主を思い、
雨空に向かって「寂しいよ~」ってなげいているみたい。
じわ~と込み上げるモノがある。
切なくなる。
いかん、なんか涙が出てくる(>_<)
「隣人は確かに居るのだから、大丈夫、大丈夫」
と自分で自分を納得させて、自転車を家に向け走った。
雨がひどくなってきて、濡れた体で家に着く。
玄関を開けると愛犬がしっぽをブンブン振り回しながら出迎えてくれた。
”あ~お前が居てくれて本当に良かった”と、
いつも以上に撫でまわし抱きしめた、今日の夜です。
