桜(さくら)の語源
今年もとてもきれいな桜が咲きました。
完璧なその美しさに言葉もないくらいの感動をいただきました。
先日、大鼓奏者、人間国宝(世界無形文化遺産)である
大倉正之助氏
から稽古をいただきました。
伝統芸能、日本の歴史、和の尊さ、そして、大鼓の音色、
正之助様から発せられるオーラ、すべてに言葉もないくらい、
頭がおかしくなるくらい感動いたしました。
大鼓は桜の木でできていて、何か不思議な樹木のようでした。
そこで、桜(さくら)の語源について教えていただきました。
語源の一つに穀霊であるサ神(サガミ)が鎮座する場所(クラ)
というのがあります。
サガミは相武、相模と言う字が当てられる現在の神奈川県付近の事
ですが、元々はサ神という神様の名称でした。
サ神は山の神で、通常は山頂付近の神域に住んでおり其処には人は
容易に近寄れませんでした。
このことからサ神の住む神域の境界線をサカイ(境)、
そこに設けられた垣根をサク(柵)と言うようになります。
そして、古代人が農業を営むようになると、
農村では田植えの時期にサ神に山から下りて貰い、
様々な供物を供え豊作を祈願します。
そこから田植えの行なわれる時期(サ神が下りて来る月)を、
サツキ(五月)と呼ぶようになります。
また、神様への供え物をササゲモノ(捧げ物)と言いますが、
これはサ神が下げ渡す物というのが原意で、捧げ物はサケ(酒)、
サカナ(魚)、サケ菜(山の物、野の物)などで、
これらはサ神に供える物の意味を併せ持ちます。
古代人は農作の豊凶や運命の吉凶などを神に祈願し、
その判断を請うのですが、これはサ神によって運をサダメ(定)、
神のサタ(沙汰)やサトシ(諭)を待ち、悪事をすればサバ(裁)かれる
と言う事になります。
そして、サクラの『クラ』は古語で神霊が依り鎮まる座を意味し、
このことから桜は、
サ神の依る木となり、桜の下で花を愛で酒を呑む花見も本来、
サ神にサケ(酒)やサカナ(サケ菜・肴・魚)を捧げ、
お下がりを 頂くという意味になります。
また、供え物以外にサ神に喜んで貰うため、
歌や踊りを披露するようになるのですが、
奉納舞などを見るサ神の貴賓席がサジキ(桟敷)で、
庶民は地面の芝の処で見ていたことから芝居の語が生まれました。
桜の下で酒を飲み、歌い踊るのは実に正しい行為だったんですね。
更に幸福を表すサイワイ(幸い)やサチ(幸)という言葉も、
サイワイはサ神に祝って貰う意、
サチはサ神が千ほど集まって欲しいという意になり、
サカエル(栄)、サカル(盛)、サク(咲)なども
サ神の祝福によると考え生まれた古語です。
桜はやはり日本人にとって特別の花なのです。
来年また桜が咲く頃には、
被災地の人々の心に少しでも平穏が戻っていますように
心よりお祈り申し上げます。
日々是桜美