どーも、こんばんは。みなさんお疲れ様です。
今年もそろそろ終わりですし、最低もう一回は更新しておこうと思い
必死にネタを探していたところ、ちょうど本を一冊読み終わりましたので感想をば。
※以下がっつりネタバレ含みます。
先入観なしで読んでほしい、と西尾さんが言っていたので
めずらしく(というか多分初めて)レビュー・感想等一切読まずにレッツチャレンジ。
なんていうか…今までの作品にはなかった不思議な感じでした。
もちろん回りくどい表現はあるんですが、恒例のやっかいな熟語は少ない印象。
戯言シリーズを読んでいたときは必ず手元に辞書を置いて、
「○○であり○○であり、また○○で~」なんて漢字まみれの西尾節がきたときは
あーまたきたか(笑)なんて思いながら知らない熟語を調べていたんですが。
思い返すと、本書はそういった表現が少なかった。むしろなかった。多分。
ゆっくりと進行していく物語って感じですね。
まさに「新境地」とはこのことも含まれているのだと。
あとは、読み終わった後の達成感と同時に来る虚無感。
そしてちょっとしてから じわーっと広がる感動。
上手く言葉にできませんが、いわゆる『普通の小説』の読後感が
まさか西尾作品で味わえるとは思っていませんでした。
逆に言うと『非凡・非日常・非常識』やらがコンセプトの作品が主だからこそ
西尾作品にしかない独特な空気が生まれていたので、
それが好きな人にとっては肩透かし食らった気分だったかもしれません。
私はいい意味ですごく衝撃を受けた作品だったなあ。
特に42章から。読みながら、あぁこれが書きたかったのかと思った。
当たり前なんですが、西尾さんも人間だったんだなーと感じました。
同時に本書の謳い文句である「この本を書くのに10年かかった」の意味も理解。
★言葉だけを頼りにかろうじて生きている少年と
世界を支配する青い髪の天才少女の物語
=『戯言シリーズ』
★妹を病的に溺愛する兄と物事の曖昧をどうしても許せない女子高生の物語
=『世界シリーズ』
★知恵と勇気だけで地球を救おうとする小学生と
成長と成熟を夢見る魔法少女の物語
=『りすかシリーズ』
★家族愛を重んじる殺人鬼と
人殺しの魅力に惹きつけられるニット帽の物語
=『人間シリーズ』
★死にかけの化物を助けてしまった偽善者と
彼を愛してしまった吸血鬼の物語
=『化物語シリーズ』
★映画館に行くことを嫌う男と彼の十七番目の妹の物語
=『ニンギョウガニンギョウ』
★隔絶された島で育てられた感情のない大男と
恨みや怒りでその身を焼かれた感情まみれの小娘の物語
=『刀語シリーズ』
★挫折を知った格闘家と挫折を無視する格闘家の物語
=『蹴語』
★意に反して売れてしまった流行作家と求職中の姪っ子の物語
=『難民探偵』
★奇妙に偏向した本読みと本屋に住む変わり者の物語
=『なことシリーズ』
★何もしても失敗ばかりの請負人と
そんな彼女に好んで振り回される刑事の物語
=『哀川潤の失敗』
★意志だけになって行き続けるくのいちと彼女に見守られる頭領の物語
=『真庭語』
(※数箇所元ネタまとめサイトより)
この10年間の西尾作品でした。
たしかにこの作品たちがなければ、この小説は書かれることはなかったんですね。
やっぱり西尾さん好きだなー、と読後ふわっとした気持ちになりました。
少なくとも今まで一つでも西尾維新の作品に触れたことのある人は
私と同じように感じておられるのではと思います。
うん、すごく満足でした。
10年のいい区切れになった作品でした。
西尾さんがどのようなことを考えて本を書いているのか、本に求めているものなど
少し、ほんの少し…もしかしたらそれも嘘や戯言だったのかもしれないけれど
先生のことが分かったような気がして、なんだか素直に読んでて楽しかったです。