頑張りやさん…

今、世の中にたくさんの頑張りやさんがいる。

私もその中のひとりだった。
それも、かなりの頑張りやさんだ。


頑張ることがいいことだと思っていた。
頑張ってなんぼだ!!とも思っていた。


頑張るのが私の良いところ。
頑張ることこそ、それが私なんだと。


なぜそんな頑張りやさんになったのか…?
それは小さな頃の私にある。


私は勉強ができない子。

小学校の頃から…
母親にも、
「あなたは人よりもたくさんやらないと
できないからね。」と言われ、
「そうか!」
と納得して素直にそれをした。

しっかり勉強しないと、
人よりも何倍も勉強しないと、
私はダメなんだから…
みんなと同じようにできないんだから…
と思うようになった。

母親に認められたいとか
人に認められたいとか
そんな強い気持ちはなかったのだけど、
ただ素直にそれを受け取った。


暗記物なんて、
やればやるほど成果がでるものだから
やればできると頑張った。


成人してからは
いろんな資格試験を受けたのだけど、
どんな試験も一発合格。
そこに向かって頑張るのが当たり前。
そうでなければ気がすまなくなっていた。


しだいに完璧に近いものを
求めるようにもなり、
とにかく頑張った。

周りからも、
「あなたなら大丈夫でしょ。」
と思われるようになり、
ますます頑張る私。
周りの期待にも応えるようになっていった。

社会人になってからも、
与えられた仕事はとにかく受ける。
頑張ればできないものなんてないんだからと。
断れない自分にもなっていった。
とにかくやる。
とにかくやってやるんだと。

頑張れば頑張るほど、
ストレスが溜まる毎日…
身体も心も辛くなっていった。

子育てだってそう。
ちゃんとしなきゃ。
ちゃんとさせなきゃ。
ちゃんと!ちゃんと!
と頑張った。

だけど、
子育てだけは、
頑張っても頑張っても
自分の思い通りにはいかなかった。
うまくはいかなかったのだ。

頑張って、頑張って、
身体も心も疲れていき、
張りつめていた糸が切れるかのように、
そんな私は体調を崩したのだった。

体調を崩したことで、
そのときはじめて
頑張らないことを知った。
頑張らなくても良いことを知った。

身体が私に教えてくれたこと。
「もう頑張らなくていいんだよ。」ってね。

丈夫な鎧を脱いでいくかのように…
少しずつ、
少しずつ、
頑張ることをやめていった。
無理をしないようにしていった。

まだまだ今でも頑張りやさんから
抜けきれてはいないけれど、
ずいぶんと気を抜いて
過ごせるようになった。

何だか
本来の自分に戻っていくような感覚だ。

心地よく自分自身を癒していく。

本来の自分を思い出す。


頑張ることは
ときに必要なこともあるかもしれない。

頑張ること全てを否定しない。

自分にとって
必要な頑張りを
心地の良い頑張りを
選んでいきたい。

今、頑張っている人たちへ。
頑張らなくてもいいんだよ。

きっともっと楽になる。