母がクモ膜下出血になりまして。その5

2012年6月12日


毎日、面会の前には少し待たされる時間がある。

ナースステーションへ向かい、面会を以来すると、待合で待たされ、
呼ばれれば、ICU内に向かう。

ソレまでの間に宿題を少しでも片付ける必要があった。

家に帰れば家事はもちろん、
母の洗濯物(T字帯)などを手洗いして干し、
また次の日に持っていかなければならない。

一般病棟に移れば、これが着替え、下着、タオルなども
含まれてくるようになるので、今のうちにこの生活リズムに慣れなければならない。


***

今日も晩の面会に行った。

ICUの部屋の一角を占領している母のスペースには
ラジオが流れており、少しでも気がまぎれるといいなと思った。
看護師さんの配慮に感謝した。


母は相変わらず顔がパンパンに腫れていたが、
左目の腫れは若干収まっていたように思う。

看護師さんに聞くと、脳の手術をすると
必然的に顔は腫れるそうだ。
日薬で治っていくので、経過を見守るしかない。
少なくとも、水頭症の予兆ではないので安心した。

バイタルは血圧は外され、心電図と呼吸のみが測定されているようだった。


しかし、痛々しいのは、目をこするからか、目の両端が
スモモのように真っ赤になっていることだ。
腫れているので余計スモモを連相させた。

意識ははっきりしており、今日はよくおしゃべりをした。
声は擦れ、正直聴き取りづらいものもたくさんあった。
しかし、聞いているよ、という姿勢は絶えずとった。

食欲は相変わらず旺盛。

今日は鶏肉が出たが、大きかったので
切り分けられないだろうと思い、自分が切り分けて一口サイズにおいておいた。
しかし母は1切れではなく2切れをいっぺんに口に頬張った。

今日の驚くべきは、昨日までスプーンでしか食事をしていなかった母が
今日はお箸を自分で選択して、使用したことである。
米はおかゆ(全粥)なのでかっこむように食べた。

「朝も昼も全部食べたの?」と聞くと、
少し考えてから首を横に振った。
曰く、おいしくないから残したそうな。

食べるという作業はあいかわらず体力を消耗するようで
疲れながら食べていたが、なるべく自分の体を使って食べてほしいと思い、
会えて口元にモノを運ぶような介助はせずにいた。



今日も時折うっすらと目に涙を浮かべることも会ったが、気づかないフリをした。
口を拭いてやるときに、ついでに気づいたかの様に、めじりもぬぐってやる。



歯磨きをするが、お気に入りの歯冠ブラシが2本消失していた。
看護師さんが昼間担当した看護師に聞いてくれるそうな。


本人の自覚症状としては、
寝ている体勢から、座っている体勢になるときに
ゲップか「えづき」か分からないが、数回繰り返していたこと。
気分が悪いと(自分だけに)訴えたこと。

気分が悪いことは、術後7日間は特に血管攣縮が発生する可能性が高いことを言い、
ひどい場合にはすぐに医師に言うように母に言った。
あまり伝わっている感じではなかったが・・・。
(過去に何回か言っている)


今日はよくしゃべれるようになったからか、前回から日記に書いている
意識混濁(認知症かICU症候群かわからないので、ここでは意識混濁と表記を統一する)
が多数見られた。
以下に書き出せる分だけ書き出すことにする。

・病室に男の人がいる。
 (自分の目の前あたりを手で円描いて)「ここに男に人おる?」
 と聞いてくる。
 「男の人がきて、ココ、自分の部屋だからって言い出してな、
  どうしようかと思った」などと言う。
 ICU内でベッドの移動?があるかもしれないといった話を聞いたそうだ。
 (本当かどうかは分からない)

・「いとこの名、兄、自分、といて、兄がめがねを洗ってな、面白かった」
 と過去?のエピソードを言う。
 「昔のこと?」と聞くと、「最近だよ」といった。
 最近自分はいとことは会っていない。

・「今日はよく紅茶のカップがまわってる」といい、
 「家ではコーヒー、紅茶をよく飲む」という。
 実際は家では水かコーヒーしか飲まず、次いでお茶である。

・髪の毛の分け方を聞く。7:3分け?意味がよくわからないが
 とにかく髪の毛の分け方を気にしていた。

・目が腫れて目が見えづらいので
 目を閉じたままモノを探るしぐさをする。
 何か長い紙がない、と探し出す。
 「今はないよ、もっていっちゃった」と言っても
 1分もしないうちに、また目を閉じて、手探りで探し
 「紙がない」と言いだす。


幸いなのは、しゃべれるようになって、微笑程度にフフ、と笑うようになった事。
人間、笑みがないと免疫も低下する。
大笑いは脳に響くのでできないが、なるべく微笑ましいエピソードを母に話すようにしたい。


今日は学校の時間がギリギリだった。
明日は順調に帰れるといいな。