武子「よしよし、立憲政友会は伊藤くんに抑えさせて、憲政本党も党首格は大隈さんだから、綾ちゃんが入っている限り大人しくしているはずだ。政党は大丈夫だろう」
綾子 「本当にやるの?だいたい、大命なんて簡単に下りないと思うんだけど」
武子「料理回の最終回で言ったけど、皇后さま(昭憲皇后)の母方は新田家。このために外戚は押さえておいた。鍋島榮子さんの兄の藤波言忠は天皇の近臣だから、大命は降りると思う」
綾子 「あら、そこは封建的な手を使うのね」
武子「あとは軍部だけど……なんか山縣(有朋)くん絡みの汚職をでっち上げて、メディアに流す!それで抑えられるはず」
綾子「仕方ないわねぇ。いつまで続くか分からないけど」
武子「なにを言ってるの。伊藤くんが投げ出して(4度目)、うちのダンナが放置したからこの状況だし。これから桂太郎や西園寺公望のような小物界の大物が持ち回るくらいなら、私たちがやる方が幾分マシじゃない」
先日の「明治女性内閣」がそこそこ好評でしてありがとうございます。
高市さんに感謝するべきか?
ちなみに、惜しく?も入閣していませんが、この時代の女性にはまだ人材はいます。
他にも、、
陸奥亮子(陸奥宗光妻 外交官夫人 明治33年没)
吉岡弥生(医師 30歳)
戸田極子(岩倉具視娘 オーストリア公使夫人 43歳)
湯崎初子(矢嶋楫子の姪、徳富蘇峰の姉 社会事業家 68歳)
瓜生繁子(音楽教育者、ピアニスト 40歳)
安井てつ(教育者 31歳)
九条武子(社会運動活動家 14歳)
保井コノ(科学者 21歳)
黒田チカ(科学者 17歳)
二階堂トクヨ(体育教師 21歳)
児玉芳子(吉田松陰長妹 勤王家 69歳)
中西きみ(勤王芸者 57歳)
などの皆さんがいらっしゃいます。
なお、前回更新後に男女共同参画に「民権ばあさん」として名高い楠瀬喜多を地方創生に、『富岡日記』の和田英を加えて、内閣に地方の声を反映させています。
瓜生(永井)繁子さんは大山捨松、津田梅子と同じ留学生ですが、専門が音楽なので入閣ポストがないな。総理秘書官かな……
児玉芳子さんは吉田松陰の妹で、多くの志士の勤王活動を支えましたが、大河ドラマでは「いなかったこと」になっていました。
二階堂トクヨさんは人見絹代の師匠です。スポーツ庁が出来れば長官になります。
この時代はまだ、幕末の勤王女性が辛うじて残っています。武子さんが入閣リスト作っているので、中尾きみ(君尾)は入閣に至らないかも知れませんが。
武子「なにか鏡の割れる音がしなかったか?」
馨 「さて、空耳じゃないですかね」
武子「さてと、組閣も無事に終わった。当時は私と一緒に鹿鳴館を運営した面々残っている時代だ。本当は陸奥亮子さんが外相の方がいいのだが」
馨 「陸奥宗光君の妻ですね。ワシントン社交界の華と呼ばれて、語学力も評価も高いようですし」
武子「だけど、去年(明治33年)に45歳で亡くなった。なので、私が最後のご奉公だ。厚生労働大臣は吉岡弥生さんというのもあるのだが、作者的に楠本イネさんに老骨に鞭を打ちまくってもらうことにした」
馨 「最後のご奉公が妙に長いパターンじゃないでしょうね」
武子「最近はVAR判定が入って、アディショナルタイムが10分くらいあるぞ」
馨 「いつまでやる気です?」
武子「戸田極子は『猫絵の姫君』登場の岩倉具定殿と母親が同じ妹だ。彼女も鹿鳴館のメインメンバーで、才覚、能力、語学、あと美貌も申し分ない。だけどちょっと社交的に過ぎてね……」
馨 「あの俊輔(伊藤博文)の仮面舞踏会の一件ですか。僕は思い出したくもないですが」
武子「あれで鹿鳴館は潰れ、伊藤内閣も潰れたな」
馨 「僕の面子も丸潰れでしたよ!武子さんは「それってどっちが誘った?」と爆笑していただけでしょう」
武子「悪い子ではないのだが、議会全会派から進退突き付けられても面倒なので、今回は外しておく」
馨 「ところで、現在の外交案件は分かってますか。日露開戦阻止と……」
武子「長年の懸案の不平等条約の改正だろう。あれは小栗様の悲願でもあるので、私と綾ちゃんでやるのも良いだろう。馨さんの鹿鳴館外交がスベッたのも、今日まで改正が遅れた一因だし」
馨 「いや、鹿鳴館がスベッたのは武子さんと僕の共同責任でしょう!」
よく考えれば、不平等条約改正は小栗忠順→井上馨と継承されているので、武子も綾子も当事者なわけで。
作ってみて思ったのですが、この時期の女性は人材が多いです。戊辰維新組がまだ健在で、明治初期の留学生組も全盛期。
ここを最後に維新を生き抜いた人々、鹿鳴館メンバーが急速に退場して行きます。男女ともにそんな時代で。
※加筆修正しました。
陸奥亮子
戸田極子
智本光隆

