夕暮れ 薄暮というのでしょうか・・・ 日が落ちて、世の中が暗闇に包まれるまでの短い間、6時~7時ごろのこと。


まだ人や物の動く様も目に見えるけどシッカリとは捉えにくい、その心もとない不安定な時刻を逢う魔が時(おうまがどき)と言い、に遭い易い時間帯なのだそうです。



「女の子は逢う魔が時までに帰らんとあかんで」


高校生の頃、部活で帰宅が遅くなる日は、よく父に言われたけど、当時住んでいた所は町からかなり離れていたので、暮れかかった田舎道を自転車をすっ飛ばして、息を切らして帰ったものです。


今、住んでる町でも、我が家と駅は自転車で往復します。

空にはまだ薄明りが残っていても、無灯火の自転車がいきなり目の前に現れたり、黒づくめの服装のジョギングをする人や黙々と一人で歩いてる人が、この時刻は目立ち難くてドキッ目とする事が多いのです。


一昨日の外出の帰り、またいやな時間になってしまった。。。


この日も、濃いグレーの空を見ながら駅から自転車を漕いでいると、唐突に道路の左側から何かが飛び出して、ビックリしてブレーキを締めると、黒っぽい子犬に続いてサザンカの植え込みから大きな黒い塊がノッソリと出て来て、犬を急き立てて無言で薄暗い街灯の向こうへ消えました。。


こんな時間の犬の散歩に、犬とお揃いのような黒い服にフードまで被っていては、瞬時に人間だと気付かない。これが車だったらどうなると思ってるのっ! 133 と言いたくなる気持ちをグッと堪えて、気を取り直して中学校前から住宅街へ入って、我が家へのいつもの角を曲がりかけた時


ナニっはてなマーク   今のナニっはてなマーク はてなマーク はてなマーク


またまた黒い塊が左へ曲がろうとする私の自転車の左脇を、ものすごいスピードですり抜けて、ふり返ってニヤッ!と笑って、また猛ダッシュで走り去った。。。

まだ中、高校生らしい雰囲気の男の子だった・・・・・


これが車だったら・・・・・子供って、親の知らない所で命に関わるような危険な事をしているのかも知れない・・・などと、つい老婆心で余計な心配をしてしまいます。



同じような事はずっと前にもあった。。。逢う魔が時とは違い、夕方のまだ充分明るさが残ってる時間だった。

お寺が集まってる場所は、車も人も少なくて自転車は走り易いので、お買い物ルートにしていたのですが、スーパーからの帰りにこの道を走っていたら、広い道路にも関わらず、後ろから私の自転車に当たるほど擦り寄って男の自転車が追い越して行った・・・と、思ったら、男は急停止して振り返り、私の自転車が倒れなかったのを確認したかのように自転車の向きを変え、私に向かって走り出そうとしたのです。


私は咄嗟にお寺の脇の民家が集まってる狭い道へ走り込んだのです。

追っては来なかったけど、どうしてもおばちゃんの自転車を転倒させたかったようで、振り返った男の顔が未だに忘れられません。


あれ以来、お買い物ルートは人気の無いお寺周辺を避けて、商店街の裏道に変更しています。



クローバー逢う魔が時というと、得体の知れないオドロオドロしい者との遭遇を連想してしまうけど、現代では近づく闇に呑み込まれてしまいそうな事故や事件に遭い易い事の教えと戒めなのかも・・・


この時刻の出来事は、今、思い返しても「よく無事だった・・・・・」とゾッとするような事も色々あっただけに、「逢う魔が時」は言い得て妙だと、嫌いだけどそう思ってしまうのです。


「逢う魔が時」の詳しい謂れは知らないけど、昔々の父の言葉を思い出して、その日は何故か心がざわついて眠れなかったのです。。。