ゆっくりと深呼吸をするようなペースで読み進めてみてください。

​眠りにつく前の、小さなしあわせ探し

​時計の針が、夜の深いところを指しています。

窓の外では、夜風が木々を優しく揺らす音がして、世界がしんと静まり返っていくのがわかります。

​今日という一日は、あなたにとってどんな日だったでしょうか。

予定通りに進んで達成感に包まれた一日だったかもしれませんし、あるいは、予期せぬ出来事に少しだけ心が波立った一日だったかもしれません。

​でも、今はもう大丈夫。

靴を脱ぎ、服を着替え、柔らかい布団の中に身を沈めたその瞬間から、あなたは「何者でもない自分」に戻ることができます。誰かの期待に応える必要も、明日の準備に追われる必要もありません。今はただ、自分の体温と、シーツの清潔な匂いだけを感じていてください。

​魔法の「三つの小さな良かったこと」

​フランスの古い言い伝えや、心理学の世界でもよく言われることですが、眠る前に「今日あった小さな良いこと」を三つだけ思い出すと、脳が「今日は良い日だった」と解釈して、深い眠りにつきやすくなるそうです。

​「良いこと」といっても、特別なニュースである必要はありません。

  • ​「信号が、渡ろうとした瞬間に青になった」
  • ​「淹れたてのコーヒーから、とても良い香りがした」
  • ​「道端に、名前も知らない小さな花が力強く咲いていた」

​そんな、誰にも気づかれないような、あなただけの小さなしあわせで十分です。

それらを思い浮かべているうちに、心の角が少しずつ取れて、丸くなっていくのを感じませんか?

​頑張った自分を、一番に労わる

​私たちは、他人の失敗には「大丈夫だよ」と優しくなれるのに、自分自身の不出来には、つい厳しくなってしまいがちです。

​「もっとこうすれば良かった」「あんなことを言わなければ良かった」

​反省できるのは、あなたが誠実で、もっと良くなりたいと願っている証拠です。それはとても素晴らしいこと。でも、夜の反省会はほどほどにしましょう。暗い中で考え事をすると、どうしても思考はネガティブな方へと流れてしまいがちだからです。

​不器用だった自分も、疲れて甘いものを食べてしまった自分も、全部ひっくるめて「今日までよく生きてきたね」と、心の中で自分自身を抱きしめてあげてください。

​明日のことは、明日の自分に任せる

​明日には明日の風が吹き、明日のあなたが、きっと今日よりも少しだけ賢く、強く対応してくれます。だから、今夜のうちに全ての荷物を背負い込む必要はありません。

​枕の横に、明日への不安をそっと置いておきましょう。

その不安は、夜の間に月明かりが浄化して、明日目が覚める頃には、ただの「課題」という名の、扱いやすい小さな粒に変わっているはずです。

​おわりに

​今、あなたの体は少しずつ重くなり、布団の中に溶け込んでいくような感覚になっているかもしれません。

​耳を澄ますと、自分の穏やかな心臓の音が聞こえてきます。

そのリズムは、あなたが今日一日を一生懸命に駆け抜けてきた証です。

​温かなお茶を飲んだ後のような、あるいは、お気に入りの毛布に包まれた時のような、そんな安心感に身をゆだねてください。

​明日の朝、カーテンの隙間から差し込む光が、あなたを優しく起こしてくれるまで。

どうぞ、穏やかで、心地よい夢を。

​おやすみなさい。良い夢を。