理佐「平手…本当のことを話して」
愛佳「本当のことって…さっき…」
理佐「違う、平手は嘘ついてる」
愛佳「うそ?」
理佐「ねるも平手を庇うのやめなよ」
ねる「ッ…別に庇ってなんか…」
愛佳「え…?ちょっと待って、話が全然読めないんだけど」
理佐「さっきの平手の話だとねるがやった、みたいな話だったけど…一つだけ可笑しいなってずっと思ってたんだ」
梨加「?」
愛佳「?」
梨加と愛佳は頭に?マークを浮かべながら理佐を見た
理佐「平手は1番最初に突然、何者かが平手の家に入り込んだ…そう言ったんだ」
愛佳「うん…?」
理佐「つまり、最初の話とさっき平手がみんなに話したことが違うってこと」
愛佳「あぁー…」
言われてみれば…
誰が入り込んだと最初は平手が言ってた
けど、さっきの話だとねるが訪ねて来たそう言ってたよね?
理佐「私の勘違いじゃなければ平手が全部仕組んでたことじゃないの?」
愛佳「どうなんだ?平手」
平手はずっと黙り込んだままだった
平手「……」
ねる「違うよ、全部結局私のせいなんだよ」
理佐「ねる…」
ねる「平手さんは悪くない、全部私のせいだよ」
愛佳「じゃ平手の手首切ったのはねるなの?」
ねる「ッ…それは…」
理佐「ねるはやってないんでしょ?…何でそこまでして平手を守ろうとするの?」
ねる「ッ…」
理佐「平手はこれまでにも梨加や愛佳に酷いことをして来たんだから」
梨加「私は別に…」
愛佳「なんのことだよ?」
愛佳と梨加が付き合う前、平手は影でいろんなことをして来た
これまで平手がやって来たことは梨加は知っているが愛佳は知らない
平手「プッ…あははは!!!」
愛佳「ひら…て…?」
平手は突然、笑い始めた
平手「あの時は面白かったなぁ〜笑でも…まさかねるがここに転校して来るとは思わなかった…ねる、私がどんな人か愛佳達に言っていいよ?笑」
ねるは平手の言う通り愛佳達に全てを話した
ねる「ッ…平手さんは…そうだね…簡単に言うとスクールカーストでいう、最上位にいた人だったんだ…」
愛佳「は、はぁ⁉︎…それってまさか…誰かをイジメてたのか?」
ねる「イジメ…なのかな…?…うん、今考えるとイジメなのかも…平手さんは他人を貶め入れていつも笑ってた…でもねるは知らなかったの」
愛佳「え?」
ねる「両親が死んで引っ越した後に知った…平手さんがクラスの権力を握っていたなんて本当に知らなかったの…でもね?あの時の平手さんはねるのこと、普通に接してくれたんだよ?」
理佐「なんで…?」
なぜ平手はねるに対して何もしなかったのだろうか…
平手「…ねるは私と似てると思ったから」
愛佳「似てる…?」
平手「私も…ねると同じで両親を早くに亡くした…私はずっと親戚の家にたらい回しされていたんだ…そこではいろんなことされた…」
暴力だってされたし殺されそうにもなった…
平手は支配される怖さを知った
平手「ずっと人の顔色を見ながら生きてきた…いつしか自分でやられていたことを他人にもするようになったんだ」
でもまさか支配されていた人間が支配する側になるなんて思ってもみなかった
でも…やめられなかった
みんなが変わり果てる姿を見て楽しかったから
でも…そんな時にねると出会ったんだ
ねるは平手がどんな人なのか知らないまま平手に声をかけた
ねるにとっては普通に友達になりたかっただけ…でもこの時の平手は危機を感じていた
そして事件が起こった…
ねるの両親は私のせいで死んでしまった…
愛佳「でもそれは平手のせいじゃないだろ?」
平手「違うッ‼︎…あの事件がきっかけで今度は自分に来る…そう思ったんだ…」
平手はなぜそこまでして恐れていたのか…
愛佳には理解が出来なかった
平手「この世に私と同じ人がいるなんて思いもしなかった…もしかしたら今度は私がやられるんじゃないかって思ってずっと怖かった…でもね?気付いたんだ」
また…支配される…それが怖かった…
だから…‼︎
愛佳「え?」
平手「やられる前に…私がやればいいんだって…それなのに…ねるは‼︎…何もしないでずっと私を庇っていた…なんで…なんでなの‼︎」
ねるに問いかけた
ねる「……」
ねるは何も答えずただ平手を見つめていた
愛佳「ねる?」
ねる「…ふふっ笑、そんなの決まってるじゃん」
平手「…え?」
ねる「平手さんとただ…友達になりたかっただけなんだって…」
平手「とも…だち…?」
ねる「ねるは別に人をどうこうしようとか考えてない…それよりもねるは自分のせいでみんなが危険な目に合うのが嫌だった…守りたかったの…大切な人を…」
まぁ…結局、私のせいでみんなを混乱の渦に巻き込んじゃったんだけどね?笑
でも…どうしても平手さんを責めることが出来なかった
ねる「でも‼︎平手さんの気持ちはわかるよ?笑」
私だって平手さんとどこか似てる…そんな感じがしたから
平手「え?」
だからこそ、分かち合えると思っていたんだ
ねる「イタズラした時、相手が驚いた顔するのを見た時が1番楽しぃ〜なって思う笑」
平手「ッ……ねる…うっ…ぐすん…」
膝から崩れ落ち静かに泣き始めた
平手「ごめん…な…さい…」
平手はねるに謝り続けた
ねる「うん…いいよ」
この時、平手の心の鎖が外れた気がした