VCで働く④ ~Value Addの仕方~
ベンチャーキャピタリストの価値提供のタイプとして、「鶏型」と「豚型」があるという面白い例え話を聞きました。
「鶏型」とは、鶏が卵を産むように、自分が持っている知識やネットワークで、投資先に欠けているものを提供するというスタイルで、「豚型」とは、自分の肉を切り売りするように、労力を惜しまず投資先を支援するというスタイルをいうようです。
ハンズオン型VCであれば、実際にどのような付加価値を投資先に提供できるかが、競争力の差になるはずです。今回強く感じたこととしては、キャピタリストの仕事は、コンサル同様属人性が極めて高いということ。属人性が高いというのは、どういう意味かというと、価値提供の本質的な部分は長年の経験やスキルの蓄積によってもたらされるもので、簡単に伝授できない(真似できない)という意味です。ある意味、のほほんとキャピタリストの仕事をすることは非常に簡単です。何故なら、お金をもらう立場ではなく、お金を出す立場だから。だからこそ、キャピタリストとして、独自の強みを持っていないと、個人としてのパフォーマンスは挙げられないでしょう。
では、問題はどのようにValue Addするか。ざっくりいうと、以下の6つに分けられるのではないかと思います。(※以下は、私の見立てなので、過不足ある可能性があります)
1)取締型(経営アドバイス)
最低月に一度、取締役会に参加することをベースに、投資先経営陣に対して、経営的観点から的確な助言を行う。
2)メンター型(経営トップ支援)
経営陣のメンター(コーチ)として、ビジョン作りを手助け、悩みを聞き、時には叱咤激励し、動機付けも行い、経営陣の力量を底上げする。
3)人材紹介型/バリューチューン形成型
投資先に人材が足りない場合は外から適任を引っ張ってきて、バリューチェーンが欠落していればパートナー企業を見つけてくることで、より強固なビジネスに仕上げていく。
4)専門知識の提供(知恵貸し)
局面局面で現場に入り込み、戦略・マーケティング・会計財務・法律・営業・人事等々に関する実務レベルでの専門知識を提供する。もしくは、客観的見地から、新たなアイデア出し、議論のパートナー役を担い、現場の活性度を高める。
5)特定機能代行
CFOや、経営企画部長、営業部長など特定機能をより強固なものにするために、組織長としてリーダーシップを発揮し、部下を育て、組織を率い、成果を出す。
6)プロジェクトマネジメント
人事制度構築、サプライチェーン改革、販路拡大など特定ミッションを担うプロジェクトリーダーとして、チームを率い、全体のマネジメントを行い、成果につなげる。
実際には上記のような紋切り型で仕事をしているキャピタリストはいないと思いますが、分類すると、こんな感じという意味合いで分けてみました。やはり、どれも特殊スキルなので、簡単に価値提供できるわけではありません。
元コンサルとしてやりやすいのは、4)と6)でしょうか。
ハンズオンは、諸刃の剣。投資先を支援することで成長スピードは速まるが、やりすぎると投資先はVCに甘え、逆に育たなくなる。そんな絶妙なバランスをとる必要もあり、なんでもやればいいという訳ではない所が、難しいのだと思います。
「鶏型」とは、鶏が卵を産むように、自分が持っている知識やネットワークで、投資先に欠けているものを提供するというスタイルで、「豚型」とは、自分の肉を切り売りするように、労力を惜しまず投資先を支援するというスタイルをいうようです。
ハンズオン型VCであれば、実際にどのような付加価値を投資先に提供できるかが、競争力の差になるはずです。今回強く感じたこととしては、キャピタリストの仕事は、コンサル同様属人性が極めて高いということ。属人性が高いというのは、どういう意味かというと、価値提供の本質的な部分は長年の経験やスキルの蓄積によってもたらされるもので、簡単に伝授できない(真似できない)という意味です。ある意味、のほほんとキャピタリストの仕事をすることは非常に簡単です。何故なら、お金をもらう立場ではなく、お金を出す立場だから。だからこそ、キャピタリストとして、独自の強みを持っていないと、個人としてのパフォーマンスは挙げられないでしょう。
では、問題はどのようにValue Addするか。ざっくりいうと、以下の6つに分けられるのではないかと思います。(※以下は、私の見立てなので、過不足ある可能性があります)
1)取締型(経営アドバイス)
最低月に一度、取締役会に参加することをベースに、投資先経営陣に対して、経営的観点から的確な助言を行う。
2)メンター型(経営トップ支援)
経営陣のメンター(コーチ)として、ビジョン作りを手助け、悩みを聞き、時には叱咤激励し、動機付けも行い、経営陣の力量を底上げする。
3)人材紹介型/バリューチューン形成型
投資先に人材が足りない場合は外から適任を引っ張ってきて、バリューチェーンが欠落していればパートナー企業を見つけてくることで、より強固なビジネスに仕上げていく。
4)専門知識の提供(知恵貸し)
局面局面で現場に入り込み、戦略・マーケティング・会計財務・法律・営業・人事等々に関する実務レベルでの専門知識を提供する。もしくは、客観的見地から、新たなアイデア出し、議論のパートナー役を担い、現場の活性度を高める。
5)特定機能代行
CFOや、経営企画部長、営業部長など特定機能をより強固なものにするために、組織長としてリーダーシップを発揮し、部下を育て、組織を率い、成果を出す。
6)プロジェクトマネジメント
人事制度構築、サプライチェーン改革、販路拡大など特定ミッションを担うプロジェクトリーダーとして、チームを率い、全体のマネジメントを行い、成果につなげる。
実際には上記のような紋切り型で仕事をしているキャピタリストはいないと思いますが、分類すると、こんな感じという意味合いで分けてみました。やはり、どれも特殊スキルなので、簡単に価値提供できるわけではありません。
元コンサルとしてやりやすいのは、4)と6)でしょうか。
ハンズオンは、諸刃の剣。投資先を支援することで成長スピードは速まるが、やりすぎると投資先はVCに甘え、逆に育たなくなる。そんな絶妙なバランスをとる必要もあり、なんでもやればいいという訳ではない所が、難しいのだと思います。
VCで働く③ ~リスクの高いビジネス~
2009年の国内・新規上場会社数は19(野村證券より)。4年前の2006年の新規上場会社数は188社であったことを考えると、日本の上場マーケットは大きく沈んでいる。2010年の新規上場会社数も、7月末現在で16社であることを踏まえると、上場マーケットは今年も低調であり、回復が見込めるのは早くて来年からだろう。
アメリカもほぼ同様の状況で、2007年新規上場会社数は296であったが、2008年は57、2009年は69と大いに低迷している。但し、2010年第2四半期の新規上場株式数は、前年同期比の3倍になっており、回復基調にのっていると見られている。
このようにIPOマーケットが沈んでしまうと、新規上場が主たるEXITであるVCにとっては、お金を稼ぎようがなくなり、にっちもさっちもいかなくなる。日本アジア投資が私的整理を行ったように、(ほぼ)倒産に追い込まれる大手VCもでてきている。また別のVCのスタッフの話では、VCとしての業務が枯れ上がりつつあり、シニアの人材は外に出すことで人件費を押さえ、若手は暇をつぶすというような状況が続いているとの事。VCにとっては、冬の時代であり、なんとか耐えしのぎたい時期であるので、まぁマーケット的にはインターンなんてとってる場合じゃないというのが通常の反応なので、今回とっていただいた(稀有な)VC様には非常に感謝しています。
VCにとって、ここまでマーケットの状況が悪い理由は、言うまでもなく2008年の金融危機に端を発した世界同時不況であり、株式市場がここまで低迷すると、IPOのメリットは消え、ベンチャー企業の上場意欲も失せていく。(簡潔にいってしまえば)VCにとっては、資金を有望なベンチャー企業に投資することで、成長を促進させ、より早期に上場させることが仕事なのだが、実態としては外部環境(資本市場)の状況により、パフォーマンスが大きく変動するという、リスクの高いビジネスだといえる。
キャピタリストとしては、有望なベンチャー企業を見つけ、投資を行い、価値を上げ、上場させることで資金回収を行うというのが理想的なビジネスサイクルなわけで、プロとして価値を生み出す源泉は、1)投資眼(目利きの能力)と、2)Value-Add能力だ。(※Fund Rasing能力も勿論重要だが) しかし、キャピタリスト達の能力以上に、マーケットの浮き沈みの影響度が大きいとなると、それは寂しい限りなのだが、マクロでみた場合には、そのようなマーケット・トレンドを読んだ上で、ファンドのマネジメントをする力量が重要になってくるのだろう。
アメリカもほぼ同様の状況で、2007年新規上場会社数は296であったが、2008年は57、2009年は69と大いに低迷している。但し、2010年第2四半期の新規上場株式数は、前年同期比の3倍になっており、回復基調にのっていると見られている。
このようにIPOマーケットが沈んでしまうと、新規上場が主たるEXITであるVCにとっては、お金を稼ぎようがなくなり、にっちもさっちもいかなくなる。日本アジア投資が私的整理を行ったように、(ほぼ)倒産に追い込まれる大手VCもでてきている。また別のVCのスタッフの話では、VCとしての業務が枯れ上がりつつあり、シニアの人材は外に出すことで人件費を押さえ、若手は暇をつぶすというような状況が続いているとの事。VCにとっては、冬の時代であり、なんとか耐えしのぎたい時期であるので、まぁマーケット的にはインターンなんてとってる場合じゃないというのが通常の反応なので、今回とっていただいた(稀有な)VC様には非常に感謝しています。
VCにとって、ここまでマーケットの状況が悪い理由は、言うまでもなく2008年の金融危機に端を発した世界同時不況であり、株式市場がここまで低迷すると、IPOのメリットは消え、ベンチャー企業の上場意欲も失せていく。(簡潔にいってしまえば)VCにとっては、資金を有望なベンチャー企業に投資することで、成長を促進させ、より早期に上場させることが仕事なのだが、実態としては外部環境(資本市場)の状況により、パフォーマンスが大きく変動するという、リスクの高いビジネスだといえる。
キャピタリストとしては、有望なベンチャー企業を見つけ、投資を行い、価値を上げ、上場させることで資金回収を行うというのが理想的なビジネスサイクルなわけで、プロとして価値を生み出す源泉は、1)投資眼(目利きの能力)と、2)Value-Add能力だ。(※Fund Rasing能力も勿論重要だが) しかし、キャピタリスト達の能力以上に、マーケットの浮き沈みの影響度が大きいとなると、それは寂しい限りなのだが、マクロでみた場合には、そのようなマーケット・トレンドを読んだ上で、ファンドのマネジメントをする力量が重要になってくるのだろう。
VCで働く② ~インターンでの業務~
インターンのテーマとして与えられたのは、投資先候補のテクノロジーベンチャーのデュー・デリジェンス(事業性評価)。
VCの投資プロセスは、資金調達(Fund Raising)⇒投資審査(Screening)⇒価値評価(Valuation)⇒投資契約(Contracting)⇒投資(Investment)⇒モニタリング(Monitoring)⇒価値提供(Value-added)⇒資金回収(Exit)、という流れになり、実際に投資するのは、100の企業の審査をして3つ程度と言われています。で、今回の業務範囲は、「投資審査と価値評価」のところになります。
簡単にいうと、
・マーケットの分析
・競合調査
・事業計画の精査
・投資先ヒアリング
・リファレンス(裏づけ)ヒアリング
・投資判断の検討・分析
・報告(プレゼン)
を行いました。
コンサルファームでもDDは行いますので、初めの3つは行いますが、次の3つはVCならでは。投資先ヒアリングでは、事業計画の評価ポイントの検証は勿論ですが、投資先候補の経営陣の評価も目的に入ります。リファレンスでは、関連するキーパーソンの話を聞いて、事業の筋の良さを確かめるため(もしくは、リスクを洗い出すため)に行います。
このように定性的調査を行った上で、投資をするかどうかの判断を行います。投資をするための意思決定プロセスは、VCによって差はあるのですが、大体2~4回の検討会議があるようです。VC内での検討、LP(出資者)との検討、アドバイザリーボードとの検討などを経て、最終的に出資するかどうかを決めます。
ぼくにとって、一番のハードルは、どのように投資判断をするかということ。事業計画の精査をし、バリエーションをすることで、投資先候補の理論価値はでるので、この投資が割安か割高かはおおよそは分かります。但し、数値は恣意性が入るのでは、絶対視はできません。むしろ重要になるのは、それ以外の要素を組み合わせての総合的な評価。そこに、フレームワークやルールはありません。
このインターンで、どのようにGo / No Go の判断をするのか色々な局面で聞きました。人によっては、勘だという。また、人によっては、経験だという。そして、別の人は、社長がどこまで深く考えきれているかだという。そして、またある人は、その事業/会社を好きになれるかどうかだという。
今回、ぼくが出した結論は、No Go.
「投資しない」ということを提案しました。
その理由は、いくつかあるのですが、主たる理由はビジネス・スキームとファイナンシャル・スキームがマッチしないということによるものでした。投資先候補が考えている資金調達の方法が、ビジネスを創るうえでベストとは思えないものになっていたからです。
この判断が、正しいかどうかは分かりません。そして、VCが実際のところ、(ぼくの提案を受けて)どのように判断するかは、まだ分かっていません。
結局、投資判断スキルをどう高めていくのかということについては、経験を積んでいく以外は分からず仕舞いでしたが、センスのある/なしが、はっきり現れる領域であることは間違いない。奥が深い分だけ、もう少し突っ込んでみたいと思いました。
VCの投資プロセスは、資金調達(Fund Raising)⇒投資審査(Screening)⇒価値評価(Valuation)⇒投資契約(Contracting)⇒投資(Investment)⇒モニタリング(Monitoring)⇒価値提供(Value-added)⇒資金回収(Exit)、という流れになり、実際に投資するのは、100の企業の審査をして3つ程度と言われています。で、今回の業務範囲は、「投資審査と価値評価」のところになります。
簡単にいうと、
・マーケットの分析
・競合調査
・事業計画の精査
・投資先ヒアリング
・リファレンス(裏づけ)ヒアリング
・投資判断の検討・分析
・報告(プレゼン)
を行いました。
コンサルファームでもDDは行いますので、初めの3つは行いますが、次の3つはVCならでは。投資先ヒアリングでは、事業計画の評価ポイントの検証は勿論ですが、投資先候補の経営陣の評価も目的に入ります。リファレンスでは、関連するキーパーソンの話を聞いて、事業の筋の良さを確かめるため(もしくは、リスクを洗い出すため)に行います。
このように定性的調査を行った上で、投資をするかどうかの判断を行います。投資をするための意思決定プロセスは、VCによって差はあるのですが、大体2~4回の検討会議があるようです。VC内での検討、LP(出資者)との検討、アドバイザリーボードとの検討などを経て、最終的に出資するかどうかを決めます。
ぼくにとって、一番のハードルは、どのように投資判断をするかということ。事業計画の精査をし、バリエーションをすることで、投資先候補の理論価値はでるので、この投資が割安か割高かはおおよそは分かります。但し、数値は恣意性が入るのでは、絶対視はできません。むしろ重要になるのは、それ以外の要素を組み合わせての総合的な評価。そこに、フレームワークやルールはありません。
このインターンで、どのようにGo / No Go の判断をするのか色々な局面で聞きました。人によっては、勘だという。また、人によっては、経験だという。そして、別の人は、社長がどこまで深く考えきれているかだという。そして、またある人は、その事業/会社を好きになれるかどうかだという。
今回、ぼくが出した結論は、No Go.
「投資しない」ということを提案しました。
その理由は、いくつかあるのですが、主たる理由はビジネス・スキームとファイナンシャル・スキームがマッチしないということによるものでした。投資先候補が考えている資金調達の方法が、ビジネスを創るうえでベストとは思えないものになっていたからです。
この判断が、正しいかどうかは分かりません。そして、VCが実際のところ、(ぼくの提案を受けて)どのように判断するかは、まだ分かっていません。
結局、投資判断スキルをどう高めていくのかということについては、経験を積んでいく以外は分からず仕舞いでしたが、センスのある/なしが、はっきり現れる領域であることは間違いない。奥が深い分だけ、もう少し突っ込んでみたいと思いました。