2013年5月30日。
移植コーディネーターさんから依頼を受け、

家族の健康状態をまとめあげることになった。


患者が赤ちゃんなだけに、家族歴を見て本人の体質を類推する
目的もあるし、生体肝移植ドナー選定のためでもある。
その項目は多岐にわたり、両親・きょうだい・祖父母・


おじおばまで含めた10名分の情報を盛り込んだエクセルは
壮大な表になった。
(エクセルでまとめて下さいと言われたわけではないのだが、
 そうでもしなければまとめ切れないくらいのボリュームだった。)


氏名・続柄・ドナーの意思の有無・年齢・血液型
身長(cm)・体重(kg)・血圧(最高/最低)
健康診断結果の要点(可能ならコピーを提出)
既往歴・手術歴・麻酔歴
アレルギー

(花粉・薬・食事・ラテックス・アトピー・小児ぜんそく既往)
薬の種類・量(睡眠剤の使用・精神安定剤の使用)
飲酒・喫煙

仕事内容・(ドナーになった場合)会社の休暇取れるか


近い親族のみとはいえ、

ここまで詳細だとさすがに知らない項目も出てくる。
双方の実家や兄弟の協力を得て、なんとか仕上がった。


また、我が家は、生体肝移植を念頭にスケジュールを

組みながらも、脳死肝の提供を受けられるように

臓器移植ネットワークへの登録を行うことに決めた。

(脳死ドナーは現在もなお非常に数が少なく、

 提供を期待して待つのは現実的でないため、

 あくまで生体メインで予定を立てる。)


「脳死は人の死か」というような議論も一部あるかと思うが、
ここでは割愛したい。別途機会があれば持論を述べる。


具体的な手順としては、
まず病院からネットワークへ患者のデータを送ってもらい、
患者側が新規登録料として30,000円を振り込み、
先方で入金が確認され次第、登録完了となる。


ネットワーク側でデータを精査し、緊急度に応じた点数を付ける。
満点が10(ICUで集中管理を必要とする状態)だが、
胆道閉鎖症で定期フォローを受けている場合、

それほど重篤になるまで放置されるのは考え難い。
(急に発症して悪化する劇症肝炎のような疾患であるケース)


子どもの場合は身体が小さいので、

移植する肝臓も小さいものになる。
(移植肝=グラフトは小さすぎてもいけないのだが、
 大きすぎるのは特にNG。血行が滞って壊死してしまうため。)


なので、大柄の大人(男性)が脳死ドナーとなった場合、
小柄な大人の女性と子どもに肝臓を分割して

提供されるケースがある。
そのため、大人が待機するよりも幾分だけチャンスが多いと聞いた。


実際に成育で、生体肝移植の手術前夜に

脳死ドナーから臓器提供を受けられることが決まった

劇的なケースがある(しかもICU管理の
ような状況ではなく、たまたまその子が小児のリスト1位に
いたので分割移植のご縁があった)と聞いた。


確率的には非常に低くてもゼロではないし、

申し込まないことには提供もないので。


医師から、登録はしかるべき時に判断して行いますと説明を受けた。
現状登録しても、提供が受けられるような点数は

付かないと思われるため。


まずは定期的に状態フォローして生体肝移植が

必要となる時期を見極め、手術日程を決める前後に

登録の流れになるでしょうとのこと。


少しずつではあるが、情報収集や足元を固めていく作業が進んでいた。