一生付き合っていかなくてはいけない難病と
ともに生きるにさしあたり、
現状どのような助成があるのか…。
ネット等であちこち調べるには調べたのだが、

これがまたわかりにくい。


これとこれはどう違うの?重なった場合はどうするの?
結局、我が家にとってはどうするのが一番いいの?
全くわからず…。
移植コーディネーターを通じて、病院の

メディカルソーシャルワーカー (以下SW)との面談を

組んでいただいた。

(2013年5月24日)



以下胆道閉鎖症の子どもが受けられる助成について

おおまかに記す。
(時の流れとともに仕組みも変化するので、あくまで参考程度に。
 難病当事者の方は個別にSWや行政機関に

 ご相談された方が良いと思います。)


まず、日々の通院や入院をカバーしてくれるのが
1.小児慢性疾患医療費助成(通称:小慢)
国の制度。
課税状況に応じ、入院\11,500/月などの自己負担額あり。


2.乳幼児医療証(通称:マル乳)
自治体によって対象年齢や所得制限などかなりバラつきがある。
東京23区は所得制限なしで自己負担分を全額助成してくれる。
(但し入院中の食事療養標準負担額を助成対象に

 しているかは区による。)


手術(この場合は移植を想定)の時に考えられるのは

3.自立支援医療(育成医療)
医療費の原則1割が自己負担となる。(所得制限有)
18歳以下、特定の障害のある方が対象。
手術等によって確実な治療効果が期待できる場合。


特に小児に限ったことではないが、医療費がかさんだ場合は

4.高額療養費・限度額適用認定
支払った医療費のうち、自己負担上限額を超えた分が

健康保険から支払われる。
(所得に応じ異なる。)


移植手術後は、免疫抑制剤を服用する

=生涯にわたる免疫抑制療法を必要とするため

5.身体障害者手帳
内部障害(肝機能障害) 1種1級(一番重い等級) の対象となる。


どういった選択がベストなのかは、住んでいる自治体や親の所得、
考え方(リスクマネジメント)によって異なる。
なので、自分でそれなりに調べた結果いまひとつピンとこなければ、
プロに相談したほうがだいぶ話が早い。

私も自分なりに勉強したつもりなのだが、門外漢なので

混乱するばかりで結局どうしたらいいのか分からなかった。
そういった意味ではSWに相談できたことは本当に助けになった。


我が家の場合は、元々持っていた区のマル乳(2)に加え、

小慢(1)の申請を行った。
育成医療(3)はメリットがなかったので申請せず。
移植後は障害者手帳(5)を取得した。


※東京都区内在住の場合は、乳幼児の医療補助が充実しており
所得制限等も設けられていないため、小慢は申請しないという

ケースもある。
また「子どもを障害者にしたくない」と、障害者手帳の申請を
しない家族もある。(これらは任意である。)

我が家は、不確実な世の中なので、娘が自立していくための

土台として受けられる援助は受けておこう

という方針で判断した。


基本的にこういった行政の支援は「申請主義」であるため、
親が動かなければ何も始まらない。

ただでさえ精神的にも肉体的にもいっぱいいっぱいな時に、
難解な制度を調べ、お金を払って診断書を書いてもらい
(小慢の意見書は毎年@7,350かかる)、

役所に足を運ばねばならない…。
のちに改めて書こうと思うが、助成をフル活用しても

自己負担は何かとある。
「援助があるからいいでしょ」というわけにもいかないのが現状だ。


思うところはいろいろあるが、まずはさまざまなサポートが
あるのはとても有難いことだ。


なにせ、病気になったのは本人の過失や不摂生によるものではない。
それも一生服薬や治療が必要な病気である。
親が面倒みられるうちはまだいいが、比較的順調に育ったとしても
いつか「健康に不安のある中で働き、通院の手間やそれに伴う出費を
まかないながら、何とか生きていかなければならない」のだ。


助成制度ができるまでの過程においては、過去の患者・患者家族が
苦しみの中声をあげて下さった努力の積み重ねがある。
だからこそ我々はその恩恵を受けることができることを

忘れてはならないと思う。


同時に忘れてはならないのが、

現行の制度から漏れてしまっている患者の存在だ。
同じ肝移植でも、保険適用になる疾患とならない疾患があり、
(2004年に対象疾患の範囲が大幅に広がったものの、全てではない)
自費で肝移植を受けるか否かの選択を迫られる家族もいるのだ。
生体肝移植の費用は、もし全額自己負担であれば

ドナー・レシピエント合わせて1,200万円前後と聞いたことがある。
(1,000万~2,000万、施設や容体によって金額に若干幅有)
かなり稀で患者数が少ない疾患を持つ人の置かれた状況は厳しい。


(1万~1万3千人にひとりの胆道閉鎖症ですら、小児肝移植に

 おいては絶対的なマジョリティなのである。)
移植という究極手段を必要とするほど困っているという点では、
どんな疾患でも変わりないはず。


全ての子どもが安心して大きくなれる、ひいては安心して

産める社会になることを祈り、また自分ができることは

やっていかなくてはいけないと思う。