「人生は思い通りになる」という話に対する違和感

先日、「人生は思い通りである。うまくいかない人は、うまくいかないと思い込んでいるからそうなるのだ」という話を聞いた。いわゆる“引き寄せ”や“自己暗示”的な考え方に近いものだと思う。

けれど正直に言うと、私はこの話に強い違和感を覚えた。

なぜなら、自分の内面を振り返ったとき、確かに「どうせうまくいかない」と思ってしまう瞬間はあるものの、それと同時に「本当はうまくいってほしい」と強く願っている自分も確実に存在しているからだ。

もし本当に“思い込みが現実を作る”のだとしたら、この「うまくいってほしい」という願いはどこにいくのだろうか。  
表層のネガティブな思考だけが現実に反映され、より強く、より切実な願いが無視されるというのは、少し都合のいい理屈に思えてしまう。

むしろ人間の心理はそんなに単純ではなく、「うまくいかないかもしれない」という不安と、「それでもうまくいってほしい」という期待が同時に存在しているのが普通なのではないだろうか。

そして現実は、そのどちらか一方だけで決まるほど単純ではない。環境や運、能力、タイミングなど、自分ではどうにもならない要素も確実に影響している。

だから、「うまくいかないのはあなたの思い込みのせいだ」と言い切る考え方には、少し乱暴さを感じる。  
それは時に、自分を責める理由を増やすだけになってしまう。

結局のところ、人生は「思い通りになる部分もあるし、ならない部分もある」という、当たり前で曖昧な現実の上に成り立っているのだと思う。

だからこそ、「どうせ無理だ」と切り捨てる必要もなければ、「全部自分の思考のせいだ」と背負い込む必要もない。  
うまくいかない現実をそのまま受け止めつつ、それでも「少しは良くなってほしい」と願うこと自体は、何もおかしくないはずだ。

少なくとも私は、そう思っている。