新 型インフルエンザが全国を上回るペースで広まった沖縄県で、救急病院への患者集中を防ぎ、診療機能を維持する取り組みが始まった。地域の診療所などが夜 間・休日診療に協力、子どもの重症患者に備え病院ごとの人工呼吸器の稼働状況を相互に把握できるようにするのが柱だ。全国で患者の増加傾向が続く中、モデ ルケースとして注目される。
一般の患者と1枚のシートで分けられたスペースで、マスクをした患者数人がぐったりした様子で診察を待っていた。沖縄県南風原町の県立南部医療センター・こども医療センター救急部門。
ここではインフルエンザの症状がある患者を24時間体制で診察しているが、事故や病気で一分一秒を争う重体患者も運ばれる。インフルエンザの子どもの診察が後回しになり、「なんで早く診てくれないの」と母親に詰め寄られるケースも。
「インフルエンザ患者が増えるとほかの重症者に手が回らず、重症者にかかりきりになるとインフルエンザ患者を長時間待たせることになる。待合室での感染も 心配です」と国重千佳(くにしげ・ちか)医師(30)。「症状がなくなっても薬は飲み続けるのか」といった電話での問い合わせにも追われる。
同センターの救急部門では現在、7人の医師が3交代で診察や治療に当たっているが、連日手いっぱいの状況だ。
沖縄県は県医師会とともに、救急病院への患者集中を防ぐため地域の医療機関に、輪番制や診療時間延長などへの協力を要請。個人病院やクリニックなど28施設を時間外診療可能医療機関として9月初めに公表した。
浦添市の「しみず内科胃腸科21」は平日午後9時まで診察。清水健(しみず・たけし)院長(43)は「軽症患者を自分が診れば救急病院もパンクせず、待ち時間が減る患者も楽」と話す。
ただ、予想以上に患者が殺到したケースもあり、「受け入れ態勢が整うまで」として医療機関名の県ホームページへの掲載をいったん見合わせるなど課題もある。
沖縄では子どもの重症例が相次いだことから、県は「小児医療情報ネットワーク」も導入。毎日午後4時に、小児救急に取り組む10病院から人工呼吸器の稼働 状況を報告するファクスが県医務課に届く。職員が一覧表にして各病院に送付、重症児に対応可能な施設が把握できる仕組みだ。
県の担当者は「医療現場の一番の不安は、今後、呼吸器など医療機器が十分確保できるかという点だ。重症の子どもをスムーズに搬送できるよう、ネットワークを活用してほしい」と話した。
▽沖縄の感染状況
7月末ごろから新型インフルエンザとみられる患者数が増え始め、8月15日に国内で初の死者が出た。子どもの重症例も相次ぎ、県はインフルエンザ流行警報 を発令。8月30日までの1週間の患者報告数は1医療機関当たり36・00人で前週の46・31人から減少したが、全国でみると1機関当たり2・52人で 沖縄が突出。県は新学期や旧盆行事などをきっかけに今後も感染が拡大する可能性があるとして注意を呼び掛けている。