台北の湿った空気の中で
庭の雑草は三年間 ひそかに伸び続けていた
古いスーツケースを引きずりながら 彼女が鉄門を押し開けるまで
私はいつも火曜の午後にここへ来る
床まである窓の外に立って
ゆっくり動く生態系を観察するみたいに
彼女は背を向け 肩を少し前に傾け
ろくろが回る安定したリズムに身を委ねている
作業台には 裏山の渓流で掘り出した土が散らばり
石臼ですり潰した植物の葉は ガラス瓶の中で浸され
この空間でしか生まれない色を放っている
埃をかぶったガラスを通して光が差し込み
泥のついたエプロンの上を移動しながら
創作の時間を測っているみたいだった
「創作にいちばん必要なのは
時間と 誰にも邪魔されない空間
この『空白』を差し出せることが
もしかしたら 今の時代でいちばん貴重な支えかもしれない」
別荘は相変わらず静かだけど
もう何もない場所ではなかった
彼女はここに 三か月分の時間を埋めた
一時的に自分のものになったこの土地に
種を蒔くみたいに
私は邪魔をするつもりはなく
ただ この純粋な集中が
忘れられていた片隅に
どうやって呼吸を取り戻させるのかを見ていただけ
土が窯の火の中で形を得るとき
作品よりも長く残る何かが
この古い家の中で そっと固まり始めていた
最後の火曜日
窓の内側の作業台は すっかり片付いていた
彼女が残したのは
棚に並ぶ 土の記憶を宿した器だけじゃない
それは 一つの証でもあった
本当の創作は
誰かが 何も起こらなくていい
そんな貴重な空白を
守ろうとするときから始まることが多い
