その方は60代の女性ですが、2年くらいレッスンに通ってらっしゃいます。
いつもレッスンのとき、
自分の声はキーキーしていてよくない
高い声がまったく出ません
それは難しくてできません
などなど、比較的ネガティヴな思考をお持ちの方だったんですが、私はいつも、
私が聞く限り、キーキー声じゃないですよ
発声練習で結構高いほうまで出てますよ
今はやるのが難しくても、やっていったらできますから
と答えていました。
実際、私はほんとにそう思うからそう言ってたんですが(笑)
とにかく、ご自身の声に自信がなく、「できない」と思っている方でした。
できない、と思ってしまったら、できることもできなくなってしまいますから、
なんとか希望を持って歌っていけるといいな、と思って、質問にはすべて答えてきましたし、不安のないように、とレッスンしていました。
それがこのたび、思いきって声を出しつづけることができて、私も思わず、
「そーです!できるじゃないですか!それでいいんです!」
と言って喜んだのですが、それに対して返ってきた言葉が、
「昨日までぜんぜんこんな声出せなかったのに、どうしてかしら、不思議です」
と。
喜びはないの??!
と思ってしまいましたが(笑)その方らしい言葉だなぁ、と(笑)
でも、なぜ、昨日までぜんぜん出来なかったことができるのか、
それは、この2年、ずっとやってきたからです。
こうやって息を吸ったら、ここが伸びるようになり、張りがでるようになり、どの筋肉が動くようになり、声が出るようになり…
少しずつ、いろいろなものが育ってきていて、このたび、ひとつ壁を越えたわけです。
何かが出来るようになる時って、ほんの1時間、ほんの5分前まで出来なかったことが、出来るようになる、ってことですよね。
そしてそれは、何が決め手だったかわからないくらい、いろんなことが作用して出来るようになったりするんです。
積み重ね、というものですね。
そしてその積み重ねは、その人その人でみんな違った積み重なり方をしていきます。
だって、何が足りないとか、何が得意とか、体型や思考、性格まで、みんな違いますから。
なので、私は指導する時、その人に合ったやり方をしなければならない、と思っています。
レッスンに来た日によっても、なにをレッスンで言うべきか、いまなにをやるべきか、変わってきます。
そこを的確に見極めて、その人に合った積み重ねができるように寄り添いたいと思います。
いやしかし、声が出るようになってきてほんとによかった
次のレッスンでも同じようにできるかしら…
と思いますが、できなければ、わからなくなっていれば、またやればいいだけの話です。
1度できたことは、また必ずできますからね
がんばりましょう!